風薫る道

Who never feels lonely at all under this endless sky...?

ボストン交響楽団 @ミューザ川崎(11月5日)

2017-11-06 01:57:20 | クラシック音楽




以下、年に数回の演奏会(とその予習)以外ではクラシックをほとんど聴かないド素人の感想です。普段まっっったく聴きません。なので知識もありません。
自分用覚書として好きに書いているので、「ど素人のくせにエラそーなこと書くなよ」と言いたくなるタイプの方は読まないでね。


今月は来日オケラッシュですが、私はボストン響×2、ゲヴァントハウス×3です。今年はそれでお終い。
さて、ネルソンスとボストン響。どちらも、録音でも生でも演奏を聴くのは今日が初めてでした。
アメリカのオケを聴くのは、ハイティンク×シカゴ響、ムーティ×シカゴ響に続いて3回目。
開演前の舞台での音出しは、爆音がトイレの個室にまで喧しく聴こえていたCSOと比べると、こちらは大人しめ。同じアメリカの楽団でも個性は様々なんですね。
客席の埋まり具合は6~7割位でしたでしょうか。それでもハイティンク×LSOやヤンソンス×BRSOよりは埋まってたかなぁ?同じくらいか?ちなみにハイティンクもヤンソンスもD席9000円でした。今回は同じ席が12000円。高いよ・・・・。ハイティンク×LSOのブルックナーなんて私にとってはあれを超える演奏会にいまだ出会えていない素晴らしさだったのだけど、演奏会の値段の付け方ってどうなってるのだろう。もっとも公式サイトを見るとBSOってホームでも結構高いようなので、そのせいもあるのかな。

【チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調】
昨年のヤンソンス×BRSOでは、大好きなご主人様に懐く元気で毛並みのいい大型犬のように見えたシャハムさん。今回はステージ上に大型犬×2がいるように見えた笑。コリー犬(シャハム)とセントバーナード(ネルソンス)的な。そしてどちらも全身で全力で「音楽が大好き!」って言ってるの
昨年のベートーヴェンでは少々音色がストレートで温かすぎに感じられたシャハムだったけど、そのクリーンで素朴な明るい音色がこの曲にはとても合っていると思いました。youtubeで色々なヴァイオリニストのこの曲の演奏を聴いたけど、個人的にシャハムのはかなり好みです。
今日は絶好調という感じではなかった気もしたけど、特に2~3楽章はすごくよかった

ボストン響の演奏は、想像していたものとはちょっと違って。
シカゴ響+ヨーロッパ臭=ボストン響かと勝手に想像していたのだけれど、シカゴ響の恐ろしいほどの精緻なアンサンブル(一つの楽器に聴こえるアレ)や、演奏のある種の「完璧さ」(好みは別として)は、意外なことにBSOにはなかった。あと、私には弦の音色がちょっと濃密じゃないというかスカスカした感じに聴こえたのですが、これは真逆の感想も多いので、座った席によるのかな。一方でムーティ×CSOのときはその美しいけれどあまりに影のない明るい音色と演奏に「このコンビのチャイコフスキーは二度と聴かん」と思ったけれど、ネルソンス×BSOは思っていたより土臭い音も出ていて、これは嬉しかったです。3楽章の終盤はカッコよかった!
ちなみにしっとり&こってりした情感は、ネルソンス×BSOはほぼ皆無のように感じられました。一楽章のあの主題もさっぱりめ。ラフマニノフは現地での評判はすごくいいようだけど、この感じだと、どうなんだろう(私は行けないけれど)。

この曲は火曜日にもう一度、今度はサントリーホールで聴くので、楽しみです♪

【J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ 第3番より「ガヴォット」(ソリスト・アンコール)】
このアンコール、美しかった
この人の演奏を聴いていると、音楽って素敵人間って素敵とポジティブな気持ちになれる。

(20分間の休憩)


【マーラー:交響曲第一番「巨人」】
ネルソンスの指揮って、この人が表現したいであろうことが子供のようにわかりやすく現れていて、見ていてとても楽しい
キメどころはしっかりキメてくれるところは、やっぱりヤンソンスさんのお弟子さんですね~。一楽章のラストがばっちりキマった瞬間、ぱッと嬉しそうに笑った顔には思わず恋してしまいそうでありましたよ。隠れた音もしっかり聴こえさせるところもヤンソンスさんに似てるなぁと感じました。

