風薫る道

Who never feels lonely at all under this endless sky...?

歌舞伎座新開場 こけら落五月大歌舞伎 第三部(5月4日)

2013-05-04 23:47:04 | 歌舞伎



二日目の4日に行ってまいりました、杮茸落五月の第三部。
もう4月からずっと夢のような日々が続き、こんなに幸せでいいのかしらという感じです。
お金も夢のように飛んでいっておりますが。。。^^;
前回の経験で3B席には懲りたので、今回は3階A席からの鑑賞。


【梶原平三誉石切】

歌舞伎はストーリーではなく“役者で見せる”という意味を、つくづく感じた演目でした。『寿曽我対面』と同じで、花形だったら退屈で仕方がない演目なのだろうなぁ(花形が悪いわけではなく演目的に)、というのが正直な感想。。
だからこそ、吉右衛門さんと菊五郎さんで観られてよかった!
菊五郎さんの声に、あいかわらず聞き惚れました。
昔の歌舞伎座のときはどうだったか覚えていないのですが、今回の歌舞伎座、楽器の音が客席に届きすぎて、役者の声が聞こえないことが非常に多いのですよ。。。先日のNHKの特集では「これまでと全く同じ」と言ってたけれど、新たに天井に組み入れたという反響板がよくないのではないだろうか。。
でも菊五郎さんに限っては、台詞が聞こえにくかったことがこれまで一度もないのです。この人が話し始めると、毎回しゃきっとした気分になる。
そして吉右衛門さん。こういう役がぴったりですね!
それもそのはず。
思いきり鬼平じゃないの、この梶原って(笑) 又五郎さんもいるし(悪役だけど)。
問題をうまく収めるだけじゃなく、梶原自身が源氏縁の名刀を惚れ惚れと嬉しそうに眺めている姿に、私も惚れ惚れしちゃいましたよ。ただ真面目で正しいだけの人じゃないところも、まんま鬼平だわ^^
一連の所作の美しさも、口跡の美しさも、あいかわらず一級品。
そして、斬った呑助死体がとってもプリマハム(笑) こういうリアリティの欠片もない歌舞伎の小道具の陳腐さ、ほんと好きだ。

とはいっても、ストーリーはほんと大して面白くはないんですよね。
彌十郎さんの呑助の語りの場面などは、退屈で仕方がなかったし。。。
でもある意味、もっとも歌舞伎らしい演目ではないかと。
ストーリーが派手だと誰が演じてもそれなりに楽しめるので、役者の力は二の次になりがちですが、歌舞伎の魅力はやっぱり“役者”が第一だと思うので、こういう役者の力にかかっている芝居もやっぱり観たい。
そういう意味で、今回の吉右衛門さんは最高に見応えがありました。
単独で上演されたら観に行くか?と聞かれたら、微妙ですが。。
そういうところ、松竹は実にうまく演目を組んでいますね。


【京鹿子娘二人道成寺】

「玉三郎と菊之助が誘う美の迷宮に足を踏み入れ、こころゆくまで酔いしれてください」

(シネマ歌舞伎のキャッチコピーより)

酔いしれましたとも!!
最初に花道に玉&菊が二人並んだ瞬間に、客席の隅から隅まで彼らの世界、この世ならぬ世界に引き込まれたと断言できますよ。
私は、歌舞伎でもバレエでもミュージカルでも映画でも、「事前の期待が大きすぎた。期待していなければもうちょっと感動できたかも」ということが、ありません。どんなに沢山期待していようといなかろうと、そんな些細なことはふっとばしてしまう圧倒的な迫力で、感動する作品というのは必ず感動をくれます。今回がそれでした。

二人は親子ほど歳が違うはずなのに、まるで姉妹のよう。
「毬歌」で舞台中央に並んで座る二人の、色っぽくて、可愛らしいことといったら!
私なんかが女やっててほんとごめんなさいって感じです。。

「恋の手習い」
これはもう玉さましかいないでしょ!絶対玉さま!
美しくて、凛としていて、かつ艶っぽくて、可愛らしくて、切なくて。。。
この玉さまを観なかったら、一生後悔するところでした。
本当に、観られてよかった。
神様ありがとう。
ついでに私を杮茸落前に歌舞伎に引き戻してくれた正月の海老も、ありがとう。
途中から菊之助も加わって二人が去り際に手ぬぐいを適当な感じに投げる投げ方は、かっこよすぎて痺れた。。。
将門の枝をぽいって投げるときと同じで、こういう上から目線な振り、大好き。

「ただ頼め」
正直なところ、踊りは菊之助もとっても上手なのだけれど(菊之助のが上手に見えたときも何度もありました)、「見たい」と思わせる雰囲気は玉さまが圧倒的。。頭も小さくて、雛人形のようですし。
でも、この「ただ頼め」の菊ちゃんは、すっごくよかったです。これは文句なしに見惚れました。
それまでの踊りは、玉さまに比べて「ソツもないけど味もない」という印象だったのですが、この踊りが彼に合っているのか、とても伸び伸びと華やかに踊っていました。

そして最後の「鐘入り」。
音楽&踊りのテンポが速くなり、次第に鐘に近付いていって一気に鐘に飛び込み(三階席からは鐘裏が観えてしまっていたけれど^^;)、大蛇となって鐘の上から再び現れるときの二人・・・!なんて妖しくて、可愛くて、美しいの!
それまでずっと華やかな色合いの衣装で、最後の衣装が白地に銀糸の枝垂桜だなんて素敵すぎる。
おろした長い髪もいい!
可愛い菊と艶やかな玉さまの組み合わせ。最高です。

ほんとうに、日本人に生まれてよかった!!

そうそう。
今日は、菊ちゃんの奥さまの瓔子さんが受付にいらっしゃいました。
笑顔が明るくて可愛らしい方でした^^
なぜか「菊のお嫁さんなんだなぁ」ではなく、「吉右衛門さんの娘さんなんだなぁ」という風に見てしまいましたが(笑)

★二回目の鑑賞の感想はこちら

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