元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「アンストッパブル」

2011-01-26 06:36:36 | 映画の感想(あ行)

 (原題:Unstoppable )楽しんで観ることが出来た。2001年にオハイオ州で発生した機関車暴走事故を下敷きにした本作(映画ではペンシルバニア州に変更)、何より上映時間が1時間39分というコンパクト・サイズなのが良い。

 昔のパニック映画みたいに、グランド・ホテル形式に登場人物をズラッと並べて各人のプロフィールを綴るというやり方を取っていない。中心人物を絞り、人物背景もそこそこに爆走する機関車とそれを止めようとする関係者とのバトルに素早くなだれ込む。この割り切り方が潔い。

 いつも仕事に手を抜く運転士のブレーキ操作のミスで動き始めた無人の貨物車は、勝手にギアが“力行”に入ってしまいスピードアップ。踏切に突っ込んでトレーラーを破壊し、鉄道会社や当局側の手だてをことごとく粉砕しつつ、引火性の化学物質を満載したまま市街地へと突き進む。

 主人公はリストラを言い渡されたベテラン機関士と入社間もない若い車掌の2人が設定されているが、本当の主役は機関車そのものだろう。トニー・スコット監督らしい、複数のカメラで被写体を捉えて細かいショットをどんどん積み重ねて迫力を出そうという、ケレン味たっぷりの映像構成がかなりの効果を上げている。

 こいつを止めようとする方法が、別の機関車を背後に連結させて引っ張ろうという、いかにも単純明快で力ずくなのが嬉しい。ヘタに小細工をすると、その段取りの説明に余計な上映時間が取られるからそれを避けたとも思われる。賢明な判断だ。また、事態の対処に当たる現場司令室と会社役員との軋轢を通して、効率一辺倒な現代アメリカのビジネス事情を批判するという配慮も忘れてはいない。

 主演のデンゼル・ワシントンはT・スコット監督の前作「サブウェイ123 激突」に続いての登板だが、前の運行司令から運転士役に回っているのは何となく可笑しい。相棒の車掌役はクリス・パインが扮している。「スター・トレック」でのカーク役はあまり印象に残っていなかったが、今回は生意気な新入りの若造を伸び伸びと演じている。

 もちろん、この“ベテランと若手”のコンビは数多くの刑事ドラマ等で取り上げられてきた定番のキャラクター配置であり、その意味でも安心して観ていられる。そして、どちらも女性に手を焼いている(運転士は大学生の娘たち、車掌は別居中の嫁さん)という設定になっているのがケッ作だ。冗長になりそうなエピローグも手早く切り上げ、観賞後の満足感はかなり高い。ハリー・グレッグソン=ウィリアムズによる小気味良い音楽も要チェックだ。
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