“示現会”の招待券をもらっているから、福岡市立美術館に行く、といいだした夫に付き合いました。古くからの、気の合う友人が示現会会員で、昨年は、大きな賞ももらわれました。
示現会の絵は、具象を追及するなかで、新しいものを生み出す試みだけに、形を現す手段や技法が豊富な分、色と題材の切り取り方に綱渡りにも似た緊張が強いられると思います。
全般に澄んだ明るい色調の作品が多いように見受けました。
この60周年の記念展は、東京展1007点の中から選抜の60点に、地元出品を加えた167点が展示されていました。
わたしが一番目を向けたのは、地元物故者の一連の作品でした。創立会員でもあった大内田茂士のブラックが効いた“写実に抽象をのみこんだ”絵でした。ある種の気迫で迫ります。
美術館のレストランは大濠公園を見下ろすロケーションで、スパゲティーもコーヒーもなかなかのものでした。松永コレクションの仁清の色絵吉野山図茶壷にも敬意を表して、市立美術館を後にしました。
いつもコメントをお寄せくださるラグタイムさんのブログに関連記事があります。
私のこの日の目的は別にあって、ガレの華やかなアール・ヌーヴォー、ラリックのアール・デコの世界を覗くことにありました。こちらは福岡県立美術館です。
平日の美術館は駐車場も会場もゆっくりしていて、国内外からの約130点の華麗なガラス工芸の世界を堪能しました。
サンパウロ美術館の下で毎週日曜日に開かれる骨董市や、リオの骨董街で見ていたガレの工房作品とはレベルも異なり、力のある物が揃っていました。
近代フランスのガラス工芸の三大ブランドの競演です。
ガレの独創から、ドーム兄弟の堅実な職人技を経て、次の世紀、ラリックの、アール・デコへの展開も一目瞭然で、小規模だけに系統だって理解することができました。
やはり、開拓者ガレの、インパクトのある大胆が、日本的なモチーフをも見事に自分のものとして翻案していて、他を圧倒していました。
巷には光化学スモッグの警報が出ていましたが、萩の景徳鎮に始まり、九国博と続いた展覧会めぐりで、いささか飽和状態に近い様相を呈しています。満足の余韻を抱えて、ガラス工芸の薀蓄を聞きながら車を走らせました。
上 ドーム ななかまど60x21 1902年頃 北沢美術館蔵
ラリック 花器つむじかぜ1926年
モーツアルトのピアノ曲ならどれでも結構です、
一度お試しください。お手持ちのCDがない場合は、
ご主人様に尺八演奏をお願いされますか?
岸田今日子女史も地方へ出張した時は、地元の美術館に時間を割いて・・、帰京したら直ぐに、都内の展覧会のハシゴをするってエッセイに記していましたが、
彼女の場合は、仕事の疲れを癒すのが目的か?
どうも、高音域の聞き取りが・・・・・・
生誕250年とかでブームをよんでいたようですが、ピアノ四重奏第二番、変ホ長調でも聞いて、耳の訓練としますか。
スタンダールの忠告に、「知らぬ土地に着いたら、博物館へ行く労をいとうな」というのがあるのだそうです。
これも、広い会場を歩き回るのが、体の負担になってきています。あとどれくらいもつのか、「あはれ」の物語もどうやら先が見えてきました。
具象が多い日展で まず惹かれたのは彼独特の色彩でした。オリーブグリーンやブルー、ホワイト、カドミウムイエローがいい分量で基調となる黒を引き立てる。 この絵は1984年内閣総理大臣賞受賞の作品です。 それから毎年追っかけて… 同じ画家がお好きと伺って 二重の喜びです。
ラリックもドームも好きです。 日本趣味に惹かれます。
現代にご活躍の多くの方々を差し置いて、物故の方に肩入れするのはどうかと思ったのですが・・・・・・、主張するものが、惹きつける絵は、時代を問わないようです。
福岡出身の彼の絵は、福岡市美術館にもかなり所蔵されています。
1942年の”静物”と、”室内の一隅”の2点も一応画像として、保存したのですが
UPは、1点だけにしました。もしかしたら同じ作品かも知れませんね。
ひところ、ガラスに夢中で集めたものですが、数々のエピソードと思い出を残して、ガレの作品はついに手に入れることができませんでした。
機会は何度もあったのですが。思うようなものではなくて。
贋物?とためつ、すがめつして、断念しました。