弁理士の日々

特許事務所で働く弁理士が、日常を語ります。

審判請求費用

2009-08-16 19:10:26 | 知的財産権
特許関係で審判請求を行う場合、拒絶査定不服審判、無効審判ですね、審判請求時に特許庁に手数料を納付します。その費用は、昭和63年1月1日以降の出願であれば、
49,500円 +(請求項の数× 5,500円)
と定められています。請求項数が5であれば、77,000円ということです。

ところで、この4月から、審判請求時に明細書類を補正する場合には、「審判請求と同時に」手続補正書を提出することとなりました。この手続補正書で請求項数を減らした場合、審判請求手数料として、請求項を減らす前の請求項数で計算するのか、それとも請求項を減らした後の請求項数で計算するのか、という問題があります。
この件について、私は何らかの書いたものを見た記憶がなかったので、特許庁に電話で問い合わせました。その結果、
「審判請求と同時に提出する手続補正書で補正した後の請求項数で計算した費用を納付する」
という回答を得ました。

そこで、4月以降については、補正後の請求項数で手数料を計算し、審判請求書にその手数料を記載して審判請求を行っています。

私は手数料納付を「予納」によって行っています。月に1回、特許庁から「予納残高通知」が送られてきます。1ヶ月間の納付状況が、この残高通知に記載されています。
直近に送られてきた予納残高通知を見てびっくりしました。
項目の中に、
「審判請求書   過誤納
という項目が入っているのです。

よくよく調べてみると、まず「審判請求書」という項目で、審判請求前の請求項数で計算した費用が徴収されています。そしてその翌日ぐらいに、手続補正書で減らした請求項数に対応する費用が、「過誤納」という形で私の予納口座に返金されていたのです。
審判請求書には補正後の請求項数から計算した手数料が記載されているにもかかわらず、特許庁のシステムは、審判請求書記載の手数料を無視して、過剰に予納口座から徴収し、その後払い戻されているわけです。

さっそく、特許庁に電話で聞いてみました。
その結果、“現在の特許庁のシステムが、今回の法改正に対応し切れていない”、という実態がわかりました。
現在のシステムでは、審判請求時に自動的に審判請求前の請求項数で手数料が予納口座から引かれてしまうのです。そしてその後の方式審査において、方式審査官がチェックを行い、手続補正書で請求項数が減っている場合には、「過誤納」ということで過剰徴収分を返金している、ということでした。
特許庁のシステムが今回の法改正に対応する予定はまだ立っていないようです。最悪では平成25年のシステム更新まで現状のままかもしれません。
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2 コメント

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なるほど・・ (さすらいの知財マン)
2009-09-24 10:00:38
メーカーで特許担当をしています。

この制度改定は知っていましたが、裏ではこんな問題が起こっていたんですね。特許事務所さんにお任せ状態だったので全く気づきませんでした。
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審判請求費用 (ボンゴレ)
2009-09-25 21:13:52
さすらいの知財マンさん、コメントありがとうございます。

結果的には帳尻が合っているので、問題になることはありません。
しかし、今回のこの話題についてどこかでアナウンスしているというのも聞いたことがないのです。私が知らないだけなのか、それとも特許庁や弁理士会がこの点について未だに広く広報していないのか、その点はよくわかりません。
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