風薫る道

Who never feels lonely at all under this endless sky...?

ボストン交響楽団 @サントリーホール(11月7日)

2017-11-10 02:00:48 | クラシック音楽

5日の川崎に続き、ネルソンス&ボストン響のサントリー公演に行ってきました。
仕事を1時間早退してPAULで夕食をとり、サントリーホールに着いたら、物々しい警備。
今回はどなた??
皇太子さま&雅子さまでした(RB▽地帯の最前列)。


※以下、クラシックど素人の自分用覚書のためだけの感想です!!

【チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調】
シャハムは演奏前と退場時に皇太子ご夫妻にペコリと笑顔でお辞儀。外の空気は物々しくても、中はネルソンスとシャハムの人柄で和やかないい感じ。
演奏は、すっっっごく楽しかったです
このオケの音に慣れたという理由もあるし、近くで聴いているとン?という瞬間は今夜も皆無ではないけれど、サントリーホールは良くも悪くも音をクリアに拾わずに包み込むので、細かな粗が気にならない。殆どの奏者にとってはサントリーの方が演奏しやすいホールなのではないかなぁと今回改めて思いました。一方でヤンソンスさんはそういうミューザの特色を愛してくださっているのだなぁとも改めて。
オケも指揮者もソリストも熱かった。
第一楽章から聴いていてわくわくしっぱなしでした。
川崎のときにシャハムの調子が絶好調ではないような?と書いたのはちょっと飛んでる音があるように聴こえたからだったのだけど、あれは調子云々じゃなく、「憑依 >丁寧」な演奏だったのね。ソリストと指揮者とオケの掛け合いに、思いっきり協奏曲のライブの楽しさを味わわせてもらえました。近付きすぎでしょあなた達なネルソンス&シャハムのコロコロ変わる表情も、見ているだけで楽しい。
先日も書きましたが、この曲のこういうストレートで明るい演奏は、私は大好きなんです(そうじゃない演奏もいいけどね)。それでもボストン響の音って明るすぎることはないし。
とっても楽しく、幸せな気持ちにさせてもらえた今夜のチャイコフスキーでした。大満足です。ありがと~

J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ 第3番より「ガヴォット」(ソリスト・アンコール)
前曲の熱が引かないままの少々熱すぎなバッハではあったけれど(川崎ではもうちょい落ち着いてた気がするけど)、やっぱり今夜も誠実で明るくてまっすぐで、ポジティブな気持ちにさせてくれたアンコールでした。でも足音バンバン響かせすぎだわ、シャハムさん

(20分間の休憩)

【ショスタコーヴィチ:交響曲第11番「1905年」】
ショスタコーヴィチの曲を聴くのは2回目です。一回目は2008年のハイティンク×CSOの交響曲4番。私が人生で初めて聴いたオーケストラのコンサートでした。プロムスでしたのでアリーナで立っていたら、後ろのイギリス人のおじさんが「ショスタコーヴィチ、いいよねー^^」と。「俺、大好きなんだけど、あまり一般的には人気ないよねー^^」と。(同じコンビが前日マーラーをやっていたのにあえて今日を選んだんだから)当然君達もショスタコファンっしょ^^?てな雰囲気。いや私のお目当ては前半のモーツァルトのピアノ協奏曲で、“しょすたこーびち“という作曲家は今回初めて名前を知ったし、どういう曲かも知りません、とはとても言えかった。なに、“しょすたこーびち“って人気ない作曲家なの?と不安にさせられつつ、そして始まった演奏。ワタクシ、このときまで本当にショスタコーヴィチがどんな音楽を作る作曲家か知らず、頭の中はまだ前半のモーツァルトモードだったのですから、そのときの衝撃がどんなだったかお察しいただけるでございましょう。そして演奏が終わった後の会場の「ぶらう゛おぉぉぉ~~~~~」というおっさんたちの雄叫びとも何ともつかない大喝采(演奏中はすごく静かに聴いていました)。目の前の舞台には品よく笑っているハイティンク。それが私の初オケ体験でございました。ちなみに話しかけてきたおじんさんも満足気な様子で帰って行きました。家がロンドンじゃないから今から鉄道で帰らなきゃいけないんだ~って。
そんなわけでいつかまたショスタコーヴィチを生で聴きたいな~と思っていたところ、ちょうど聴いてみたいと思っていたボストン響がやってくれたので、チケットゲット。

で、ネルソンス×BSOの11番の感想なんですけど。 

私にとっては良くも悪くもこのコンビに対する川崎の印象の再確認になってしまったような、ショスタコ11番でございました。
ネットは絶賛評が殆どですが、ネガティブ評の方は「リアルな虐殺の血生臭さが足りない」というものが多かったように思います。ですが私はリアルな血生臭さは別にそこまで重要だとは思っていないのです(もちろんあってもいいです)。これは戦争ドキュメンタリーではなく音楽ですし。
私が今回の演奏で最も気になってしまったのはそこではなく、川崎と同じく、このコンビの演奏の「情感」の薄さでした。
たとえば2楽章で幾度も繰り返される「おぉ、皇帝われらが父よ」のフレーズ。これは、もう後がないところまで追いつめられた民衆達の、皇帝に対する命をかけた最後の懇願でしょう。そこにあるのは怒りだけではないはず。ここで切々とした彼らの想いが胸に届いてこないと、3楽章で鎮魂の気持ちを持つことができなくなってしまうのよ。。。
あれはネルソンスの意図なのでしょうか。それともネルソンスは情感を出したいのだけどBSOができていないのでしょうか。

