弁理士の日々

特許事務所で働く弁理士が、日常を語ります。

イージス艦衝突事故

2008-02-22 21:24:45 | 歴史・社会
イージス艦「あたご」と漁船「清徳丸」の衝突事故がニュースで大きく取り上げられています。現在、解決すべき課題は以下のように整理できるでしょうか。
(1) 行方不明となっている2名の漁船員の方の救出
(2) 衝突はなぜ起きたか。何が問題だったのか。
(3) 衝突直後の救難活動は適切に行われたか。
(4) 防衛相や首相への報告が事故発生から1時間以内に行われなかったのはなぜか。それによってどんな問題が生じたか。

(1) については、海上保安庁や現地の同僚漁船の努力に待つしか有りません。
上記(2) ~(4) の問題について、私は以下のような疑問を感じています。

疑問1
なぜ(4) が大きくクローズアップされるのか。防衛相や首相が、朝の5時半ではなく5時前にたたき起こされたからと言って、果たして何ができたのでしょうか。

疑問2
(2) (3) が最も重要であるという点は共通認識と思います。
ところで、(2) (3) に関しての最高責任者は、首相でも防衛相でも防衛次官でも幕僚長でもなく、間違いなく「あたご」の艦長です。
海上でのトラブル発生を防止し、また海上で発生したトラブルに対処する上で、陸からは何もすることができず、その場の最高責任者(この場合はあたご艦長)が全責任をもって対処するしかありません。そしてこの点に関し、民間船の船長と軍艦の艦長とで何ら相違はないはずです。少なくとも平時の海域において。

そのような観点で新聞やネットニュースを読むのですが、どの記事においても、「あたご」の艦長の名前が報じられていません。これはどうしたことでしょうか。

マスコミはあたご艦長の官氏名が舩渡健・一等海佐であることを知っているのですから、報道のたびに艦長の名前を明記すべきですし、取材の矛先は防衛相ではなく艦長に向けるべきです。防衛省が艦長名を出さないように圧力をかけているならその圧力に抗すべきですし、艦長を会見に引っ張り出すよう要請すべきです。まだ艦長は逮捕されていませんよね。

私も4級小型船舶操縦士免許を持っているので(現在は更新せず切れていますが)、以前、免許更新時にもらった更新テキストを紐解いてみました。
まず、交通ルールについては、左から来る船が右から来る船を避けなければならない、という原則があります。例外としては、動力船とヨットの場合は動力船が避ける、魚ろうしていない船は魚ろう中の漁船の進路を避ける、というのがあります。「軍艦が優先」「大型船が優先」などという例外事項はありません。

ただし、海難防止の基本的ポイントの中に以下の記述があります。
「大型船を避けよう。
小型船は、大型船と出合ったときには、早い時期に大きく、大型船の進路を避けましょう。操船の容易な小型船が、操船の容易でない大型船の進路を避けるというのが海上交通のマナーです。」

「ルール」とは別の「マナー」が存在するのですね。
今回の衝突事故では、あたごの操船員が、「ルール」を忘れて「マナー」に期待しすぎたのかもしれません。
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