風薫る道

Who never feels lonely at all under this endless sky...?

六月大歌舞伎 夜の部 @歌舞伎座(6月24日)

2014-06-25 23:48:54 | 歌舞伎



夜の部はもう行けないかと諦めかけておりましたが、なんとか前楽に行けました。
行けてよかった。
なぜって・・・・・


松 緑


えがったよぉぉぉぉ~~~泣泣泣

※3階B席


【蘭平物狂】

辰之助さんをお好きだったという方達が、今回の舞台に感動したと口々に仰っている意味がよーくわかりました。辰之助さんを観たことがない私でさえ、松緑と左近くんの親子の姿には胸がいっぱいになったもの。

前半は、松緑の台詞がちょっと単調気味ではあったけども、現代的なコクーンを観たばかりのせいもあって、この歌舞伎味が心地よかった。それにいい声!
花道で繁蔵を心配して遠くを見てる場面、ずっと同じ表情なのに思わず見続けちゃった。すごく精悍でいい顔。てか松緑って、お化粧上手ですよね。
踊りも、やっぱり少々一本調子には感じられたものの、きっちりと美しくて、松緑の生真面目さのようなものが感じられてよかった。

前半と後半の間の場面転換は、結構時間が長いのですね。

後半。
突然ですが、松緑は私のタテアレルギーを発動させない貴重な役者なのでございます。どんな役者さんでも大抵はすぐに飽きてしまうのに、松緑のときだけはなぜか違うのです。とんぼを返すあの動き、綺麗だなぁっていつも思う。すごくワクワクする。
しかも今回は、今までに観た立ち回りの中で群を抜いて派手!!客席も大喜びで、理屈抜きに楽しかった!!
下手の席だったので花道の梯子が真ん前だったのも、嬉しかったです。感動しました。

幕切れ近くで、左近クンの襲名披露口上。
左から順に時蔵さん、団蔵さん、左近クン、松緑、菊五郎さん、菊之助。
ここでもウルウル。。。(後で改めて筋書の写真を見たら、顔面血みどろの松緑が中央にいて結構シュールな光景だったけど^^;)
松緑の挨拶。
「(息子が)祖父曽祖父に一歩でも近付けますよう」・・・
~~~ちがうでしょ!あなたもそこに入るんでしょ、泣!さっきも書いたけれど、辰之助さんのファンだった人で、今回の舞台に感動したっていう人を何人も知ってるよ!左近クンだってひいお爺ちゃんやお爺ちゃんと同じように、誰よりもあなたを目標にしたいって思ってるはずよ…!!
今回は「んもう松緑ってば相変わらずネガティブ君なんだから♪」とは笑えんかった。。なんかぐっときて泣きそうになっちまったじゃないかぁ・・・。

いつか左近くんが蘭平をやってその子供が繁蔵をやるときには、松緑もぜひ一緒の舞台に立って(行平の役とか)、親子三代の舞台を見せてくださいまし。だから健康に気をつけて長生きしてくださいな。そのときは私も絶対に観に行く!
左近クン。ちっちゃい体なのにハキッと大らかな見得で、立派でした


【素襖落】

前幕が予想外に素晴らしかったので体力を使い切ってしまい、この『素襖落』と次の『名月~』はちょっぴり抜け殻状態での鑑賞に。。。^^;
なわけで前半は意識が飛び飛びだったのだけれども、姫御寮(高麗蔵さん)と次郎冠者(亀寿)の踊りは、雰囲気があってなかなかよかった、気がする。

後半、太郎冠者がお殿様(左團次さん)と太刀持ち(彌十郎さん)の待つ屋敷に帰ってからは、急に舞台が楽しくなって、私の目もパッチリ
幸四郎さんの太郎冠者。このタイプの演目って舞台の上にいるだけでふんわりした空気を作れちゃう役者さんか、でなければ舞踊で見せる役者でないと難しいと思うのですが、そしてそのどちらでもない幸四郎さんには不向きな役だと最初は思ったのですが。
でも、この後半の幸四郎さん、ちょっと可愛かったんです。
三人で素襖を隠し合うところは、三人ともほんっと可愛い いい歳した大人がなにやってんの、笑。
左團次さんがからかうように楽しそうに笑ってるから、余計に幸四郎さんが可愛く見え。
このお殿様と家来たちの関係っていいよねぇ。こんな会社に勤めたい(*^_^*)
楽しかった♪(後半は)


【名月八幡祭


吉右衛門さん、巧いなぁ!!
いつもなら「巧い」という字をあまり良い意味では使わないのだけれど、今回は褒め言葉です。ここまで巧く演じてもらえると、文句のつけようがない。といっても私が吉右衛門さんに大感動するときは、巧いの向こう側まで吉右衛門さんが行っちゃってるように感じるときで、今回はそこまでではなかったですけれど、それは贅沢な話。十二分に満足させていただきました!だって本当にすんばらしく巧かったから。

そして歌六さんの魚惣が、とってもよかった!こういうちょっととんがった歌六さん、好き。べらんめぇ調もイイ。もっとこういう役やってほしいな~。歌女之丞さんの女房ともお似合い(*^_^*)
この魚惣の家、すごく素敵ですよね。いいなぁ、リバービュー。こんな家に住みたい。←コレ必須ですけど。

錦之助さんの三次は、あまり船頭には見えなかったですが、ヒモっぽさ全開!でよかった。

芝雀さんの美代吉は、決して悪くはなかったのですけれど、もうちょい華やかな方が観ていて「楽しい」だろうなぁとは感じました。新助と並んで主役に見えるくらいの方が個人的には好みかもです。ただストーリー的にはとっても自然な美代吉で、いかにも新助みたいな男が好きになりそう。

新助フラれて~狂って~お祭り~美代吉殺害まで、まったく飽きずに観られました。だって吉右衛門さんがすんごく巧いから。
花道でわっしょい!と御輿担ぎで運ばれていく新助の姿(シュール…)は、ちょうど真上から鑑賞。いやぁ、本当に巧いよねぇ・・・(四回目)。怖いくらい

でもここでお客さん達は大拍手をするから、この後に月だけが上っていくときは、客席のテンションがちょっと微妙な感じになってた気が。
「あら、終わったんじゃなかったの?」みたいな。そして月が上りきるまで再び大人しく待って、もう一度誰もいない舞台に向かって拍手、みたいな。まぁ吉右衛門さんの引込みが強烈すぎるせいもあるんでしょうが、笑。

ところでこの最後の月は・・・、どうなんだろう
とっても立派で美しいのだけれど、ここまでデーン!と大トリのように昇られると。。
もう少し直接的でない表現の方が、私は好みかも。野崎村の奴凧のような。気付いたら視界に入っているような、気付かない人は最後まで気付かないような、控えめで、だからこそじんわりくる感じが好き。

今回は珍しく下手のお席でしたが、花道の松緑や吉右衛門さんが真ん前(下)に見えてとてもよかったです。下手も悪くないですね^^



祝い幕は、「四ツ輪に抱き柏」の紋に、おめでたい松葉。そして可愛らしいお馬さん^^

Comment    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 暗闇で聴く古典芸能 @横浜... | TOP | 『ロミオとジュリエット』 K... »

post a comment

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。