弁理士の日々

特許事務所で働く弁理士が、日常を語ります。

チップに組み込め!

2006-09-20 00:00:09 | 趣味・読書
ICとかLSIとかよばれる半導体集積回路は、アメリカのジャック・キルビーとロバート・ノイスが、それぞれ独立に時を同じくして発明したことが広く知られています。
この2人のIC開発競争を描いた本として、以前「チップに組み込め!」という本を読んだことがあります。その後、職場に寄贈するか何かで手元から消えていたのですが、再度読んでみたくなり、調べてみました。その結果、すでに絶版となっていますが、古本としては1000円程度(送料別)で購入できることが分かり、さっそく購入して読んでみました。

T.R.リード著「チップに組み込め!」(草思社)1986年10月第1刷発行
とあり、私も多分発行直後に読んだのだと思います。もう20年も前になるのですね。

テキサス・インスツルメンツに勤めるジャック・キルビーと、当時フェアチャイルド・セミコンダクターの開発取締役だったロバート・ノイスは、1958年秋から1959年にかけて、それぞれ独立に、ICのアイデアに到達してICを完成します。この2人のIC開発に関しては、特許・弁理士に関するエピソードが3つあります。

第1は、ノイスがIC開発に着手するにあたって、弁理士が果たした役割についてです。
第2は、キルビーとノイスがそれぞれ米国で出願したICの特許について、どちらに権利が認められるかと争われた事件です。
第3は、キルビーの日本特許について、富士通との間で侵害訴訟が争われ、最高裁ではじめて特許無効の抗弁(権利の濫用)が認められたいわゆる「キルビー判決」です。

「チップに組み込め!」は米国人が書いた本であり、今から20年前の本ですから、当然上記第3のエピソードは範囲外ですが、第1と第2のエピソードについては結構詳しく記載されていました。
20年前に私が読んだ当時は、まだ弁理士受験勉強も始めていない一介のエンジニアでしたから、第1、第2のエピソードともに全く記憶の外でした。

私がこの本を再度読みたいと思ったのは、キルビーとノイスの気質の違いについて確認したいと思ったからでした。この点について、そして上記第1、第2の特許・弁理士のエピソードについて、順次ここにアップしていこうと思います。
次回はノイスと弁理士です。

ところで、半導体集積回路の開発をめぐる秘話について、「チップに組み込め!」はとっくに絶版になっているわけですが、皆さんはどのような書籍で知識をつけていらっしゃるのでしょうか。
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