民主党新政権は、テロ特措法を延長せず、インド洋での給油活動を止める方針です。
私も2年前に議論になったときには、インド洋での給油を止めた方が世界のためになるのではないかと考えていました。日本が主導したアフガニスタンでの武装解除が成功したのも、日本が戦争をしない国であることを感じたアフガン人から信頼されたことが要因でした。アフガニスタンで軍事活動を行うアメリカに日本が加担していることが知れたら、今までの信頼関係が崩れてしまいます。
しかし、2年前にテロ特措法延長か否かであれだけ大騒ぎしたため、すでに現地では、日本がアメリカの軍事活動に加担していることが知れわたっています。今更インド洋から引き上げても、もう昔の信頼を取り戻すことは不可能でしょう。
民主党は、インド洋での給油の代わりに、アフガニスタン現地での民生支援などにシフトする意向のようです。それでもテロとの戦いに貢献するのだと。それは確かにそうです。2008年1月に緒方貞子氏が見たアフガニスタンでもその点を書きました。
私はアフガニスタンでの活動を、2つの流れに分けて考えないと判断を誤るのではないかと考えています。
その第1は、「911同時多発テロの復讐戦争」です。「アメリカ対アルカイダ戦争」とも言えるでしょう。同時多発テロで米国本土を攻撃したアルカイダは絶対に許せない。そのアルカイダを庇護するタリバーンも許せない。
NATO諸国はアメリカのこの怒りを是認し、アフガニスタン戦争を戦いました。日米同盟を結ぶ日本も、憲法の制約の中、テロ特措法でインド洋での給油を始めたわけです。
タリバーンと戦った結果としてアフガニスタンの政権が崩壊しました。そこでアフガニスタン戦争の延長として、アフガニスタンの治安回復をもNATO中心で進めることになり、現在に至っています。しかしあくまで「対アルカイダ戦争」が主で、「アフガニスタンの治安回復」は従の位置づけになります。
第2に、「内戦と干ばつに起因する貧困にあえぐアフガン人を救済しよう」を主目的とする活動があります。中村哲医師を中心とするペシャワール会の活動がそれに該当します。
第2の立場から見ると、現在アメリカが軍事力を用いて主導するアフガニスタン治安回復活動などは、「かえって治安を悪化させている」との評価になります(参議院外交防衛委員会での中村哲氏)。そしてこの立場から考えると、「アメリカを中心とする軍隊がアフガニスタンから即時撤退することが、アフガニスタン治安回復の最良の道」ということになります。
さて、日本が「インド洋給油を中止し、その代わりに民生支援に転じる」としたとき、アメリカの立場はどうでしょうか。
今、アメリカのオバマ政権は決して盤石ではありません。種々の問題をかかえています。そのオバマ政権が、「アフガニスタン」を大きな政策の柱としています。あくまで上記「第1」の目的であって、決して「第2」の目的ではありません。
このようなとき、日本が「インド洋給油を止めて民生支援に転じる」としたら、アメリカから見たとき、「日本は対アルカイダ戦争での米国支援から降りる」ということになってしまわないでしょうか。
オバマ大統領は、日本から裏切られたと感じるかも知れません。
今もアフガニスタンに軍隊を駐留させているNATO諸国は、自国民の命を危険にさらしつつ、国内では撤退すべきという圧力に曝されています。ドイツもそうです。そんなおり、ドイツ軍司令官が主導する空爆において、多数の民間人が巻き添えで殺害される事件が発生しました。ドイツは苦しい立場に追い込まれているでしょう。
そのようなおり、インド洋給油活動しかしていない日本が、それすらも止めてさっさと離脱しようとしています。苦しい立場にあるNATO諸国から見て、日本の態度は卑劣に写るかも知れません。
インド洋給油の積極的な意味合いは薄いとしても、インド洋給油を止めることによるメリットも今ではなくなっています。逆に、インド洋給油を止めることにより、アメリカ及びNATO諸国を苦しい立場に追い込むことが懸念されます。
民主党政権には、以上の情勢を勘案して、国益を損なわない判断を下してほしいと思います。