4楽章ラストなどの、良い意味で整いすぎていない音色、とんがった、でも太くパワフルな金管。それは本当に存分に楽しませていただけました。この曲ではこういう部分もとても大事だと思うので、川崎のこのコンビの良い印象の方を再確認できました。
銃撃による虐殺シーンは、サントリーホールでは音が飽和して籠ってしまって、ちょっともったいなかったな。こういうの、このオケは上手いように思うので。

本日のアンコールは2曲。
ショスタコーヴィチ:オペレッタ『モスクワのチェリョムーシカ』作品105より「ギャロップ」】
これはもうこのコンビの魅力が100%出ていました。鮮やか!お見事!最高に楽しかったです

バーンスタイン:管弦楽のためのディヴェルティメントより第2楽章「ワルツ」】
アンコール前のスピーチでも言っていたけど(皇太子ご夫妻がいらしたので今夜はあの楽しいスピーチはないかなと思っていたら、やってくれた♪)、これはバーンスタインがボストン響のために作った曲なのだそうですね。なるほど、さすがに聴かせてくれました やっぱりちょっと情感が足りない気もしたけど、違和感はあまりありませんでした。

P席へのオケの一斉挨拶はなかった、ですよね(ちょっと記憶が曖昧になってきてるけど…)。そういう海外オケって珍しいような・・・。でもパーカッションや金管など後方の一部の方達が自主的に振り返って笑いかけてくれて、それが皆さんとっても優しい笑顔で、嬉しかったです

さて、今日はソロカーテンコールまで残るか否かどうしましょう、チャイコフスキーとアンコールはすごくよかったし、と考えながらコートを手に取ってふと斜め上を見ると、皇太子さま&雅子さまがまだ拍手をし続けておられる・・・!(実はお二人の存在を忘れていました^^;)。一般の客も帰り始めているのに!なかなか声をかけられずに戸惑っている様子のお付きの人達。この光景にちょっと感動してしまったので、私も残って拍手。ほどなくネルソンスが出てきました。今夜はもちろんTシャツ姿じゃなかった笑。周りはみんなスタオベしていましたが、私はショスタコ演奏へのささやかな意思表示としてスタオベはしませんでしたです。このときは手を伸ばせば届くような距離でP席にも満面の笑顔を向けてくれていたなか、座り続けた私を褒めてくださいまし(でも笑顔でいっぱい拍手はしたよ!)。いつか一番にスタオベしたくなるような演奏を聴かせてくださるのを、心から楽しみにしています。ああ、こんな風に普通に数十年後まで思いを馳せることができるのは、若い指揮者の良さだなあ。ネルソンスはワタクシと同世代なので、一緒に年を取っていける指揮者です。まあ私が年金生活になる頃にはサントリーホールに来られるような経済状態にないと思いますけどね。あるいは一年に一回だけの楽しみとかね。

そしてネルソンスが袖へ引っ込んだ後に、皇太子さま&雅子さまがご退場。残っていた客席から拍手。客席にそっと手を振ってくださいました ふと舞台を見たらBSOの人達も下手の方に固まってお二人に拍手してくださってた笑。

ところで、ツイッター等で今回もフラブラ&フラ拍手に対して多くの批判が出ていますが、マーラー9番やアルプス交響曲みたいな終わり方の曲は別として、それ以外は、演奏や指揮者や会場の空気によって臨機応変でいいのではないかと思うのです(まあ大抵の場合はアウトだと思いますが)。その空気を読めない困った客がいるから、ルール化したくなる気持ちもよーくわかりますけれど・・・。でも終わった瞬間のブラボーや拍手がそのときの空気に最高に合うときだって皆無ではないと思うんです。ちなみに私は今回のコンビのチャイコフスキーVn協奏曲の第一楽章が終わった瞬間、拍手がしたくてたまらなかったです(←通常なら二重のアウト)。まぁでも、難しい問題ですね・・・。



suntory hallのtwitterより。7日のチャイコフスキーのネルソンス&シャハム ブラヴォー!


皇太子さまと雅子さま ©New My Royals



アンドリス・ネルソンス指揮ボストン交響楽団 チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品35 第1楽章より(ヴァイオリン:ギル・シャハム) 2017年11月7日、サントリーホール
7日のネルソンス×シャハム×ボストン響のチャイコフスキーのハイライト2分20秒をサントリーホールがあげてくれた
ライブではすんごい楽しかったけど、こうして録音で聴いてもやっぱり楽しい

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