アブリル - どこにでもあり、どこにもない

岡崎平野を中心とする 植物 と カメラの対話

アジサイ科のウツギたち

2021-05-31 18:17:55 | みんなの花図鑑
「ウツギ」の名が付く木には アジサイ科のウツギと、タニウツギなどスイカズラ科のウツギと、ミツバウツギ科のウツギとあります。
きょうは アジサイ科のウツギを取り上げます。

八重のウツギ

正式には 何というのか分かりませんが、見てのとおり 八重のウツギです。



雄しべが花弁にメタモルして 八重咲きの花になるのだそうです。



ということは、めしべはまだ残っていて・・・



他家の花粉を受粉すれば、果実ができるということでしょうか?




ウツギ(ピンク)

こんどは ピンクの花弁のウツギです。



花弁は5枚、こんどは 雄しべがしっかり伸びています。



アジサイ科の空木3兄弟(ウツギ、ヒメウツギ、マルバウツギ)は おしべに特徴があって、雄しべの花糸がきしめんのように扁平になっているのです。
(あとで観察します)



それから、花弁とおしべが散った花をみると、分厚い花盤(蜜腺)があったことが分かります。



ウツギ(ピンク)その2

これは別の場所で見た ピンクのウツギです。
ウツギ・マギシェン(Deutzia ‘Magician’)というウツギの園芸品種がありますが、もしかしたら それかも?



そういえば、サクラウツギという園芸品種もありますね。
どう区別するのか よく分かりません。
ともかく、先述した雄しべのかたちを観察してみましょう。



アジサイ科の空木3兄弟(ウツギ、ヒメウツギ、マルバウツギ)は
おしべの「花糸の翼の形がウツギ、ヒメウツギ、マルバウツギでそれぞれ違う。」(松江の花図鑑「ウツギ」)



「ヒメウツギでは、翼の上端が角(ツノ)のように突き出している。」(同上)



「ウツギはほぼ四角であり、マルバウツギではなで肩になっている。」(同上)

どうでしょう?
3種類のうち、このピンクのウツギは 「角のように突き出している」ように見えませんか (^_-)-☆
ヒメウツギは背が低いことが多いのですが、この木は私の背より高かったです。




サラサウツギ

小振りで、花びらの外側が薄っすらとピンク色のウツギです。



花弁の内側は 白いです。



学名:Deutzia crenata f. plena



別のところで撮ったサラサウツギです。




バイカウツギ

西尾市憩の農園にて。
バイカウツギはもともとは4弁花なのですが、この園芸品種は 八重化しつつあります。


雄しべのほうは ウツギのような特徴的な花糸でなく、普通の花糸のようです。
雌しべの柱頭は4裂しています。



バイカウツギ ’ベル・エトワール’

安城デンパークにて。
学名:Philadelphus ’Belle Etoile’
フランス語で Belle は(美しい)、etoileは (星)の意です。



梅の花に似ているから「梅花」空木ですが、梅の花は5弁花、たいしてこれは4弁花です。
’ベル・エトワール’ は 西洋バイカウツギの交配種です。花弁の根元が赤紫色なのが特徴です。



さらばマンネングサ!

2021-05-31 10:03:35 | みんなの花図鑑
マンネングサの仲間が分かりません。
5月も終わりなので 区切りをつけようと名前も分からないまま アップしちゃいます。


(ツルマンネングサ?)

花に特定の虫が来ています。花のどこに蜜があるのか? 特定の虫が特定の花に集まるのはなぜか?



マンネングサの種類よりも、そういうことに関心があります。



よく見ると、集まっている虫たちは おしべの3分の1くらいしか胴長がありません。これでは授粉に役立たないでしょう。



でも他の虫が来ていないところを見ると、蜜を吸う ついでに 花粉を体に付ける虫もいるんでしょうか?



でも、マンネングサの子房も面白い形してますね
以下、さるブログよりお借りしました
「雌しべは基部でわずかに合着するだけの5個の子房からなり、子房の外側基部に微小な蜜腺(みつせん)があって、この蜜を求めて昆虫が訪花する事が多いようです~~^^
果実期になると各子房の内側が膨らんで果実は星形の袋果となります・・・・・♪」






メキシコマンネングサ

上から見ると 前のマンネングサと区別不能です。



横から 葉のかたちを見て ようやく ふむふむ (^_-)-☆



(きのう テレビで『Stand by me』をやってました。)



(映画といえば「さらば」のつく映画がけっこうあったな~)



