風薫る道

Who never feels lonely at all under this endless sky...?

4つの〝Point of No Return"

2011-12-23 16:52:24 | ミュージカル

"Point of No Return"は、私がオペラ座の怪人の中で一番好きな場面です("Music of the Night"も同じくらい好きですが)。
もうどうしようっていうくらいセクシー(><)
このセクシーさは四季には絶っ対に無理!
念のため言っておきますが、決して四季全般を否定しているわけではないですよ。私も四季は観に行きますし。
でもこれは譲れない。
『劇団四季のオペラ座の怪人は凄いらしい』というのが彼らの謳い文句ですが、3年前にロンドンの怪人を観て以来、このキャッチコピーを電車の中で見かけるたびに『ウエストエンドのオペラ座の怪人は凄いらしい(ていうか凄い)』と声を大にして言いたくなるのです。もっとも、この作品にセクシーさは不要という方にとっては、四季の方が性に合うのかもですが。

そして、映画。なぜ!なぜこの黒衣装をやってくれなかったのでしょう。なんなんですか、あの映画ファントムの怪人20面相みたいなダサい黒マスクは。この黒衣装の方が何百倍も色っぽいのに!このセクシーなシーンを露出のない衣装でやるからぞくぞくするのに!顔も体も隠して、手と声と仕草だけで怪人の感情が表現されるところが美しいのに!そりゃあジェラルド・バトラーはイケメンですから顔を隠すのが惜しかった監督の気持ちもわからなくはないですが、芸術的センスはゼロだと思います。あの映画はそんなに嫌いじゃないですが、あのシーンだけはいただけません。

と語りつくしてすっきりしたところで。
以下、ウエストエンドの(ここ数年の)4人のファントムによる、Point of No Return比べです。
こうして並べてみると、同じシーンなのにそれぞれ個性があって面白い。
この場面のファントムの何が良いって、クリスティーヌに触れる手つきのエロさ、そのくせ彼女から挑発的に誘惑されると戸惑いと歓びを隠し切れないその初心(うぶ)さ、そして追い詰められた小動物のような必死さでしょう。ああもぅ、このギャップがたまらない…!この緊張感がたまらない…!観ていて胸がきゅんきゅんしっぱなし(><)。このツンデレ君め。


(1)まずは3年前に観た、Ramin KarimlooとGina Beckのカップル。
Raminの演技は力強くて、なのに繊細で、引き込まれますね。そしてとても自然で、ファントムになりきってる。Ginaも顔も声も美しくてクリスティーヌの化身のようです。当時ロンドンでこれを観たとき、「目の前にファントムとクリスティーヌがいる」と本気で錯覚したことを覚えています。最後には自分がロンドンにいることさえ忘れたほどでした。
ただRaminは、クリスにマスクを剥がれた後の「Nooooo!!」のタイミングが、早すぎる気がするのでございます(25周年でも同様)。これではまるでマスクを剥がれるのが分かっていたみたいに見えてしまう。こういう場合、一瞬呆然となるのが人間の自然な反応ではないでしょうか。ほんとうに0.5秒位のレベルの話なんですけどね…、それでも気になる…。他の部分の演技が完璧なだけに。




(2)お次は、今回観たEarl Carpenter。Sofiaとの映像がなかったので、クリスティーヌはRachel Barrelです。
ってRachel、自ら指輪を取りに行ってる…!?上のGinaはRaminから嵌められてますよね。私もここはすっかりそういうものと思い込んでいたんですが(プチ混乱)。このシーン、クリスも意外と積極的ということか。まぁ、既に〝beyond the point of no return"なわけですしね。だとしても、このRachelの演技はちょっと積極的すぎる気がするが…。大事な指輪を取り返しているという解釈もできなくもないけど…(それならなぜ最後にファントムに返すのか)。ま、いいや。今はEarlです、Earl。
実際の舞台でも感心したけど、彼は手や指先の仕草が本当に美しい。Earlの手の指が長くすらっとした美しさに比べると、Raminのは指が短くて可愛い系(笑)であることがよくわかる。そしてEarlは非常に紳士的なファントム。演技もRaminとはまた違った意味で良い。フードをとられて慌てて去ろうとするけれど、目の前のカーテンを見つめ立ち尽くす後姿。このカーテンの後ろに何があるかをもちろん彼は知っているから。彼はもう後には引けないところまで来てしまっている(past the point of no return)のです。そして歌い始める『All I ask of you』。ああ…たまらない(><)。もっとも先日のEarlはこの頃とは色々な点で演技を変えていました。役者も一生懸命考えて工夫しているんですね。
あとEarlはクリスにマスクを剥がれる時の演技もいいと思います。一瞬唖然としてから、「No!!」。そうそう、こういうのが自然な反応だと思うのですよ。




(3)やはり今回観たScott Davies & Sofia Escobarのカップル(音声のみ)




(4)最後はJohn Owen-JonesとCelia Grahamです。
JOJ、やっぱり歌うまいなぁ。そしてやっぱり体は丸いな…。
あ、Celiaも自分で指輪を嵌めてる(Rachelほど露骨じゃないけど)。

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