Retrospective...

イラストレーター/ライター遠藤イヅルの困った嗜好をばらす場所

2006-04-12 | 江戸時代に憧れる。





3年前、福井で行われたフレンチトーストピクニックに行ったときのことです。
イベントを楽しみ、帰りは嬉しい後泊をしました。
場所は、白川郷
合掌造で有名な場所です。

民宿は無論、合掌造を選びました。
歴史を感じるたてものの中で美味しい夕飯を頂いたあと、僕はR18&R4乗りのKT君と
宿の近くにある公共温泉に歩いていくことにしました。

5月の夜ですが、少し肌寒い中を宿の外へ。
街道に出て、僕らははたと気が付いた。
信号機やその周囲の街灯、それとわずかな家々の明かりが目立つほどに真っ暗なのです。
山間部ならどこでも...かもしれません。
でも、観光地で、昼間はそこそこの密集した家々のあるエリアなのに
想像以上に暗かった。


僕はふと思った。
薄ぼんやりと路面を照らし出す家々の明かりに反射して僅かに浮かび上がる
江戸時代から建つたてものと、それ以外を包む夜の重々しい帳。
それらがもたらす、まるでタイムスリップしたような錯覚とともに。



...闇がある。この町には、江戸時代のままの闇が。



このたてものたちが見てきたその昔、
ひとびとにとって闇はどれほど恐ろしいものであったか。








想像しただけでも怖いです。
今の時代だって、電灯もない夜道は怖い。
山道など歩けません。
でも昔は、街も真っ暗だった。
路面を照らすのは月か、提灯くらいなものだったでしょう。
柳は風に揺れ、木々はざわざわと囁くように葉をかすれさせる。
行く人もいない。
闇は、人々の恐怖心をかき立てた事でしょう。
何が出てもおかしくないと思ってしまう。


そして、実際、闇には何かがきっと潜んでいたに違いないと思うのです。
もし今住んでいる街のあかりがすべて消えたら、どれだけ怖いか...
まあ、一番怖いのは魑魅魍魎ではなく、闇を利用して悪さする人間だと思うのですが(^^;




>>宮部みゆきの作品の中に、「幻色江戸ごよみ」という珠玉の短編集があります。
12編のストーリーに生きる、ごく一般的なひとびとの暮らしを怪異的なストーリーで
まとめた、大好きな本です。

>>この中にも、「闇」は効果的に使われています。
闇が怖いと直接的に書かれているわけではないのですが、
でも闇が人々にもたらす恐怖心、闇が生み出す不安感などが描き出されてます。


>>あ、ちなみに白川郷は夜が怖いというわけではありませんので、ご心配なく!

コメント (7)
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