今回は,韓国文壇の大御所,李文烈による「推薦のことば」の訳です。
妓生の歴史が,一異邦人の目で復元されて,本場であるこの地に帰ってきた。日本の著名な文芸評論家かつ法政大学教授である川村は,この本において,古代から近代にいたるまでの妓生と,近代以後の妓生,そして昔の妓生とは違う意味合いの現代版キーセンの文化と歴史を,じっくりと掘り下げている。彼はまた,膨大な歴史的史料,資料をもとに几帳面かつ注意深く,妓生を植民地主義とセクシュアリズムおよびその歪曲によって形成された特殊な文化として,解剖した。
わが国の文化と歴史をわれわれ自身が研究し究明できなかったことは,面目ないし残念なことだ。ここに著者の出身の限界,特に侵略を恣にした植民主義日本の目でわれわれの文化と歴史を見ているのではないかという疑いも,また拭いさることができない。妓生と公娼を連続線上におき,そのような面において高麗時代から現在のキーセンまで,その有用性にまるで違いがないというのは,著者も「韓国語版刊行に寄せて」で言及したように誤解と曲解による短見ではないかと思う。
しかし,この本の随所には,著者の卓越した識見と韓国に対する愛情のこもった視線でなければ見いだせない,わが国の歴史の陰影が,整然とした論理で螺鈿を刻むかのように展開されている。教養書としてのみならず,われわれ自身を振り返る契機としても重要な本になるだろう。
李文烈
上の
「妓生と公娼を連続線上におき,そのような面において高麗時代から現在のキーセンまで,その有用性にまるで違いがないというのは,著者も「韓国語版刊行に寄せて」で言及したように誤解と曲解による短見ではないかと思う」
という部分がちょっと疑問。
韓国人の中には,「妓生」が「公娼化」したのは,日帝時代の公娼制導入のあとであって,朝鮮時代の妓生は,「芸は売っても身は売らず」だった,と信じたいという願望による思い込みがあるけれど,李文烈も例外ではないようです。黄真伊(ファン・ジニ),論介(ノンゲ)の逸話や春香伝などの創作で,朝鮮時代の妓生は多分に美化されていると思います。
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出来ませんが、それでも精一杯の賛辞を持った推薦文
だということはわかりました。
それだけ川村氏の圧倒的な資料収集、分析の力が認め
られたということでしょうね。