弁理士の日々

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4-2-3-1―サッカーを戦術から理解する

2008-06-01 09:02:36 | サッカー
4-2-3-1―サッカーを戦術から理解する (光文社新書 343)
杉山 茂樹
光文社

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この本、売れているらしいですね。ということで私も買ってみました。

「4-2-3-1」、「3-4-1-2」、「3-3-3-1」エトセトラとサッカーの布陣がとっかえひっかえ登場し、欧州サッカー、日本サッカーにおけるそのときどきの試合の解説を中心に、特徴が説明されます。
私にとっては、それぞれを理解するには至らないので、消化不良でよくわからないままに読了しました。
この本に魅了され、また読んだ知識に基づいて蘊蓄を語れる素地を備えた読者が多くいるのだとしたら、サッカー観を備えたファンが多くいるということで、好ましいことです。

著者の杉山氏は、16~17年間にわたって日本と欧州のサッカー試合を観戦し、場数を踏むことによってピッチ上に描かれる布陣の違いがわかるようになります。その上で、機会があるごとに現地の専門家、多くの監督にインタビューを行います。その結果、新事実が「捜査」を通して、次々に浮かび上がってきたのです。

「打倒ブラジル。欧州人の根底に流れているのは、選手が圧倒的な個人技を備えているブラジルを倒すことにある。」

私がサッカーをかじっていた40年前、「個人技の南米、組織のヨーロッパ」という言われ方はしていました。その後、そのような区別はなくなったかと思っていたのですが、根底では今でも同じなのですね。杉山氏は「組織」というより「戦術」だ、と言います。

「個人技に対し、戦術を拠り所に立ち向かおうとする(欧州の)姿勢は、いわば弱者の論理だ。個人技ではブラジルに勝つ見込みはないという割り切りを、彼らは根底に潜ませている。賢い発想だといわざるを得ない。」

日本が、ブラジルはおろか欧州よりも弱者であることに疑いはないわけで、そうだとしたら、まずは欧州の姿勢(弱者として「戦術」で対抗する)を見習うべきであることがわかります。


今の私には、消化不良でよく理解できなかったのですが、この本には「名監督」として名勝負を演じた多くの監督にインタビューした内容が掲載されています。杉山氏がその中から新事実を抽出してきたように、われわれもこれらをうまく咀嚼していけば、日本サッカーが進むべき道を見いだしていけるように思います。

また、欧州には監督として優れた才能を持つ人が多くいるように思います。杉山氏の多くのインタビュー経験を生かせば、日本にとって有益な指導をしてくれる監督が見つかるように思います。
Jリーグも、名古屋グランパスがベンゲルを監督に迎える際、もう一人の候補としてヒディングとも交渉していたそうです。監督を見る目が確かであったことがわかります。ジェフ千葉も、オシムを監督に迎えることに成功しています。
日本選手の力を十分に発揮させるためにも、監督としては好適な人を選んで欲しいものです。


ところで日本代表の岡田監督ですが。
就任当初は「接近・展開・連続」というラグビーの戦術を取り入れたり、途中では最終ラインやボランチから2トップをめがけて次々にロングパスを蹴り込むようなサッカーを行っていました
ところが最近の2試合、前半の25分だけですが、欧州で「良いサッカー」とされるサッカーを実現しているように報じられています
賢い岡田監督が、杉山氏の著作や湯浅健二氏の評論なども参酌して進歩しているのか、そうであれば良いがと祈っているところです。
ただ、岡田監督自身が、その試合の前半を決して評価していないような発言をしているところが気になりますが。
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