犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

病身(ビョンシン)

2006-11-06 07:12:40 | 韓国雑学
 この前紹介した映画「チブロ…」の最初のほうで,母親が主人公の少年を田舎のおばあちゃんの家に預け,一人でバスに乗ってソウルへ帰ってしまう場面がありました。
 少年はさんざん駄々をこねますが,バス停におばあちゃんと二人だけで残され,しかたなくおばあちゃんの家に向かって歩いていく。その間,おばあちゃんが耳が聞こえない(らしい)のをいいことに,悪態のつきどおし。

汚ねえ(トロウォ)」とか「馬鹿(パボ)」とか聞くに耐えない言葉を…。

 その悪態の中に「ビョンシン」というのがあった。漢字で「病身」。これは身体障害者に対する差別語で,日本語の「か○わ」に当たるでしょうか。かなり強烈な罵倒語です。
 公式な席ではめったに使われませんが,口げんかやネット上の罵倒では頻繁に出てきます。

 最近でこそ差別語使用を自制する機運がありますが,もともと韓国は差別語の使用について無神経。差別社会です。

 私が韓国に来て驚いたのが「病身舞い」。身体障害者特有の身振りをしてみせて笑いをとるという芸です。
 デハンノ(大学路)という若者の街の路上パフォーマンスで,大学生らしき若者がやっていた。見物客もゲラゲラ笑いながら観ていました。正直言って,背筋がぞっとし,いっしょにいた子どもたちには見せないようにしました。

 このように障害者に対する社会の目が冷たく,厳しいため,障害をもった子どもは悲劇です。妊娠中にわかればたいてい堕胎。生まれたときは捨てられることが多い。障害児の海外入養(ヘウェイビャン,外国に養子に出すこと)の多さは,韓国の恥部の一つです。

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3 コメント

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障害者 (misuk)
2006-11-07 13:43:34
日本も兎唇(みつくち)は母親が悪いと里に
子共々戻された人が多かったそうです。
現在はその遺伝子が父方にあるという事が
判明していますので、そのような事もあり
ません。

時代と共に少しずつ韓国民も考え方が変わ
ってきていってくれればいいですね。
でもそれは価値観としての家制度見直しと
切ってもきりはなせないことでしょうけれど・・
地下鉄で (スンドゥプ)
2006-11-07 22:16:07
よくかわいそうな身の上と自称する?人たちがビラを配ったりしているのは、韓国独特の風景ですね。どんな事情か韓国語が良く分からないので理解できませんが、途上国でもないのだから...と感じてしまいます。あれってなんて書いてあるんでしょうね。
民法 (犬鍋)
2006-11-08 00:10:20
男児至上主義も問題です。ちょっと前は、女児しか産めない妻は離婚の正当な理由になったらしい。
また、子は父姓しか名乗れなかった。
最近の民法改正で、改善されたようですが。

>地下鉄で

子どもが配ってたビラには、父親がアル中で暴力を古い、母親が交通事故で入院したとありました。
その後、子どもを使っていた組織がマスコミで告発され、その手の子どもはぱったりといなくなりました。

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