弁理士の日々

特許事務所で働く弁理士が、日常を語ります。

映画「白い砂」

2007-08-30 23:51:01 | 趣味・読書
私が小学校4年生の頃、家にはテレビがまだなく、もっぱらラジオが娯楽でした。
封切り映画を紹介するラジオ番組があり、よく兄弟二人で聞いていました。その中で、今でも記憶に残っている映画が二つあります。
一つは、邦画で「紺碧の空遠く」という戦争映画です。特攻訓練を受ける予科練が舞台だったと思います。その特攻隊員の面倒を見る民間人のおばさんが登場します。訓練を終えて出撃する前日、隊員たちが次々に「おばさんのことは忘れません!」「おばさんのことは忘れません!」と叫んで別れる場面がラジオから流れ、今でも忘れません。
もう一つはアメリカ製の戦争映画で「白い砂」という題名です。

今回、ツタヤに登録したこともあり、この二つの映画をレンタルできるかどうか確認しました。「紺碧の空遠く」は登録されていませんでしたが、「白い砂」(監督:ジョン・ヒューストン、1957年)はレンタル可能です。ということで早速借りてみました。

舞台は「1944年 南太平洋のどこか」、大海原をゴムボートが漂っており、一人の米兵らしき人(米海兵隊アリスン伍長:ロバート・ミッチャム)が中に横たわっています。このゴムボートがとある小島に漂着したことから物語が始まります。
島には現地民の集落とキリスト教会があるのですが、現地民の姿はなく、教会に若い修道女(シスター・アンジェラ)(デボラ・カー)が一人だけ残されています。英語を話し、アメリカ人のようです。

島での二人だけの生活が始まりますが、ほどなくして日本軍の小部隊が上陸し、二人は洞窟に隠れます。その後、近海で海戦で日本側が負けたらしく、上陸日本部隊はあわてて撤退します。
日本軍が残した兵舎でまた二人だけの生活が始まります。ミッチャム演じる海兵隊員アリスンは、シスター・アンジェラに恋心を告白しますが、アンジェラは神に捧げる献身を捨てることができません。

解説では「無骨だが実に紳士的な兵隊を演ずるR・ミッチャムがすこぶるいい。彼の潔いストイシズムが、作品に風格を与えている。彼が日本軍の食糧庫から失敬してきた日本酒で、ほろ酔いかげんとなるカーの放つ色香といったら……。極限状況下の恋愛を描いて、倫理的であるがゆえに官能的な、J・ヒューストン監督作品。」とあります。

戦時下、二人だけの孤島で、このようなストイックな関係が保持されるのだ、という状況に、あり得ない、と思う前にすがすがしさを感じました。不思議です。

その後、日本軍が再度上陸し、今回は4門の砲を備えて守備体制を構築します。雨に打たれて高熱を発したアンジェラとともに、二人はまた洞窟に隠れます。米兵を捜す日本軍に発見されそうになる直前、米軍の艦砲射撃が始まります。アリスンは、艦砲射撃の弾雨の中で、負傷しながらも日本軍の4門の砲を次々に使用不能にし(日本軍砲兵は砲側にいません!)、友軍の上陸を助けます。上陸した友軍兵士の間を、アリスンは担架に乗せられ、アンジェラに守られながら船に向かうところで物語は終わります。


小学校時代からの課題を一つ終了しました。
それにしてもヒューストン監督は、日本軍を見くびりすぎです。日本軍砲兵は、自分の身よりも砲を大切にしていました。艦砲射撃の最中、砲を残して別の場所の壕に隠れていたとはとても思えません。
白昼、日本軍守備隊が訓練している中で、アリスンは日本兵を一人殺害しながらタオルを2枚盗み出すのですが、これも日本兵を甘く見すぎています。
このように日本軍を見くびる体質が、真珠湾攻撃で無様に惨敗した原因とも結びつくように思います。

事務所の25.5インチワイド液晶は、映画鑑賞にも威力を発揮しました。
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