弁理士の日々

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「はやぶさ」最後の正念場が近づく

2010-03-11 22:06:10 | サイエンス・パソコン
小惑星探査機「はやぶさ」の軌道修正は順調に進み、3月5日のニュース「「はやぶさ」、月までの半分以内を通過へ」によると、「いよいよ,月への半分の距離,約16万kmを通過する軌道に到達しました.3月5日からは一旦イオンエンジンの運転を止め,精密に現在位置,速度を計測します.残りの期間は,単純に距離だけではなく,微調整を含んできます.」ということです。
イオンエンジンを噴射するのは3月中までです。3月の残りの期間で、はやぶさが地球の縁のピンポイントの回廊を通過するように軌道修正を行うのでしょうか。

さらに3月9日には「「はやぶさ」の帰還とカプセルの再突入・回収にむけて」とのニュースがリリースされています。

地球への帰還と再突入は6月です。
『この帰還・再突入にむけて大変心配しているのは,
1.ホイールの寿命,
2.イオンエンジンの運転性,
3.漏洩燃料の再ガス化,
4.イオンエンジン運転中の軌道決定,
5.耐熱材の状態,火工品の環境,分離バネの経年変化です.

ホイールは,ほかの同一設計・製造の2つのホイールが4年前に故障していて,現在残っている1つが稼働できていることは奇跡的なことです.
2005年から2006年にかけて探査機を襲った燃料の漏洩についても,これまで何度か残存ガスの排気を行うべくベーキングを行ってきましたが,5月以降は,地球公転軌道よりも内側に入るため,探査機上面の温度がどんどん上昇して,再びガスが噴出しないか心配なところです.
カプセルの耐熱材は,探査機の飛行が7年間に延びたことから,性能への影響などやや心配な点があります.火薬類を用いる機械的なデバイス(火工品)やカプセルを分離する高分子材料製のバネの経年劣化など,分離の機能が発揮できるかも大いに心配なところです。』

帰還と再突入のイベントは、やり直しのきかない一発勝負です。

満身創痍で地球の近くまでたどり着いた「はやぶさ」が、この一発勝負に挑むわけです。いざ突入の時になって、こわれかけた「はやぶさ」のどの部分が不調になってもおかしくありません。
ただただ頼りになるのは、今まで何回となく見せてきたはやぶさの不死鳥伝説と、運用チームの力量です。

『6月は,サッカーのワールドカップの月ですね.でも,「はやぶさ」も精一杯がんばります.みなさんの声援を期待しています.』

もちろんです。応援していますよ。


提供 宇宙航空研究開発機構(JAXA)
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