弁理士の日々

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民主党政権の「天下り禁止」とは

2009-11-07 17:14:56 | 歴史・社会
「あっせん」なき再就職は「天下り」にあらず
『11月6日11時46分配信 読売新聞
政府は6日の閣議で、公務員の「天下り」の定義について、「府省庁が退職後の職員を企業、団体などに再就職させること。府省庁によるあっせんを受けずに適材適所の再就職をすることは天下りに該当しない」とする答弁書を決定した。
その上で、日本郵政の社長と副社長2人に官僚OBを起用したことについて、「府省庁によるあっせんはなかった」などとして、いずれも天下りには該当せず「問題ない」とした。
みんなの党の山内康一、柿沢未途両衆院議員の質問主意書に答えた。』

民主党連立政権が進める公務員制度改革において、「天下り禁止」とは「天下り原則全面禁止」なのか、それとも「天下り斡旋禁止」なのか、今まで明らかでありませんでした。最初のうちは「天下り全面禁止」をうたっていたように見受けられましたが、ここに来て「天下り斡旋禁止」であることを表明したわけです。

このブログの民主党政権の公務員制度改革において、安倍政権のときに渡辺喜美行革相と高橋洋一氏が一緒に取り組んだ『国家公務員制度改革』が以下の5本柱であることに触れました。
1.年功序列の廃止
2.天下りの斡旋禁止
3.キャリア制度の廃止
4.内閣人事庁の創設
5.国会議員と公務員の接触制限

このうちの「天下り」についてです。民間企業でも、年齢構成をある程度のピラミッド型にすることは必要であり、出向や転籍が日常的に行われています。役人についてはこれを一切廃止し、すべての役人が原則定年まで役所勤め、というのは効率が悪すぎます。
ここは、お土産を伴わない再就職をスムーズに行う人事制度は継続すべきです。一切の天下りを廃止すべきではありません。

ここへ来て、民主党連立政権が、日本郵政の社長人事の結果として苦し紛れであるにしても、「天下り禁止とは天下り斡旋禁止の意味である」という内容を閣議決定して公表したわけで、やっと民主党連立政権が天下り斡旋禁止という正解にたどり着いた、ということになります。

さらに、渡辺行革における人材バンク(官民人材交流センター)は、「天下りは許すが天下りの斡旋は許さない」という趣旨で設立されたものです。私は、この組織をうまく運用すれば目的を達成すると思うのですが、民主党政権はこの組織を廃止してしまうのですね。もっとも、誕生した人材バンクは、渡辺行革大臣の意図にもかかわらず、実際には斡旋が行われ、天下り先に対する補助金をはじめとする「お土産」が配られていたのかもしれません。そのような実態に対しては、当初の趣旨に沿った運用がなされるように改善すればいいのであって、人材パンクを廃止しなくてもいいのに、と思います。

人材バンク設立に関しては、上杉隆「官邸崩壊」(2)で触れました。漆間巌氏は、安倍政権では警察庁長官、麻生政権では官房副長官を務めました。そして安倍政権時代、渡辺行革担当大臣が進める公務員制度改革に対し、漆間氏は猛烈に立ち向かいます。漆間警察庁長官が、渡辺氏の身辺を洗わせている、という噂が駆け巡りました。さらにその後の麻生内閣で官房副長官に就任し、公務員制度改革の「内閣人事・行政管理局」の局長職を官房副長官級から政務官級に格下げしてしまったのです。
人材バンクが骨抜きになったのは、漆間官房副長官にその原因があったようです。

そういえばその漆間巌氏、「麻生内閣の戦犯の1人」漆間ちゃっかり“天下り”に紹介されていますが、先月、大和ハウスの顧問に天下りを決めているのですね。

なお、安倍政権において渡辺行革担当大臣が推し進めた公務員制度改革については、高橋洋一「さらば財務省!」(4)高橋洋一氏と小泉構造改革(2)でも話題にしました。
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