9月25日に弁理士試験の論文式試験合格発表がありました。本年の合格者は944人という多数にのぼりました。
合格したみなさん、おめでとうございます。
例年のように、論文試験合格者の推移を記録します。
受験者数 論文 最終
合格 合格
平成03年度 3217 96
平成07年度 4177 116
平成10年度 4362 146
平成11年度 4700 223 211
平成12年度 5166 250 255
平成13年度 5599 306 315
平成14年度 6714 470 466
平成15年度 7953 551 550
平成16年度 8883 634 633
平成17年度 9115 738 711
平成18年度 9298 655 635
平成19年度 9077 589 613
平成20年度 9679 601 574
平成21年度 7354 944
(短答受験者)
論文試験合格者数は、平成17年度に738人のピークを迎えた後、平成18~20年度は600人前後で推移していました。それが本年は944人です。大幅な増加となりました。
弁理士法が改正となり、弁理士試験の方法も1~2年前から変更になっています。以前は、短答試験に合格、論文試験に不合格だった場合、翌年は短答試験から再度チャレンジする必要がありました。ところが法改正により、短答試験合格者は翌年と翌々年、短答試験が免除されて論文試験を受けることができます。
本年は、前年短答試験を合格して本年の短答試験を免除された受験生が論文試験を受ける最初の年です。そのため、以前の論文試験とは人数の構成がずいぶん変化しました。
特許庁が公表している平成21年度弁理士試験統計を調べてみます。
今までは、「論文受験者統計」が一つでしたが、本年は「論文(必須)受験者統計」と「論文(選択)受験者統計」に分かれています。そのため、“論文(全体)受験者数”がわかりませんでした。
統計からは、以下の数値を読み取ることができます。
短答合格 1420(去年 2865)
論文(必須)受験 3336(去年 2791)
内 選択免除者 2273(去年 1710)
論文(選択)受験 1164(去年 1072)
まず、短答合格と論文受験者の関係が大きく変化しました。
去年は、短答合格が2865人で論文合格が601人ですから、差し引き2264人が短答免除で論文受験資格を有しています。そして本年の短答合格者が1420人ですから、論文受験有資格者は合計で3684人となります。
次に実際に論文試験を受験した受験者数を推定します。
去年、必須試験は合格したが選択試験不合格だった受験生は、本年、必須試験が免除されます。逆に必須不合格で選択合格だった受験生は、本年、選択試験が免除されます。もともと、修士修了者などの選択試験免除者がいます。
そのため、論文受験者合計は、“必須及び選択受験生+必須のみ受験生+選択のみ受験生”となります。
必須及び選択受験生+選択のみ受験生=選択受験生=1164人
ですから、
論文受験者合計は、“必須のみ受験者+選択受験者”と表すことができます。
必須のみ受験者は要するに論文(必須)受験者のうちの選択免除者(2273人)です。従って、
論文受験者合計=必須のみ受験者(2273)+選択受験者(1164)
=3437人
と計算されます。
それでは、以上の推定数値を用いて、論文試験の合格率を計算してみます。
去年の合格率は、
601/2791×100=21.5%
でした。
今年の合格率は、
944/3437×100=27.5%
です。
本年は、去年の短答合格者も論文試験を受験し、論文受験者数が以前よりも増大しています。しかし論文受験者数増大の度合いを超えて、論文試験合格者数が増大し、結果として論文試験合格率が大幅に上昇する結果となりました。
なにか重要なポイントを見逃していないか、自信があるわけではありません。もし修正すべき点がありましたらご指摘ください。
合格したみなさん、おめでとうございます。
例年のように、論文試験合格者の推移を記録します。
受験者数 論文 最終
合格 合格
平成03年度 3217 96
平成07年度 4177 116
平成10年度 4362 146
平成11年度 4700 223 211
平成12年度 5166 250 255
平成13年度 5599 306 315
平成14年度 6714 470 466
平成15年度 7953 551 550
