元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

純銀コートのスピーカーケーブルを装着してみる。

2008-09-27 06:42:37 | プア・オーディオへの招待

 スピーカーケーブルを新たに調達したのでリポートしたい。英国QED社のSILVER MICROという製品だ。QEDはCHORDIXOSと共にイギリスの“三大民生用ケーブルメーカー”に数えられる会社で、1973年の設立から積極的な商品展開を行ってきたという。すでに何本かスピーカーケーブルは所有しているのにどうして今回購入する気になったのかというと、私が使用しているKEFのスピーカーの内部配線にQEDの線材が使われているという噂があるからだ。それが事実ならばスピーカーケーブルも同社で揃えることによって、よりスムーズな音の出方が期待できる。本当のことを言えば上位機種のSILVER ANNIVERSARY-XTを検討していたのだが、芯線が太すぎるので断念。幾分普及価格帯で口径が小さいSILVER MICROをバイワイヤリング接続することにした。

 このSILVER MICROはその名の通り芯線に純銀のコーティングが施してある(導体ベースには99.999 %の5N無酸素銅を採用)。通常、銀素材のケーブルを使うと繊細な音が出るらしいが、反面力感に関しては非メッキあるいは錫メッキのケーブルに比べて控えめだ・・・・ということを聞いたことがある。今回の新規調達はそれを確かめる意味もあったのだが、実装するまでに大きなハードルが存在した。とにかく皮膜が剥きにくいのだ。

 たぶんポリエチレン系だと思われる皮膜は、おそろしく硬い。しかも芯線と密着している。他社のケーブルのように適当なところに切れ込みを入れて、引っ張ればスポッと抜ける・・・・というわけにはいかないのだ。ケーブル自体が細いこともあり、この作業は思わぬ難行苦行となった。やっとのことでやり終えると、指が痛くてしばらくは物が掴めなかったほどだ。

 さて、苦労の末に装着を完了させて音を出してみる。パッと聴いて感じるのは、音が“湿っている”ということだ。もちろん“湿っている”というのは“音がショボい”ということではない。ウェットな、潤いのある展開が認められる。それまで使用していたBeldenやウエスタン・エレクトリックやKimber Kableといった米国製ケーブルのドライなタッチとはまったく違う。銀素材らしい高域のしなやかさは確かに感じられるし、低い方の力感も不満はない。

 ただし、どうも中低域に奥行きが無く平板な印象も受けた。ならばということで、CDプレーヤーとアンプとを繋ぐRCAケーブルを取り替えてみる。我が家のシステムで常時使っているRCAケーブルはMOGAMIのNEGLEX2534だ。クセのないフラットな特性でリファレンスたるクォリティを持っているが、ここでは純銀コートのケーブルの欠点をそのまま出しているのかもしれない。MOGAMIを取り外してQEDと同じく英国製のCHORDのCRIMSONを装着してみた。すると、中低音がスッキリとなり音場の見通しが良くなってきたではないか。高域の艶が増し、それまでのMOGAMIとBeldenのスピーカーケーブルによってモニター調に振られていた音色が、美音調に早変わりした。おそらくはKEFの開発陣が聴いていたのもこういう音ではなかったのかと思う。次に「吉田苑」のLSSCも試してみたが、こっちも悪くはない。ヴォーカルのリアルさではCHORDに勝っている部分がある。ただし前後の音場の再現性ではCHORDが上。よって、SILVER MICROと相性の良いのは同じ英国ブランドの製品ということになった。

 QEDのスピーカーケーブルはMOGAMIのような業務用ケーブルと同居させると良くないのかもしれない。ついでに同じ業務用であるBeldenの88760を使ったRCAケーブルも繋げてみたが、極端に音場の狭い薄っぺらなサウンドしか出てこない。ひょっとしたら業務用でも英国製のVITALのRCAケーブルを同時使用してみたら少しは違ってくるのかもしれないが、VITALは実家に置いたままなので確認できなかった。いずれ試してみよう。

 ただし、本音を言えば私は美音調でケーブル等のアクセサリーを詰めるのは苦手だ。ケーブル類はモニター調で揃えてスピーカーの“素”の状態で鳴らすのが好きなので、いずれはMOGAMIのRCAケーブルとBeldenのスピーカーケーブルに戻すことになると思う。しかしながら、ケーブルにもエージング(鳴らし込み)期間というものがあるらしいので、少なくとも向こう1か月間はQEDのスピーカーケーブルを使用してみることにした。もしもエージングにより何か変化が認められれば、またこのブログでリポートする予定である。

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