弁理士の日々

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誰か橋下徹さんを止められないのか

2013-05-19 00:34:32 | 歴史・社会
橋下徹大阪市長の従軍慰安婦発言が止まりません。彼が発言すればするほど、状況は悪くなり、世界中から顰蹙を買うことは必定であり、安倍政権に飛び火して日本の評判が悪化する危険性を大いにはらんでいます。
「誰か橋下さんを止められないのか」
とやきもきし、なんとか私から助言を橋下さんに伝達できないかと考えました。私はツイッターをやらないので、フェイスブック経由でやっと発言の場を見つけました。そこで、橋下徹さんのフェイスプックサイトでこの発言を行いました。5月15日です。しかし、私の助言は本人に届かなかったようで、15日以降も橋下さんの発言は暴走の一途です。

私は今年1月6日、「慰安婦問題の扱いには細心の注意を」を記事にしました。第2次安倍政権が発足した直後でしたが、言論界などの従軍慰安婦に関する発言次第では、安倍政権がこの問題で火だるまになる懸念があったためです。

橋下徹さんが従軍慰安婦問題で発言していることは、去年8月に気づきました。去年8月27日の「従軍慰安婦問題~2007年閣議決定とは」で記事にしました。

<慰安婦問題>橋下市長が93年の河野談話を批判
毎日新聞 8月24日(金)12時14分配信
『従軍慰安婦問題について、大阪維新の会代表の橋下徹・大阪市長は24日、慰安婦の募集や移送などに強制性があったことを認めた93年の河野洋平官房長官(当時)の談話を「日韓関係をこじらせている元凶」と痛烈に批判した。一方で、07年に安倍晋三内閣が「強制連行を直接示す資料は見当たらない」と閣議決定をしたことを評価し、「河野談話は見直すべきだ」と述べた。』

去年8月27日記事では以下のように述べました。
『私が河野談話で述べたように、河野談話の内容に問題があることは明らかです。
「慰安婦の募集については、軍の要請を受けた業者が主としてこれに当たったが、その場合も、甘言、強圧による等、本人たちの意思に反して集められた事例が数多くあり、更に、官憲等が直接これに加担したこともあったことが明らかになった。」(河野談話

従軍慰安婦の募集には「官憲等が直接これに加担したこともあった」と記述し、この点から、日本軍が強制連行を行なったことを認める内容であると読めます。

雑誌での多くの議論によると、「平成5年の政府調査において、官憲が強制的に徴用した事実を示す証拠は結局見つからなかった。にもかかわらず、河野談話は『官憲等が直接これに加担したこともあった』と明確に表現した。なぜか。当時の韓国政府が、『日本が強制徴用を公式に認めれば、日本には金銭的補償を求めない』と意思表示したからだ」とあります。

西岡力東京基督教大学教授が、外政審議室の人に「『河野談話』の官憲等という記述は何なのか」と質したところ、「これはインドネシアにおけるオランダ人を慰安婦にした事例だ」と答えたそうです。インドネシアにおけるオランダ人を慰安婦にした事例は、これはこれでとても痛ましい事件なのですが(白馬事件(ウィキ)、米国国会でのオランダ人証言)、朝鮮半島からの募集とは全く異なる事案です。

河野談話は、いわゆる従軍慰安婦問題についてを受けて、1993年(平成5年)8月4日に宮澤改造内閣の河野洋平内閣官房長官により発表されたものです。

アメリカでのホンダ決議も、韓国国民の意識も、いずれも河野談話をベースとして、「日本官憲による強制連行で慰安婦にされた」と信じています。これに対し、『2007年に国会議員の質問趣意書への回答書が閣議決定されたのだから、河野談話よりもこの閣議決定の方が権威がある。従って、河野談話に基づく非難は妥当でない。』と主張するのは無理があると思います。

従軍慰安婦という問題そのものが、現代の感覚で考えたら許すことのできないおぞましい事実であることは間違いありません。ですから、まずそのような事実があり、多くの女性、それも他国(植民地)の女性を犠牲にしたことについて、真摯な態度を表明することは絶対に必要です。
朝鮮の地から連れてこられて従軍慰安婦にさせられた女性の中に、正式の軍命令による強制徴用ではなかったにしても、騙されたりして無理矢理連れてこられた人が多かっただろうことは理解できます(当ブログ記事)。
昨年12月に従軍慰安婦問題と韓国で書いたように、問題が顕在化した以上、今後、日本にとって良好な着地点など存在しないと覚悟すべきでしょう。できるかぎり日本の不利益を軽減することに努力するのみです。