(さらば友よ、さらばベルリン、さらば青春の光、)さらば5月、さらばマンネングサ・・・


樹に咲く花 (62) モチノキ科の花

2021-05-30 18:19:28 | みんなの花図鑑
樹に咲く花、第62回は モチノキ科を(5月中に区切りつけたいので)一挙公開 \(^o^)/

ウメモドキ
モチノキ科は雌雄異株です。

これは雄株に咲いた雄花。


上と同じベニバナの雄花。


これも雄花です。白花です。



同じく白花の雄花。蜜がきらりと光っています。


以下、雌花です。

アリが来ています。このアリはとても小さいアリです。






葉が厚みがあると、花も花弁のピンクが濃いです。


葉が明るいと、花弁もうっすらとピンクになります。





ソヨゴ

ソヨゴも雌雄異株。
まず 雄株の雄花から。


雄花は細かい花が集合して咲きます。


雄花といっても 仮めしべがしっかり見えます。


以下は 雌株の雌花。

ソヨゴの花柄は モチノキ科の中でもとくに長いのが特徴です。


雌花ですけど、わずかにおしべが付いています。


子房が花弁の上にあり(子房上位)、子房の頭には大きな柱頭が付いていて、果実になっても柱頭のあとが大きく残った果実になるのがモチノキ科の果実の特徴です。




イヌツゲ

イヌツゲは ツゲ科ではなく モチノキ科です。


それは 花を見ると分かります。
上の2つは 雄株の雄花ですが・・・



とくに 雌株の雌花を見ると、いかにもモチノキ科の雌花の特徴をよく表しています。



白い花の中央に 大きな子房の雌花があり、子房の頭には これまた大きな柱頭が載っています。



唯一他のモチノキ科と異なるのは 果実が黒いということです(他のモチノキ科の果実はみな赤い)。







クロガネモチ

雄株の雄花です。


葯が赤いのでキレイです。


枝も赤いのが クロガネモチの特徴。



花粉を出しています。


以下は 雌花。

秋になると 真っ赤な実が集合して咲きます。














アメリカヒイラギ

アメリカヒイラギといいますが、アメリカヒイラギモチのことで、れっきとした モチノキ科です。
花を撮り忘れました。



ちゃんと モチノキ科の果実の格好をしています。




モチノキ

最後になりましたが、本家?モチノキ。
これも花を撮りそこねましたが、雌株の果実です。


ユキノシタ - 柿の下

2021-05-30 11:19:13 | みんなの花図鑑

「湿った半日陰地の岩場などに自生する常緑の多年草である。人家の日陰に栽培されることも多い」(wiki 「ユキノシタ」)



柿の(木の)下に ユキノシタ(雪の下)の群落があります。(ずっと前の5月26日コンデジで撮影)



花がとても変わっています。5弁花なのですが、上3枚が小さく、下の2枚が大きく無地です。
上の(小さいほうの)3枚には 紅の斑点模様がついていますが、よくみると3枚ともデザイン(絵柄)が違います(^_-)-☆



おしべは花弁の側に、めしべは 中心から垂直に伸びています。
おしべは10本ということですが、下の3本 うえ1本は葯を付けていないようです。
先行隊と後攻隊とかあるのでしょうか?!




少しだけ調べたところ、どうやらそのようで、めしべが未熟な時に おしべが先行して(それも時間差をつけて順に)めしべに近い位置まで立ち上がって花粉を出すそうです。




雄しべの活動が一段落してから めしべが成熟するそうです。
このめしべも変わっていて、柱頭が2つあります。
めしべの根元には 黄色い立派な花盤があります。花盤は 花托の一部が大きくなった突起だそうです。



花柄には毛が付いています。



ナツロウバイとニオイロウバイ - ロウバイ科

2021-05-29 18:21:30 | みんなの花図鑑
ナツロウバイ

これは 5月どころか4月19日の撮影です。
場所は 安城デンパーク。



デンパークの樹名板。
x Sinocalycanthus raulstonii 'Hartlage Wine'

通販サイトの解説によると、
「初夏に咲くロウバイの仲間で、中国産の潅木です。」
とあります。
品種名のとおり ワイン・レッドの花です。



つぼみは丸く・・・



通販サイトによっては 「クロバナロウバイ:ハートリッジワイン」の名で販売しているところもあるようです。



そこの説明も前述のとちょっと違っていて
「ハートリッジワインは初夏に咲くロウバイの仲間で、中国原産のナツロウバイと北米原産のクロバナロウバイの交配種です。」
となっています。



もちょっと調べたら、ほぼ正解がありました!↓
「この品種はアメリカのノースカロライナ州立大学付属のJCロールストン(James Chester Raulston)植物園で、1991年に学生のリチャード・ハートレッジ(Richard Hartlage)がナツロウバイ(Sinocalycanthus chinensis)とクロバナロウバイ属の一種カリカンサス・フロリドゥス(Calycanthus floridus)を交配して作出したもので、彼の名と花の色(ワインレッドカラー)に因んで命名されています。」(樹木好き!「カリカンサス‘ハートレッジ ワイン’」より)



