韓国風呂事情～泳ぐ人

　一度，韓国人の団体の中に一人だけまじって九州を旅行したことがあります。福岡，阿蘇山，別府……というようなコースです。

　別府では，屋上に別府最大の露天風呂を誇る大型旅館に泊まりました。売り物の露天風呂に行くと，とても大きな湯船がある。ドアを開けて浴場に足を踏み入れた瞬間，不吉な予感がしました。

　バシャバシャバシャバシャ！　

　激しい湯しぶきの音とともに韓国語ではしゃぐアジョシたちの声。

　湯船で泳いでいる……。

　案の定，私たちのツアーの韓国人でした。

　泳ぐなよ。それもクロールで。

　モギョクタンでの水泳，韓国でもときどき見る光景です。でも韓国のモギョクタンの浴槽は狭いから一瞬で終わる。別府随一の温泉は広いので泳ぎでがあったのでしょう。泳げない人の多い韓国で，「俺は泳げるんだぞ！」と誇示しているのでしょうか。

　韓国のモギョクタンでは潜水する人も見たことがあります。サウナ室から飛び出してきて，いきなり冷湯（ネンタン＝水風呂）にドブン。そのまま全身，冷水の中に沈む。

　５秒，１０秒，１５秒…。

　だんだん心配になってきました。心臓麻痺でも起こしたんじゃないかな。

「もしもし，ケンチャナヨ？（だいじょうぶ？）」

と声をかけようかと思った瞬間，ザッパーンと立ち上がり，

「シウォネー！（気持ちいい！）」

まったく心配させるなよ。

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060806沐浴（モギョク＝お風呂）