風薫る道

Who never feels lonely at all under this endless sky...?

ロンドン交響楽団 @東京文化会館(10月5日)

2015-10-06 13:53:25 | クラシック音楽

先日のミューザに続き、行ってきました。
ロンドン響日本ツアー最終公演の、東京文化会館。
歌舞伎でもバレエでもミュージカルでも能でも文楽でも、初めてその面白さ、魅力を教えてくれた人というのはやっぱりすごく特別で。
クラシックではそれがハイティンク&ペライアでしたから(オケはシカゴ響だったが)、ハイティンクのご年齢を考えると再びこのお二人が一緒に演奏している姿を確実に見られるという保証は。。。。
なので、行ってきました。チケットショップで入手して。安席しか買えないのでね。。

「パーセル(スタッキー編): メアリー女王のための葬送音楽」
映画『時計仕掛けのオレンジ』で現代風にアレンジされて使われた曲だそうですが、私は今回初めて聴いたので興味深かったです。
はっきりと葬送音楽なのだけど、どこか若々しいロマンティックさも感じさせる曲。
調べてみたらなるほど、メアリーは32歳で亡くなり、この葬送曲を作曲したパーセルもその翌年に36歳で亡くなっているんですね。後半の金管は、彼女が逝った場所の天国的な美しさと、遺された者の悲しみと痛みが、ちょっと言葉で表現の難しい凄みと透明感を伴って感じられました。

「ベートーヴェン: ピアノ協奏曲第4番 ト長調 op.58」
先日のミューザのモーツァルトでは、ペライアとオケとの間に隙間を感じてしまった私。
今日のベートーヴェンはとてもよかったです。なにより(私の)来てほしいところに来てほしい音をオケがくれていた。ペライアも先日より安心して弾いていた、ように見えた。先日はちょっとイラってたように感じられたので(私の心がそう見せたのかもだが)・・・。ピアノソロに耳を傾けているハイティンクの後ろ姿も美しかった(だって鍵盤を見てると必ずハイティンクが視界に入るのだもの^^;)。
ピアノの弱音の抒情の豊かさ、胸が苦しくなるような深みのある透明感・・・・・素晴らしかったなぁ・・・・・・・・。基本は客観的で端正なのに、演奏が進むにつれどんどん彼自身が曲に沈み込んでいくところがとても好き。
ロンドン響の音は今夜も最後まで私の好みとはいえませんでしたが、今夜はピアノとオケとハイティンクの会話が先日よりちゃんと聴こえてきたので(私にはそう感じられたので)、いい演奏だったと思います。美しかった。
そして演奏後のハイティンク&ペライアのお二人の姿に、やっぱり大好き(*^_^*)と感じました。
またぜひお二人一緒に、日本にいらしてください!!!

「ブラームス: 交響曲第1番 ハ短調 op.68」
今夜は先日のブルックナーのような息を止めて圧倒される感覚(ブルックナーの心がホール中に広がっていくようなあの感覚)とは違ったのですが、第四楽章で思いがけず心動かされました。あの楽章はおそらく誰が演奏してもそれなりに感動的になるのだろうとは思いますが、すごくハイティンクさんに合っていた。第一主題、ベートーヴェンの歓喜の歌に似てるという指摘をブラームスは一蹴したそうですが、でもやっぱり聴いたときの感覚はとてもよく似てる。土台に厳しさはしっかりある上で、素朴で、明るくて、でも第九よりも女性的な優しさを感じさせる、この上なく美しい人生讃歌。
ハイティンクがインタビューで言っていた「Life is ok.」という言葉と声を思い出しちゃって。。。
彼の指揮でこれを聴くことができてよかったです。
温かいブラームスに、本当に「人生って悪くない」って思えました。

終わってみれば二日ともいい演奏会だった。
クラシック素人の私には色々学べて、大きな大きな感動ももらえて。

あ、楽屋口のお見送り、今夜だけ、参加させていただきました。
ハイティンクさんには私は本当に感謝の気持ちでいっぱいなので、心の中でありがとうございましたと言ってきました。エスパーじゃないから伝わってないでしょうけど^^;
ぜひまたお元気で来日されてくださいね。

昨夜も今朝も電車は人身事故で(ここからは6日の朝に書いてます)。目の前の現実生活とは別の次元にある、けれど密接に影響し合っているこういう美しさにもっともっと気軽に沢山の人が触れられれば、もう少しだけそういう悲劇も減るのではないかしら。と思うにつけ、世界の一流オケの演奏に貧富の差なく誰でもが(数百円さえ払えれば)触れられるプロムスの素晴らしさと、我が国の文化一般に対する(特に一部の政治家などの)意識の低さを思い、悲観を覚えるのです。
何度も何度も言っちゃいますが、文化を大切にしない国に未来はありません

ところで今夜の東京文化会館では、先日のミューザに聴きに来られていた方達って素晴らしかったんだな・・・と思い知りました。
先日のミューザは日本で初めて行ったクラシックコンサートだったので(イスラエルフィルはどちらかというとバレエ公演でしたし)、日本のクラシックの観客ってこんなに素晴らしいのか!と感動したのです。
あの静寂。あの集中力。あの中であのブルックナーが聴けたのは幸福でした。
今日の東文は色んな人がいた。。。演奏中にプログラムをパラパラずっと読んでたり(読んでないときは寝るか咳するか前傾姿勢の繰り返し)、ひどかったのはブラームスの静寂のときに1階席前方でピココン♪って携帯音が鳴りましたよね・・・。コンマスがハッて厳しい視線を向けたのが見えちゃったから、私が「ゴメンナサイ」って気分になっちゃったよ・・・。

次回のクラシックは、来年のシカゴ響。8年ぶり!もちろん安席ですけど(それでもあの時の15倍)。。。。。。。
そして今月は仁左様のバカ殿さま~@歌舞伎座♪♪♪

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