同じ花を5月26日に撮ったもの。
「花の色はクロバナロウバイの色を強く継承してワイン・レッド(ナツロウバイの花の色は白)、花の大きさはナツロウバイのような巨大輪の特徴を持っています。」(同上)



ニオイロウバイ ’アテネ’

「クロバナロウバイの仲間で、春に咲く花径5cmの黄緑色の花はメロンやマスカットのような甘い香りです。」(通販サイトの解説より)



ロウバイ科を整理すると3つの属があります
1.ロウバイ属 Chimonanthus
2.クロバナロウバイ属 Calycanthus
3.ナツロウバイ属 Sinocalycanthus



この ニオイロウバイ’アテネ’ は (3) のナツロウバイ属 Sinocalycanthus ということですね
この属は シノカリカンサス・キネンシス(Sinocalycanthus chinensis)だけからなる単型属だそうです。



花後。ロウバイと同じように「偽果」ができます。




ムラサキツユクサなど - 5月終われど…

2021-05-29 10:12:21 | みんなの花図鑑
もう5月も終わりです。そして、5月終われど緊急事態はつづきます。
私のほうは溜まっている花を放出し身軽になります。


ムラサキツユクサ

ムラサキツユクサの白花バージョンです。


白花というと 南アメリカからやってきたトキワツユクサというのもありますが・・・



こちらのほうがずっと手ごわそうです。(何が? (´v_v`))




ムラサキツユクサは北アメリカから園芸用として渡来してきました。



オオムラサキツユクサというのもあるそうで、そちらは 萼にまで毛が付いているとか。



ムラサキツユクサやトキワツユクサを見て「ああ、外来種だ」とすぐ分かるのは 毛深いから (^^ゞ




この毛、雄しべから出ているんです。



あいにく私はそんな経験したことないのですが、細胞が一列に並んでむき出しになっているので「理科の授業で細胞の原形質流動の観察や減数分裂の観察などにも使用されています」とのこと。

素晴らしい動画あります ↓
NHK for school 『ムラサキツユクサ 細胞の営み|ミクロワールド』




ヒルザキツキミソウ

ヒルザキツキミソウとか モモイロヒルザキツキミソウと呼ばれるこの花も 5月の花でした。



アカバナ科マツヨイグサ属の花で、やはり北アメリカから渡ってきて、今では帰化(野生化)しようとしています。



雨しずくが付いている花をみると 思わずパチクリしてしまいます。


花はマツヨイグサ属の特徴を備え、花弁4枚、おしべ8本、めしべの柱頭は4本に分かれ、開くと十文字になります。




オオキンケイギク?

私にはオオキンケイギクとしか見えないのですが、でも、畑に植えてありました。



スマホの Google Lensアプリで検索すると 雛菊(デイジー)などを候補に出してきます。










スイレン

これはスイレン(睡蓮)です。ハス(蓮)ではないですよね?



なぜなら・・・水面に浮かんで咲いているから?!



スイレンの葉には 切れ込みがあります。
咲いていた場所は小学校の校庭の外にある めだか池。



アゲラタム - オオカッコウアザミ?

2021-05-28 18:01:38 | みんなの花図鑑
西尾市憩の農園にて。


段ボールで作った看板に「切り花に良い アゲラタム」とマジックで書いてあったのですが・・・



アゲラタム(Ageratum)というのは カッコウアザミ属の学名で・・・



wiki の「カッコウアザミ属」の項には こんなことが書いてあります:
「戦前から栽培されていたのは、カッコウアザミ Ageratum conyzoides であったが、現在栽培されているのは、ほとんどがオオカッコウアザミ Ageratum houstonianum である。」



別の記事には こうあります:
「栽培されるのは主に、カッコウアザミ(Ageratum conyzoides)とオオカッコウアザミ(A.houstonianum)で、現在は花つきがよく、花がより目立つよう改良されたF1品種(一代雑種)の利用がほとんどです。」(みんなの趣味の園芸「アゲラタムの基本情報」)



近い花に ヒヨドリバナ属の エウパトリウム・ソルディドゥムがあります。
カッコウアザミ属とヒヨドリバナ属はともに ヒヨドリバナ連 Eupatorieae の花です。



花がアザミの花に似ていますが、カッコウアザミ属は アザミ亜科ではなく キク亜科の花です。


シダレブラシノキ - オーストラリアから

2021-05-28 10:35:25 | みんなの花図鑑
シダレブラシノキ

私たちはこの花を見て「あっ、ブラシの木だ!」って言っちゃいますけど、
デンパークの樹名板には
 Callistemon ’Dawson River Weeper’
 カリステモン ’ドーソン・リバー・ウィーパー’
と記してあります。



