風薫る道

Who never feels lonely at all under this endless sky...?

歌舞伎座新開場 こけら落五月大歌舞伎 第三部(5月9日)

2013-05-12 19:58:00 | 歌舞伎



前回につづき、2回目の第三部です。
今回の席は、1階の前から5列目のセンター、花道寄り。
前日に購入したのですが、良席がとれて満足♪


【梶原平三誉石切】

何度見ても、この吉右衛門さんはよいのぅ~~~。
今回は真ん前で拝見しましたが、懲りずに惚れ惚れいたしました。
梶原って、名前も鬼平と同じで「ヘイゾウ」なんですね!今回梶原の台詞で気付きました!
って、タイトルをよく読めば、そのまんま書いてあるのですが。。

吉右衛門さん、あいかわらず「名刀LOVE♪」な感じが全開で、微笑ましかったです。
「これほどの名刀を切腹で汚そうとは恐れ多い」って六郎太夫を止めるところ、梶原、絶対に心底そう思ってると思う(笑)
そして思いっきり上機嫌に花道をひょこひょこと踊るように去る吉右衛門さん。
ウンウン、源氏縁の名刀を手に入れられて嬉しいんだね。なんて若くて可愛い68歳。
仁左衛門さんの繊細さとも、團十郎さんのおおらかさとも違う、独特な豪快でゆったりとした個性がありますよね、吉右衛門さんって。
菊五郎さんもそうだけど、ほんとこの世代の役者さんは「歌舞伎を見てる」という満足感をくれる。
歌舞伎って素晴らしい♪
そうそう、「斬り手も斬り手」「剣も剣」の後の「役者も役者!」っていう大向う、楽しいですね。こういうの好き(吉右衛門さんは嫌いらしいが、笑)。もっとも今夜の方は少々元気がなかったので、もうすこし景気よく掛けてもらえるといいな。


【京鹿子娘二人道成寺】

この第5期歌舞伎座は、私達の世代と次の世代の方々が引き継いでいくことが大事だと考えております。そういう意味も含めまして「京鹿子娘二人道成寺」という作品を5月公演の最後の幕で務めさせていただきます。
…物を作るという大切さを噛みしめながら、そして良い物が出来て行くであろうという夢を持ちながら第5期歌舞伎座で生きていきたいと思っております。この歌舞伎座杮茸落しの期間に「アマテラス」という舞台を控えておりますが、今後もこの第5期歌舞伎座でも最大の力を尽くしたいと思っております。

(坂東玉三郎ホームページより)

2万円で一生分の幸せをいただきました。大袈裟じゃなく。
本当にありがとう、菊ちゃん&玉三郎さん。。。
席位置は最高でも隣の客のせいでとっても注意を削がれた鑑賞となりましたが、普通だったら絶対に感動なんてできない環境だったにもかかわらず(ほんとヒドかった、隣の客・・・)、どんな条件下であろうと、感動させる作品というものは必ず感動させてくれるということを改めて実感いたしました。

「道行」
花道のスッポンから登場の玉さま。アップにも耐えられるどころか、アップで見ても頭が小さくて綺麗・・・。菊之助より若く見える瞬間さえあるなんて、どうゆうこと。。
ごめん、菊ちゃん!!と何度も心の中で手を合わせながら、どうしても玉さまに目がいってしまった。
決して菊ちゃんが悪いわけではないのです。踊りもとっても上手ですし、一人だったら全く問題なかったと思う。でも、でも、玉さまと並んでしまうと、どうしても玉さまから目が離せなくなるのです。上手いとか下手とかいう話ではなく、滲み出る雰囲気の違いといいますか、うまく説明できないのですが。。
そして二人が少しタイミングをずらして扇子をすっと掲げるところ、カッコよくてカッコよくて、何度観ても溜息が出る。。。

「恋の手習い」
菊ちゃんが途中から合流するときに玉さまが両手で小さく手を叩く振り、いいなぁ。
今回目の前で二人の踊りを観て、玉三郎さんには「自分が目立ちたい」という気持ちが微塵もないのだということがよくわかりました。
何よりも、菊之助に引き継ぎたいっていう強い決意を感じた。
今回の杮茸落はどの演目でも、大御所といわれる役者さん達のそういう思いをとても強く感じます。
そんな彼らの姿に感動しながらも、なんか、寂しいなぁ。。。。。。。

「ただ頼め」
今回は玉三郎さんでした。
わかっちゃいたけど、玉さま、濃い紫の衣装がものすごく似合う!!
菊ちゃんの「ただ頼め」もかなりよかったけれど、さよなら公演のときも菊ちゃんだったとのことなので、今回この玉さまを観ることができてとっても嬉しかったです。
可愛らしくも凛とした艶のある、とても玉三郎さんらしい踊りでした。
あと何回、この人の娘道成寺を観ることができるのだろうか。。
でも、今夜の踊りを見て、改めて心から若手を応援したいと感じました。
それが玉三郎さん達の願いだと思うから。
すでに玉さまとは違う個性を打ち出して頑張っている菊ちゃん、応援してるよ~!

「鐘入り」
鐘の上の二人は、いつまでもいつまでも見ていたい美しさでした。
引き継ぐ玉三郎さんと、それを受け止め、また次の世代へ引き継いでいく菊之助。
二つの世代の強い思いが感じられた、第五期歌舞伎座杮茸落の二人道成寺でした。

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