弁理士の日々

特許事務所で働く弁理士が、日常を語ります。

佐藤優氏と高橋洋一氏

2009-09-25 21:05:06 | 歴史・社会
シルバーウィークで旅行に出かけており、昨日帰ってきました。

月刊誌「現代」は休刊となってしまいましたが、その最後を飾る特集のような形で、以下の書籍が今年5月に刊行されました。佐藤優氏が責任編集のようです。
現代プレミア (講談社MOOK)
佐藤 優
講談社

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この本の中の佐藤優氏の記事として、
「深層レポート『封印された高橋洋一証言』官僚無能論と窃盗事件」
があります。

高橋洋一氏の窃盗事件が報道されたのは、こちらに書いたように、今年の3月30日ころでした。
実はそれ以前、3月3日に、佐藤優氏は高橋洋一氏と3時間の対談を行っていたのです。上記書籍の企画でした。また佐藤氏は、あと2~3回、対論を重ね、官僚論に関する共著を作ろうと考え、高橋氏からも了解を得ていました。
その後、3月24日に、高橋氏は東京都練馬区の温泉施設で窃盗を働いたとして、現行犯逮捕されます。事件発覚後、高橋氏から佐藤氏に「企画はなかったことにしてほしい」との連絡が来ました。ただし3月3日の対談内容を公表する点については、高橋氏の了解が得られました。

《言ってはいけない本当のこと》
高橋「東京大学法学部を卒業したキャリアたちは秀才だと思われていますけれども、実は計数には弱いんですよ。彼らの知識や理論は学者からの受け売りがほとんどで、聞きかじり程度です。知ってはいても本当には理解していない。私はそういう事実を指摘しただけなんですが、財務省で実際に体験した話を具体的に紹介したから反発を買っちゃったようですね。」
高橋「(財投改革で手がけたALMのシステムは)高度な数学を使うから東大法出身の財務官僚にはほとんど理解できない。いわゆる偏微分の世界ですから。これに対しては確かに反撥はなかったんです。でも、佐藤さんがおっしゃるように足し算引き算の世界で問題があるということを言い出したら、とたんにものすごい反発が出てきた。」
佐藤「四則演算に問題ありと指摘したところで、霞が関官僚は『高橋洋一は絶対に許さないぞ』と激怒したわけだ。」
高橋「そうそう。財務省にいる私の友人が本当にそう言ってました。」

《高橋氏窃盗事件の情報の流れ》
窃盗事件の報道は、犯行日から6日も遅れて表に出ました。この間の情報の流れについて佐藤氏が推理します。
佐藤氏が信頼する社会部記者から聞いた話では、3月30日に検察から一斉にリークがされました。「もちろん高橋氏の信用失墜につながるこの情報を財務省も歓迎した。窃盗事件の事実関係と別に、情報の流れだけに注目していると作為が見えてくる。高橋氏は、窃盗の現行犯もしくは準現行犯として、任意で警察官に同行したようである。そして、容疑を認めることと引き替えに、本件を警察がマスメディアに公表しないという約束を取り付けたのだと筆者は推定している。警察はその約束を守った。しかし、書類送検された瞬間にその情報を検察が流したのだと推定される。インテリジェンスのプロの目からみて、情報の流れが尋常ではないということは断言できる。何からの意思が働いていることが推察される。」

この話の流れで、佐藤氏は中川昭一前財務大臣の例の「酔いどれ会見」について推理します。高橋氏との対談の中でこの件が話題に上りました。高橋氏は、財務省による「仕掛け」だったとの見立てをしました。
佐藤氏は「外務省が“不作為”によって大臣を陥れたんでしょう。」と意見の述べると、高橋氏は強い調子で別意見を述べます。
中川財務相にこのときアテンドしていたのは、全員が財務省の役人だったと高橋氏はいいます。
当時、麻生官邸と財務省は、大型補正予算の財源を巡って水面下でバトルを繰り広げていました。財務省の思惑に反する政策に傾いた麻生首相に対する警告として、首相側近だった中川財務相に失態を演じさせた、というのが高橋氏の見立てだというのです。

中川「酔いどれ会見」はイタリアが舞台でしたね。その後、バチカン見学で中川氏が非常ベルを鳴らす失態まで演じました。イタリア大使館がついて行ったにもかかわらずです。
ところで最近私は、映画「アマルフィ」を観ました。舞台はまさに在ローマ日本大使館(イタリア大使館)です。大使館内での会議の様子も場面としてあり、中川財務相vsイタリア大使館のバトルを思い浮かべてしまいました。

《おわりに》
佐藤氏「今回の窃盗事件が、事実ならば、それに対して高橋氏は刑事責任をとらなくてはならない。その刑事責任をとった後、高橋氏の能力を日本の社会と国家のために生かしてほしいと、筆者は心から願っている。」

私も同じ気持ちです。
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