私も2年前に議論になったときには、インド洋での給油を止めた方が世界のためになるのではないかと考えていました。日本が主導したアフガニスタンでの武装解除が成功したのも、日本が戦争をしない国であることを感じたアフガン人から信頼されたことが要因でした。アフガニスタンで軍事活動を行うアメリカに日本が加担していることが知れたら、今までの信頼関係が崩れてしまいます。
しかし、2年前にテロ特措法延長か否かであれだけ大騒ぎしたため、すでに現地では、日本がアメリカの軍事活動に加担していることが知れわたっています。今更インド洋から引き上げても、もう昔の信頼を取り戻すことは不可能でしょう。
民主党は、インド洋での給油の代わりに、アフガニスタン現地での民生支援などにシフトする意向のようです。それでもテロとの戦いに貢献するのだと。それは確かにそうです。2008年1月に緒方貞子氏が見たアフガニスタンでもその点を書きました。
私はアフガニスタンでの活動を、2つの流れに分けて考えないと判断を誤るのではないかと考えています。
その第1は、「911同時多発テロの復讐戦争」です。「アメリカ対アルカイダ戦争」とも言えるでしょう。同時多発テロで米国本土を攻撃したアルカイダは絶対に許せない。そのアルカイダを庇護するタリバーンも許せない。
NATO諸国はアメリカのこの怒りを是認し、アフガニスタン戦争を戦いました。日米同盟を結ぶ日本も、憲法の制約の中、テロ特措法でインド洋での給油を始めたわけです。
タリバーンと戦った結果としてアフガニスタンの政権が崩壊しました。そこでアフガニスタン戦争の延長として、アフガニスタンの治安回復をもNATO中心で進めることになり、現在に至っています。しかしあくまで「対アルカイダ戦争」が主で、「アフガニスタンの治安回復」は従の位置づけになります。
第2に、「内戦と干ばつに起因する貧困にあえぐアフガン人を救済しよう」を主目的とする活動があります。中村哲医師を中心とするペシャワール会の活動がそれに該当します。
第2の立場から見ると、現在アメリカが軍事力を用いて主導するアフガニスタン治安回復活動などは、「かえって治安を悪化させている」との評価になります(参議院外交防衛委員会での中村哲氏)。そしてこの立場から考えると、「アメリカを中心とする軍隊がアフガニスタンから即時撤退することが、アフガニスタン治安回復の最良の道」ということになります。
さて、日本が「インド洋給油を中止し、その代わりに民生支援に転じる」としたとき、アメリカの立場はどうでしょうか。
今、アメリカのオバマ政権は決して盤石ではありません。種々の問題をかかえています。そのオバマ政権が、「アフガニスタン」を大きな政策の柱としています。あくまで上記「第1」の目的であって、決して「第2」の目的ではありません。
このようなとき、日本が「インド洋給油を止めて民生支援に転じる」としたら、アメリカから見たとき、「日本は対アルカイダ戦争での米国支援から降りる」ということになってしまわないでしょうか。
オバマ大統領は、日本から裏切られたと感じるかも知れません。
今もアフガニスタンに軍隊を駐留させているNATO諸国は、自国民の命を危険にさらしつつ、国内では撤退すべきという圧力に曝されています。ドイツもそうです。そんなおり、ドイツ軍司令官が主導する空爆において、多数の民間人が巻き添えで殺害される事件が発生しました。ドイツは苦しい立場に追い込まれているでしょう。
そのようなおり、インド洋給油活動しかしていない日本が、それすらも止めてさっさと離脱しようとしています。苦しい立場にあるNATO諸国から見て、日本の態度は卑劣に写るかも知れません。
インド洋給油の積極的な意味合いは薄いとしても、インド洋給油を止めることによるメリットも今ではなくなっています。逆に、インド洋給油を止めることにより、アメリカ及びNATO諸国を苦しい立場に追い込むことが懸念されます。
民主党政権には、以上の情勢を勘案して、国益を損なわない判断を下してほしいと思います。
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