橋下大阪市長が、この問題で大やけどを負わないように願っている次第です。』

このときの私の懸念が現実となってしまいました。いや、そのときの懸念をはるかに超えています。
去年8月は、『河野談話の「強制連行」は事実ではないので正すべきだ』というレベルでしたが、現在ではこんな話があったのかと思うほど、おどろおどろしい話になっています。
「戦争において従軍慰安婦は必要である(あった)」
「沖縄米軍司令官に、沖縄の風俗を利用するように進言した」
大阪市長であり、公党の代表であり、将来の日本国総理大臣を目標としているような人が、(たとえ心の中で思ったとしても)決して口に出すべきことではありません。
橋下さんの周辺のどなたか、ぜひ橋下さんへの諫言をお願いいたします。

なお、橋下さんが言及していた「閣議決定」についても調べを進め、去年9月に「従軍慰安婦~質問主意書と答弁書」として記事にしています。
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6 コメント

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Unknown (Unknown)
2013-05-19 02:40:19
橋下さんのお母さんくらいしかとめられない。
お母さんの言うことなら、聞くかも。
もう止まりましたよ。  (とら猫イーチ)
2013-06-26 13:38:02
 本日(6/26)現在では、東京都議選の惨敗が物語るとおり橋下・維新の賞味期限は切れました。 
 対米国では、米軍に風俗利用提案を行った時点で終止符を打った、と云えます。 
 米国では、ペンタゴンが本年に入り、始めて女性兵士の第一線での戦闘勤務を認めました。 既に、多くの戦死傷者を出しながらも正式には、女性兵士はCQB(近接戦闘)に参加出来なかったのです。 優秀な兵士不足に悩まされていた米国で、やる気満々の女性に機会を与える今回の措置には、七割以上の米国民が賛成しています。 しかし、その反面、軍内での女性に対するハラスメントが後を絶たず、オバマ大統領の頭痛の種であったのです。 そこへ、米国と米軍内のこうした事情に疎い、無知な橋下氏の発言です。 米軍の海兵隊にも女性兵士は多数が居て、第一線で命のやり取りをしているのです。 軍と大統領と国民の怒りを買うのは当然でしょう。 都議選の結果は、日本に於いても、格好のみ右依りの単なる馬鹿には国民は信を置かない、と云う当たり前のことが証明された訳です。
維新の終焉 (snaito)
2013-06-26 17:05:37
とら猫イーチさん、コメントありがとうございます。

私は維新の会に期待していたのですよ。少なくとも昨年11月までは。ただし、橋下さんの慰安婦問題に対するスタンスには危ういものを感じ、昨年8月に
http://blog.goo.ne.jp/bongore789/e/94bdb5d3952d86e0da802af4fd7e0ccf
を記事にしてはいましたが。

昨年12月、維新が太陽と合流した時点で、私は
「維新の会はメルトダウンするのか」
http://blog.goo.ne.jp/bongore789/e/2675af1fa668dab80b3842e09a9c5615
を書きました。
あの時点で、維新が可能性として持っていた改革へのパワーは消滅してしまいました。
そして今回の橋下氏による慰安婦発言問題です。さらには、都議選の選挙直前になって共同代表間の不協和音が露わになりました。もう何も期待することができません。残念なことです。
いい加減に眼を覚まさないと。 (とら猫イーチ)
2013-06-27 09:50:11
snaito 様。

