風薫る道

Who never feels lonely at all under this endless sky...?

歌舞伎座新開場こけら落 壽初春大歌舞伎 『松浦の太鼓』(1月23、25日)

2014-01-27 01:06:51 | 歌舞伎




23日の夜の部の前に幕見で観たらとてもよかったので、前楽の日にも再見。
こんな舞台が1200円なんて!これは安いと思う!

※幕見(23、25日)


【松浦の太鼓】

先月観た『弥作の鎌腹』と同じく、秀山十種の内の一つです。

吉右衛門さん目当てで観に行ったこの演目ですが、予想外によかったのが両国橋の場。
其角@歌六さんと、源吾@梅玉さん。
俳諧の師と弟子の間柄の二人は、雪の両国橋で偶然に再会し、床几に腰かけ近況を語り合います。
別れ際、花道を行きかける源吾を其角はふいに呼び止め、「年の瀬や水の流れと人の身は」と詠み、付け句をするように言うと、源吾はしばらく考え、そして詠んだ句が「明日待たるゝその宝船」
一人立ち尽くし、その句の意味を考え込む其角――。
やがて再び降り出した雪に傘を広げ、上手へと去ります。
このお二人の、最初から最後までなんと雰囲気のあること!
師走の江戸の寒さや空気の匂いまで伝わってくるよう。。。
ここが元禄の両国橋で、さっきまでどんな風に雪が降っていて、これからどんな風に降って、其角と源吾がこの場所までどんな風に歩いてきて、どんな風に帰るのか、それがこの短い時間でわかるのです。この日がもう討入り間近であることも。
お二人ともブラヴォー!!でございます。

で、ところ代わって翌日の松浦邸。
幕が開くと、句会の真っ只中。
上手には、座布団に座ってる松浦公@吉右衛門さん。
萌黄色の着物がお似合いです!吉右衛門さんの周りの空気が明るいのが、4階からでもわかる^^
しかし源吾の妹で腰元の縫(米吉)がお茶を運んでくると、その機嫌は急降下
殿が不機嫌なのは縫との色っぽい理由ではないかと推測する其角に、楽しそうにころころと表情を変える吉右衛門さん、美しいぞ。
ご機嫌斜めになったり(「ばかっばかっ」て脇息をポカポカ。可愛すぎ…)、直ったり、でもやっぱり斜めになったりと、忙しない松浦公。
その真意は――。

「予はな、予は、隣屋敷の吉良家にもう誰か斬り入るだろう、討ち入るだろうと、内々、内々、、、、、楽しみに致しておるのじゃ~~~!!!」

な、なにこの可愛い殿さま。。。
にもかかわらずただのバカ殿にならないところは、さすが吉右衛門さん

そして其角の漏らした源吾の歌の意味を思案していると、にわかに鳴り響く陣太鼓。
うわ、ここ、もっのすごいテンション上がる~~~~~(松浦公のテンションもここから一気に急上昇笑)
はっと顔を緊張させ、膝でずりずり前へいざり出て、太鼓の音に耳を澄ます松浦公。
みるみる輝き始めるその表情。
そして流れ出る名台詞!!

「三丁陸六つ、一鼓六足、天地人の乱拍子、こりゃこれ山鹿一流の妙伝にして、今この妙伝を得たる者は、諸侯で岡部、マヽこの鎮信じゃ。陪臣にては上杉の家臣千坂兵部に、今一人は赤穂の大…」

変わる太鼓の音、笑顔全開で指を折る松浦公。
ドン、ドン、ドン、ドン、ドン、ドン…
一、二、三、四、五、六…

「宝船はここじゃ。ここじゃ~~~!!」

あ~~~、幸福!!!
松浦公も幸福だろうけど、私もとっても幸福!!!
見惚れて、聞き惚れて、もうどうしましょう!!!
ここの吉右衛門さんと、次の幕で討入りの様子を語りたおす梅玉さんの長台詞に、あ~歌舞伎が好きでよかった~~~~としみじみ。。。

米吉の縫も、よく役に合っていました。ふっくらカワユイ^^

この11月~1月は忠臣蔵にどっぷり浸かることができて、幸せでございました。
1月に忠臣蔵ってどうなんだろう?と最初は思ったけれど、筋書の「季節感溢れる忠臣蔵外伝の名作をお楽しみください」の言葉に、そっか、旧暦では討入りってまさに今なのよね、と。本当の意味で肌で感じる「季節感」が合っているのは、12月よりも1月の今なのでした。
そう思うと、これからも1月にも忠臣蔵、やってほしいなぁ。

吉右衛門さんは、ようやく来月はお休みですね。
ゆっくりとご休養くださいまし。
そして3月にまた、歌舞伎座でお待ちしております!!

そしてそして。。。
こうして菊五郎さんや吉右衛門さんの芸に見惚れれば見惚れるほど、聞き惚れれば聞き惚れるほど、、、、、仁左衛門さん早く帰ってきて~~~~~~~;;な気持ちが募ります。。。
ああ、仁左さまの舞台が観たいよぉぉ~~~~~~~~。
あと半年の辛抱ですね。。。

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