弁理士の日々

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「はやぶさ」針路をオーストラリアへ

2010-06-06 10:37:17 | サイエンス・パソコン
<小惑星探査機>「はやぶさ」、13日に豪へ 予定軌道到達
6月5日19時24分配信 毎日新聞
『宇宙航空研究開発機構(JAXA)は5日、人類初の小惑星の岩石採取に挑んだ探査機「はやぶさ」が、落下目標地点のオーストラリア南部・ウーメラ砂漠に達する軌道に入ったと発表した。13日深夜の帰還が確定し、7年に及んだ小惑星イトカワへの往復飛行を達成することになった。
JAXAによると、豪州政府の許可が出たため、3日からエンジン噴射を実施。5日午後、予定軌道に到達し、地球から約360万キロを飛行している。9日、落下範囲をさらに狭める最終の軌道修正をする。13日午後11時ごろ(日本時間)、はやぶさと、切り離されたカプセルが大気圏に突入、カプセルだけが約1時間後に落下し、はやぶさ本体は燃え尽きる。カプセル回収に成功し、中にイトカワの岩石などが入っていれば、人類初の快挙となる。』

はやぶさは、3月末に地球のすぐ近くを通過する軌道まで到達(「はやぶさ」が目指している軌道)、その後、軌道の微調整(TCM(Trajectory Correction Maneuver))を繰り返してきました。6月3日からその4回目であるTCM-3に取り組み、今回無事終了したと言うことです。
『この4回目の軌道制御で、はやぶさ君の軌道を地球上空約600kmあまりを通り過ぎるものから、ウーメラ砂漠に向かうものへと変えます。
イオンエンジンを吹くときのはやぶさ君の向きや、方向転換の手順を再確認したり、イオンエンジンのご機嫌を、前回の噴射の実績から推定したりと、準備に余念がありません(今週のはやぶさ君)。』
日経新聞6月6日朝刊の「サイエンス」欄では、今回の軌道修正について『エンジン燃焼の開始は地球帰還を確実にする大きな節目だった。JAXAの川口惇一郎・はやぶさプロジェクトマネージャは「(エンジンは)何度もつけたり消したりしたが、これほど緊張したことはなかった」と語った』と記されています。今回の軌道修正に限っては、一発勝負のところがあったのでしょうね。

9日に予定される最後の軌道修正(TCM-4)を経て、はやぶさはオーストラリアのウーメラ砂漠へと歩を進めます。降下予定は13日ですか。

「はやぶさ」最後の正念場が近づくでも紹介しましたが、川口マネージャは再突入とカプセル回収について、「はやぶさ」の帰還とカプセルの再突入・回収にむけて」で以下のように紹介しています。
『カプセルの耐熱材は、担当者は自信をもっていますが、探査機の飛行が7年間に延びたことから、性能への影響などやや心配な点があります。火薬類を用いる機械的なデバイス(火工品)やカプセルを分離する高分子材料製のバネの経年劣化など、分離の機能が発揮できるかも大いに心配なところです。
この帰還と再突入のイベントが、やり直しのきかない1回かぎりの運用だという点は、あまり認識いただいていないかと思います。ロケットの打ち上げも、また軌道上での通常の衛星の運用も、不具合が起きれば翌日に延期して対処が可能です。しかし、この再突入の運用には待ったがありません。どこか途中で運用できない状態が起きれば、その原因が、搭載系であればもちろん、かりに地上系にあったとしても、再試行ができないか、あるいは再試行が間に合わないことになって、失敗してしまいます。スペースシャトルの再突入では、地上系に問題があれば、また着陸点の天候が悪ければ延期すればよいわけですが、この「はやぶさ」の再突入には延期はないのです。ですから、地味ではありますが、この「はやぶさ」の帰還・再突入は、大変に厳しい運用で、とりわけ傷を負った「はやぶさ」にとっては、かなりの難関になります。』

カプセル分離の指令を受けたはやぶさは、カプセル分離のための火薬に着火してうまく分離することができるか、カプセルの耐熱材はカプセルを守ることができるか、パラシュートは開くか、パラシュートで降下しつつ、カプセルはビーコン信号を正しく発信できるか、など、心配し出すときりがありません。何しろ地球を離れてから7年も経っているのですから。

とにかく、4年前の「はやぶさ」は生きていた!以来、不死鳥伝説をつづってきた「はやぶさ」ですから、今回もやってくれることを信じましょう。
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