 橋下・維新に、改革を期待した方々は、今、怒りに燃えるか、嘆息しておられるかでしょう。 その意味で、政治不信が増幅するのではないか、と心配です。 特に、私の周囲では、高齢者が、期待されておられたので、沈鬱な御気分に沈んでおられるのを拝見しますと御気の毒です。
 でも、日本では、自公から民主党への政権交代時にも、多くの国民が、官僚政治からの転環を期待され、ものの見事に裏切られ、期待した政策が次々と風化して行く様を呆れて傍観するのみでした。 彼らは、政権に就く以前に、国家統治のなんたるかを理解してはいなかったのです。
 今の安倍政権も、その意味では危うい存在です。 「戦後レジームの転環」とか称して、敗戦後に営々と築き上げて来た営みを「無かったこと」に出来るとでも思っておれられるのでしょうか。 幾ら復古主義的に過去に執着しても、時間が元に戻ることはありません。 「大日本帝国憲法」は、歴史の彼方にあるのです。 
 日本と日本人は、歴史的に、この種の過ちを犯して来ました。 「維新」の時代にも、薩長は、出来る訳も無い「攘夷」を実行して、イギリスを始めとした四カ国連合艦隊に手ひどい敗北を喫しました。 歴史上の「攘夷」を「戦後レジームの転環」に置き換えると、そっくりそのまま当て嵌まります。 国際情勢と自国の現状に理解を欠いたまま、強がりのみで勇ましい言葉、では、諸外国は、やがて相手にしなくなります。 特に、現今の経済は、グローバルになり、世界的な市場を相手にしなければなりません。 諸外国と摩擦が生じれば、それだけで経済的には、遅れをとることになります。 例えば、中国・韓国とことを構えて、対米英欧州で問題が生じないと考える程度の頭では政治家として失格です。 米英の第一の産業は、今や金融です。 米英からの巨額の投資は、北朝鮮へも為されているのですから。
 この点では、同じく敗戦国になった旧同盟国のドイツでは、日本のような時代錯誤は、場合に依り犯罪になります。 ナチ式敬礼をしただけで逮捕されますし、ネオナチは犯罪者です。 ユダヤ人への迫害を始めとした戦前の過ちを徹底して告発し、社会から根絶する努力が諸外国から評価された結果は、強大な「国防軍」を保有しつつ、EUの盟主としての戦前よりも勝るドイツになっているのです。 
 どうやら、この国には、時代錯誤の趣味に迷い、近年の諸外国の事情にも疎く、財政破綻を目前にしながらも何の対策も取らずに、株価が上がったことぐらいで鬼の首でもとったかのように喜ぶ単純な人々が多いようです。
いい加減に眼を覚まさないと。
橋下徹は健在です (信永和男)
2013-10-30 11:25:32
(1)従軍慰安婦問題は産経新聞のスクープ記事が「捏造であった」ことを示しました。橋下市長の主張は従軍慰安婦活用を正当化したのではなく、日本国による従軍慰安婦活用を非難するのなら、同様の活用を当時していた(戦後もしていた)他国をも同時に公平に非難すべきという主張です。(2)米国(沖縄の米軍責任者)が本来発言すべきであった表明は「橋下市長が風俗活用の提案まで発言せざるを得なくなった原因となっている沖縄の米兵による婦女暴行が無くならないことについては、誠に申し訳ない。風俗を活用するとは言えないが(少なくとも公式には)米国・米軍の無策は誠に申し訳ない。なんとかする」という表明です。(3)ナチスによる数百万人抹殺という民族浄化と従軍慰安婦活用とを同じレベルの「悪」と主張される方々がおられます。どのように思考すれば同じレベルの「悪」になるのか小生の思考力では理解不能です。少なくとも小生が在住する大阪においては橋下市長に対する支持率は大きく落ちていません。維新の会所属の政治家の中には問題を起こすメンバーも多く、維新の会支持者である小生としては困っていますが、そういう困った政治家を排除し、力のある政治家を増やしていけば、維新の会のもっと大きな「風」を大阪だけでなく、全国にも吹かせることができるものと期待しています。(大阪府在住自営翻訳業)
橋下徹さん、がんばれ (snaito)
2013-10-30 20:59:44
信永和男さん、コメントありがとうございます。
私も橋下徹さんにはがんばってもらいたいと願っている者です。

「慰安婦問題」については、現代の感覚ではとても容認できないおぞましい事象を対象にしているので、この問題を提起する上では細心の注意が必要です。
橋下さんが、細心の注意を払って対処するのでない限り、この問題に言及すべきではなかったと思います。言及しなければいけない必然性も全くわかりません。

橋下・維新の会は、太陽の党と合流したこと、そして慰安婦発言で火だるまになったことで、大きく力がそがれた、と私は見ています。
当面、日本維新の会からは身を引き、大阪維新の会に専念した方が、橋下さんの今後のためにはベターであろうと私は思っています。

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