この曲を生で聴くのは二度目です。一度目は昨年のムーティ×シカゴ響(このコンビで私が唯一いいように感じられた演奏)。
先程も書きましたが、シカゴ響の驚異的な音の崩れなさや金管の輝かしさと比べると個人的にこのマーラーの演奏もツッコミどころが多く感じられたのですけど、私はこの演奏、好きでした。
今までどんなに解説で「1番はマーラーの青春を表現している」と言われても、CSOの演奏でも、youtubeで色々聴いても、あまりそう感じなかったのです。でも今日の演奏を聴いて、「おお、青春だ!」と感じた。
ときどき現れる鋭い音と静けさの対比、強弱、緩急の変化が新鮮でした。なるほどショスタコ得意そうだと思った。
音楽が自然に流れずに指揮者の意図が割とはっきりと音に出てしまっているのは気になったけれど、そこに嫌なあざとさを感じさせないのはネルソンスの人間性ゆえなのかも。そのうち演奏の不安定さまでも「青春だ!」と聴こえるようになってしまった。CSOでは感じられなかった金管の影のあるとんがった音色も、青春の暗さが感じられるようでよかったです
が、先程も書きましたが、ロマンティックであるはずの部分でもロマンティックさはほぼ皆無でありました。なかなか情感的には歌ってくれない。そういう部分になると途端にフラットな演奏に聴こえてしまったのだけれど、あれは指揮者の意図だったのかどうなのか。

とまぁなんのかんの思いつつ、なかなか楽しめたマーラー1番ではありました。
そういえば4楽章の最後に速度を上げていってガーッとフィナーレを迎えたところ、海外のレビューで「楽譜どおりだが、そうしてしまうと感動を得にくい」というのを見かけたけど、私は青春ぽくていいと感じました(ムーティはもっとどっしり系だった記憶)。ホルンは今回も立たせていました。あれ楽しくて大好き。最後の「チャン↘チャン!!」は、その直前が盛り上がるだけにyoutubeで聴いてるとここでちょっと拍子抜けする演奏も多いように思うのだけど(あえて軽くしている演奏もあるのだと思うけど)、ムーティ×CSOと同様にネルソンス×BSOもしっかり盛り上げきってくれて満足でした。

そうそう、1楽章冒頭でトランペットがバンダをしていましたが(CSOでもしてたっけ?)、戻ってくるときに普通に靴音が響いていて、自由だなと感じました笑。戻ってすぐに吹いていたので、時間的にギリギリなんですね。


【ベートーヴェン:「エグモント」序曲op.84(アンコール)】
――の前に、舞台上のネルソンスがいきなり客席に向かって大声で「レイディースあんどジェントルメン!」→客席大爆笑
舞台上の指揮者が客席に話しかけるだけなら珍しくはないかもだけど(先日のチェコフィルもそうだったし)、あの大声が笑!この人面白い!真面目なのか冗談なのかわからないところも面白い!
「残念ながら私は日本語が話せません!」→客席爆笑
「英語も上手く話せません!!」→客席大爆笑。まさかの自虐ネタ投下。ここでネルソンス、オケを振り返ってグッ(ツカミはOK的な)
「今日はこの素晴らしいホールでボストン響と演奏ができたことをとても嬉しく思います。ベートーヴェンのエグモントを聴いてください」

これ、とてもよかった。アンサンブルもほぼ完璧だったけど、演奏し慣れてる曲なのかな。

ソロカーテンコール。かなり長い時間拍手が続いていて、私は割とさっさと外に出てきてしまったのだけど(正直ソロカテコほどだろうか?というのもあり)、ツイッターで話題になってた「音楽魂万物」のTシャツ姿で出てこられたそうで、その格好は見たかったな笑。
次回は、二日後。ショスタコーヴィチ@サントリーホールです。楽しみ!

※7日の感想はこちら

※このネルソンスのインタビュー↓、なかなか面白かったです。
「Sound and Spirit」
特に目新しいことは書かれていませんが、彼の人柄の良さが出ていて。
ネルソンスはカトリックなんですね。マーラーやショスタコーヴィチと神との繋がりをどう考えるか、などについて言及しています。日本人のような無宗教の人達と音楽についても。そういえばシャハムはペライアと同じでユダヤ系アメリカ人なんですよね。

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