ブラシノキはフトモモ科ブラシノキ属(カリステモン属)の常緑小高木です。



フトモモ科というとオーストラリア原産のイメージが濃く、この木もオーストラリア東部が原産地とのことです。



栽培品種で、その特徴は
 Callistemon viminalis ‘Dawson River Weeper’ – Bottlebrush
 Callistemon viminalis 'ドーソンリバーウィーパー' –ブラシノキ
「しだれ癖のある大きな低木から小さな木まで。春の豊富な開花と秋のフォローアップにより、これはさまざまな気候の優れたスクリーニング植物になります。真っ赤な花は蜜を食べる鳥にとって魅力的です。」(アンガスとガーデニングーオーストラリアの植物と園芸で最高のものをお届けします ブログより引用)



属名の Callistemon は ギリシャ語の Kallos(美しい)+stemon (雄しべ)が語源です。



種小名の viminalis は 「長柔枝のある」の意なので、GKZ植物事典では この種を「シダレブラシノキ」と称しています。



なお、カリステモン属(ブラシノキ属)にも当然いろいろ種類があり、
wiki 「ブラシノキ」では 学名 Callistemon speciosus をブラシノキとしています。
speciosus は(美しい、華やかな)の意。



ブラシノキは 英語でもbottlebrush と呼ばれたりしています。




品種名の ’Dawson River Weeper’ ですが、オーストラリア東部のクィーンズランド州中部を流れるドーソン川(Dawson River)沿いでジョージ・トラッペル氏によって発見され、Weeper(枝垂れたもの)という特徴から名づけられたようです。





シダレブラシノキは風車の下に何本か植わっています。




スイカズラ(金銀花) と 金銀木 - スイカズラ科

2021-05-27 22:47:43 | みんなの花図鑑
スイカズラ科をふたつ。場所は安城デンパーク。撮影日は5月26日。


スイカズラ

ひとつ目はスイカズラ(吸葛)。花筒のお尻に蜜があり、吸うと甘いことから、という説が一般的。



タイトルにも書いたように、「キンギンカ(金銀花)」の別名もあります。



花の咲き初めは白色で、のちに黄色に変わることに因んだ呼び名です。



花は、もともと5枚の花びらがくっついて筒になっているのですが、そのうち4枚は先で平らに開いて立ち上がっていて、残りの1枚だけが シベの下側から出ています。ポリネーターが夜間活動する蛾なので、マメ科の蝶形花の翼弁や舟弁のようなしっかりした弁は無くても大丈夫のようです。




キンギンボク

もうひとつの 「金銀」が このキンギンボク(金銀木)なのですが、あいにく花は終わって、今は果実が生ってました。

キンギンボクの花は こちら をご覧ください。

スイカズラの花と同じで、咲き始めは白だったものが、やがて黄色になるためキンギンボク(金銀木)なのですが・・・



今は みな果実なので、ヒョウタンボク(瓢箪木)という別名のほうがふさわしいですね



ヒョウタンボクの名は もちろん果実が2つくっついていて瓢箪のようだから。



ユスラウメそっくりでいかにもおいしそうな実なのですが・・・



残念ながら有毒です。


ゴデチア - 駐車場のアカバナ科

2021-05-27 15:35:09 | みんなの花図鑑

西尾市憩の農園の駐車場(の花壇)で咲いてました。
スマホの Google Lensアプリで検索したらそっくりの絵が出て来て 「ゴデチア」とあったので、これに違いないと思いました。



帰ってから調べて分かったのですが、ゴデチアはアカバナ科で 属は違いますが ヒルザキツキミソウの豪華版みたいな雰囲気があります。

サテンのような光沢と紙細工のようなひらひらとした花弁が花壇に華やぎをもたらします。華やかな花色が多いですが、透明感があるので、上品な印象です。(Green Fingers 「ゴデチアの基本情報」)

アカバナ科ゴデチア属の越年草で、学名は Godetia amoena(syn. Clarkia amoena)。(Weblio辞書「ゴデチアはどんな植物?」)
学名の Godetia は 植物学者の C.H.Godet(ゴデ)さんからだとか。




和名では「いろまつよいぐさ(色待宵草)」と呼ばれます。(同上)
確かに、そんな雰囲気です。
葉は披針形です。



アカバナ科には4数性の花が多いそうで、このゴデチアも 花弁4枚、萼片4枚、雄しべより背の高いめしべの柱頭も4裂しています。



そうすると、雄しべも 4の倍で 8個なんでしょうかね(未確認)



数えてみようとしたら、花弁化した雄しべ(←推定)が邪魔をしています。



おしべが花弁化して八重咲き種になるとはよく聞くことなので、この種も八重咲きゴデチアに変わろうとしているのかもしれません。



おまけで・・・


となりにあった ヤグルマギクのピンクバージョン。