書く仕事

ご訪問ありがとう!!ミステリー小説の感想を中心に,読書,日々の雑感,映画の感想等を書き散らかしています.

「才輝礼讃」松任谷由実

2014年10月13日 11時53分03秒 | 読書
「才輝礼讃」松任谷由実



昭和の天才少女とも,平成のモンスターとも言われ,日本の音楽界をリードしてきたユーミンこと松任谷由実の対談集.

こういうことができることが,ユ-ミンの素晴らしいところであり,ちょっとおこがましい言い方だけど,こちら側の人である証明にもなっている.

こちら側というのは,常識が通用する人くらいのニュアンスなんだけど.
人間オンチの天才じゃないということね.
しかも,微妙なニュアンスを言葉で表現する巧みさが素晴らしい.

対談はいずれも面白いが,共通しているのは,メディアが伝える(伝えたい)有名人の姿と実際に本人が考え,悩んでいることは違うよ,ということね.

だから,面白い.

有名人だって,天才と言われる人だって,同じ人間なんだね.
悩みだってある,というより,むしろ平凡な人生を送っている大衆より,はるかに深くて,しかも「逃げられない」悩みに晒されて生きているのではないかという気がするのです.

彼らのつらさは,その「逃げられない」感にあるような気がする.

才能があればあるほど,成果を出せば出すほど,次を求められる苦しさ.

そして,新しいものが出てこなくなったとたんに,「あの人はもう終わったのね」と言われる恐怖心と常に戦っているわけ.

この対談が面白いのは,その恐怖心をユーミンと相手が共有しており,その共感を土台に,しかも,その恐怖心を露わには表現せずに,いろいろな話題でユーモアたっぷりに盛り上げる巧みさがあるからだ.


最新の画像もっと見る

コメントを投稿