平成16年度 8883 634 633
平成17年度 9115 738 711
平成18年度 9298 655 635
平成19年度 9077 589 613
平成20年度 9679 601 574
平成21年度 7354 944
(短答受験者)
論文試験合格者数は、平成17年度に738人のピークを迎えた後、平成18~20年度は600人前後で推移していました。それが本年は944人です。大幅な増加となりました。
弁理士法が改正となり、弁理士試験の方法も1~2年前から変更になっています。以前は、短答試験に合格、論文試験に不合格だった場合、翌年は短答試験から再度チャレンジする必要がありました。ところが法改正により、短答試験合格者は翌年と翌々年、短答試験が免除されて論文試験を受けることができます。
本年は、前年短答試験を合格して本年の短答試験を免除された受験生が論文試験を受ける最初の年です。そのため、以前の論文試験とは人数の構成がずいぶん変化しました。
特許庁が公表している平成21年度弁理士試験統計を調べてみます。
今までは、「論文受験者統計」が一つでしたが、本年は「論文(必須)受験者統計」と「論文(選択)受験者統計」に分かれています。そのため、“論文(全体)受験者数”がわかりませんでした。
統計からは、以下の数値を読み取ることができます。
短答合格 1420(去年 2865)
論文(必須)受験 3336(去年 2791)
内 選択免除者 2273(去年 1710)
論文(選択)受験 1164(去年 1072)
まず、短答合格と論文受験者の関係が大きく変化しました。
去年は、短答合格が2865人で論文合格が601人ですから、差し引き2264人が短答免除で論文受験資格を有しています。そして本年の短答合格者が1420人ですから、論文受験有資格者は合計で3684人となります。
次に実際に論文試験を受験した受験者数を推定します。
去年、必須試験は合格したが選択試験不合格だった受験生は、本年、必須試験が免除されます。逆に必須不合格で選択合格だった受験生は、本年、選択試験が免除されます。もともと、修士修了者などの選択試験免除者がいます。
そのため、論文受験者合計は、“必須及び選択受験生+必須のみ受験生+選択のみ受験生”となります。
必須及び選択受験生+選択のみ受験生=選択受験生=1164人
ですから、
論文受験者合計は、“必須のみ受験者+選択受験者”と表すことができます。
必須のみ受験者は要するに論文(必須)受験者のうちの選択免除者(2273人)です。従って、
論文受験者合計=必須のみ受験者(2273)+選択受験者(1164)
=3437人
と計算されます。
それでは、以上の推定数値を用いて、論文試験の合格率を計算してみます。
去年の合格率は、
601/2791×100=21.5%
でした。
今年の合格率は、
944/3437×100=27.5%
です。
本年は、去年の短答合格者も論文試験を受験し、論文受験者数が以前よりも増大しています。しかし論文受験者数増大の度合いを超えて、論文試験合格者数が増大し、結果として論文試験合格率が大幅に上昇する結果となりました。
なにか重要なポイントを見逃していないか、自信があるわけではありません。もし修正すべき点がありましたらご指摘ください。
これからは、もう弁理士一本では食っていけないでしょうね。。悲しいことです。
そうですか。「昨年合格者レベルでも実務はもちろん法律論でもまったく使えないレベルに低下」しているのですか。
私は最近の合格者さんと面識がないので、その点はよくわかりません。
2006年の弁理士法改正の経緯をこのブログで振り返ってみると、法改正の議論では、「知識は短答式試験で問う。論文試験は論理能力や表現能力を見るのである」というスタンスのようです。
法律知識が短答式レベルとしたら、以前の感覚での「弁理士像」とはだいぶかけ離れるでしょうね。
実務能力はもちろん、試験勉強の結果として身につくものではありませんから、有資格者であっても実務能力がなくて当たり前ではあります。
弁理士の専権である「特許事務」を執り行う上で最低限の法律知識を有しているか、つまり明細書を書かせて良いか、という観点で見たときにも、最近の合格者は法律知識が不十分である、という見立てでしょうか。
http://palittleic.blog47.fc2.com/blog-entry-65.html