元・副会長のCinema Days

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「バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生」

2016-04-10 06:35:30 | 映画の感想(は行)
 (原題:Batman v Superman:Dawn of Justice )いわゆる“一見さんお断り”の映画である。タイトルこそバットマンの名前が先に来るが、実質的にはスーパーマンが主人公を務める「マン・オブ・スティール」(2013年)の続編だ。だから“前作”を観ていないと設定がよく分からない。さらに、バットマンはもちろんDCコミックスに出てくる各キャラクターも知っておく必要がある。単純なヒーロー物だと思って入場した観客は面食らったと思う。

 前回のスーパーマンの戦いによりメトロポリスは壊滅的なダメージを受け、大勢の犠牲者が出る。ちょうどその場に居合わせたブルース・ウェインはスーパーマンのパワーが人類の脅威になることを確信し、対抗手段を模索する。そんな中、大富豪で野心家のレックス・ルーサーはスーパーマンの弱点であるクリプトナイトの塊をインド洋から回収。さらには前作で倒されたゾッド将軍の死体を手に入れ、その細胞から究極の殺戮マシーンを作り出し、さらには策略によりスーパーマンとバットマンとを争わせて共倒れを狙う。



 メトロポリスとゴッサム・シティが隣接していることは知らなかったが(笑)、暗鬱な絵作りが目立つこの映画は明らかに「バットマン」の世界観を踏襲したものだ。しかしながら、実質的なヒーローは本来陽性キャラクターであるスーパーマンの方である。この場違いな設定を受け入れるかどうかで評価が変わってくるだろう。まあ、個人的には“どうでも良い”というレベルなのだが(爆)、脚本がモタついているのはこのシチュエーションと無関係ではあるまい。

 そもそも、この両御大を戦わせようとする筋書きに無理がある。いくらメトロポリスがガタガタになろうとも、あのままゾッド将軍達を生かしておいては、世界全体が破滅する。頭の切れる経営者でもあるブルース・ウェインはそのあたりを合点しているはずだと思ったのだが、どうもそうではないらしい。

 今回は(過去の諸作に比べて)一段と若返ったレックス・ルーサーも、いったい何がしたいのかイマイチ分からない。また、ルーサーやウェインが次に来るであろう新たな異世界からの脅威を“いつの間にか”認識しているというのも、観ていて鼻白む限りだ。



 極めつけは、大した伏線もなく終盤にワンダーウーマンが現れて主人公らの助太刀に入るところ。今後はマーヴェル・コミックの“アベンジャーズ”に対抗して“ジャスティス・リーグ”が結成される前準備かと思うが、他にもザ・フラッシュとかアクアマンみたいな日本の観客には馴染みの無い連中が思わせぶりにチラリと顔を出すというのは、何だか釈然としない。

 ザック・スナイダーの演出は実に賑々しく、湯水のようにカネを掛けたと思わせるバトルシーンを派手に見せている。スーパーマン役のヘンリー・カヴィルは堅実な仕事ぶりだが、バットマンのベン・アフレックは(垢抜けないコスチュームも相まって)大してカッコ良くない。それよりもアルフレッド役のジェレミー・アイアンズが光っていた。エイミー・アダムスやダイアン・レイン、ローレンス・フィッシュバーンといった脇の面子、そしてルーサーに扮したジェシー・アイゼンバーグ、 ワンダーウーマンのガル・ガドットも悪くない。

 おそらくは次作から“ジャスティス・リーグ”によるバトル・ロワイアルが始まるのだろうが、クリストファー・リーヴが主演した昔の明朗快活なタッチを懐かしむ私みたいなロートルの映画ファンは、お呼びでは無いということだろうか(苦笑)。ちょっと寂しい話である。

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