アブリル - どこにでもあり、どこにもない

岡崎平野を中心とする 植物 と カメラの対話

ヒイラギナンテン 'チャリティー' ‐ 動くおしべ

2022-01-31 06:00:01 | みんなの花図鑑

冬に咲く元気な花といえば、このヒイラギナンテン(Mahonia)の園芸品種 ’チャリティー’ も代表選手の一つでしょう。
「ヒイラギナンテン・チャリティーは ニイタカヒイラギナンテンMahonia oiwakensis subsp. lomariifolia (previously known as Mahonia lomariifolia) と ヒイラギナンテン Mahonia japonica の交配種であるマホニア・メディアのいくつかある品種の一つ。」(三河の植物観察「ヒイラギナンテン・チャリティー 」)





ヒイラギナンテン(Mahonia japonica)にくらべ、背が高く、また花の数が多い特長があります。





たしかに花数が多い!




株によってですが、蜜がキラキラ光ってます。この蜜、(当然のことながら)甘いです!(^^)!




ヒイラギナンテンの花には、この前話題にしたロウバイと似た特徴があります。
やはり、おしべが動くのです。
開花当時のおしべは このように花弁のほうに寄り添っていますが…




虫が花に乗ったりすると、やおら 雄しべは雌しべのほうに移動するのです。




雄しべの花糸に触れると動くようで、ロウバイのように全おしべが一斉にめしべのほうに集まるというわけではありません。




また、ロウバイの葯(おしべの頭についている花粉袋)は雌しべに反対側(外側)を向いていましたが、このヒイラギナンテンの雄しべは 内向きです、雌しべのほうを向いています。





なので、めしべの柱頭と雄しべの葯とが同じ高さにあれば、自家受粉してしまいます。





(他家受粉か、自家受粉か分かりませんが)受粉した雌しべの子房は 赤く熟してきます。





実はナンテンの子房もこのような形をしています。
ところが ナンテンのほうはご存じのように成熟すると球形の赤い実になりますが、ヒイラギナンテンの果実は熟してもこのように子房のときの形のままです。





虫が少ない時期なので、そうやすやすと他家受粉できるとは思えません。それでもけっこう子房が赤紫に熟しているのを見ると、自家受粉によってできた果実も多くあるのではないかと思われます。




ネコヤナギ、クロヤナギ - 春まじか

2022-01-30 06:00:01 | みんなの花図鑑
ネコヤナギ

JAの園芸コーナーへ行ったら、生け花用の枝ものでピンクのネコヤナギを売ってたので買ってきてしまいました。




毎年楽しみにしていた畑のピンクネコヤナギが昨年切られてしまったので、現在は近くで植栽されているピンクネコヤナギを見ることができないのです。




ピンクネコヤナギのピンクの部分は雄しべの葯の色のようです。




葯が割れて中から黄色い花粉が出てくると、ふつうのネコヤナギになってしまいます。





クロヤナギ

クロヤナギはネコヤナギの突然変異で、雄株しかないそうです。



咲き方はネコヤナギの雄花とよく似ていて、
赤い葯のついた花糸が伸びたあと、葯が割れ黄色の花粉が露出して花は淡い黄色になります。



ロウバイ - めしべを守るおしべ

2022-01-29 06:00:04 | みんなの花図鑑

きのうの「ソシンロウバイ」のつづきで、今度は花弁の中が赤紫色をしている「ロウバイ」です。
端的に言えば、まあ、 二番煎じです(´・ω・)


おまけに 去年の今日も同じ内容の記事を投稿してました。↓

↑画像をクリック(またはタップ)していただきますと 元記事にジャンプします。

去年そこに書いたことを、今年の花でおさらいです。


ロウバイ1
見出し画像も このロウバイ1 です。

第1期(めしべ活動期)の花です。
おしべはこの花では6本、下を(花弁のほうを)向いて突っ伏しています。




中心にめしべがあるのですが、その周囲に2本?の仮雄しべが弱弱しく?立ち上がっています。
仮雄しべの役割ははっきりしません。過去の遺物かも?




第2期(おしべ活動期)
雄しべが立ち上がってきて 雌しべを囲みます。
といっても 雌しべの方向を向いて顔を突き合わせるのではなく、雌しべを守るように、みな外を向いて丸くなります。
葯が割れて花粉が出ている状態です。




ロウバイ2

おしべは5本あります。
第1期(めしべ活動期)なので、おしべは花弁のほうを向いてうつぶせになっています。
中心にあるのがめしべなんですが、先ほどの花で見た 仮雄しべがこの花ではあるのか無いのか、この画像ではあいまいです。




うつぶせになっていたおしべが立ち上がり、中心の雌しべを囲むように集まってきています。




ひとつ前の画像の花と同じ状態(おしべ期)ですが、葯の下が黒くなっています。これは何なのか、よく分かりません。






ロウバイ3

この花もおしべは5本です。それより短い仮雄しべが2本出ていて肝心の雌しべの姿がはっきりしません。




第2期(おしべ活動期)の花です。
この花では 起き上がったおしべが 他の花からの受粉の終わっためしべをしっかり覆っています。
葯はまだ割れていないように見えます。




この花もおしべ活動期で、こんどは盛んに白い花粉を出しています。

いくつかの株で、ソシンロウバイ、ロウバイのシベの雌雄異熟を見てきましたが、
カメラでしっかり確認できなかったものとして 雌しべの実態があります。

「雌しべは壺形の花床の中に多数つく。 【樹に咲く花】」
「雌しべはたくさんあって、つぼ状をした花床中におさまっています。子房は一室で、中に一個ずつ胚珠が入っています。花が済むと、花床の部分が膨らんで、細長い卵状の果実となりますが、これは本当の果実とは言えないので偽果(偽の果実)といいます。【牧野富太郎植物記5】」

「仮雄しべの内側にやや大きくなった複数の白い子房が見える。複数の糸状の花柱が中心で束状になっている。」
「3個の子房、糸状の花柱、奥に棒状の仮雄しべ、その奥に花粉を残した雄しべが見える。」
(以上2つとも、続・樹の散歩道「ロウバイの花はのぞき見てもようわからん!」より)








ソシンロウバイ - 動く雄しべ

2022-01-28 06:00:05 | みんなの花図鑑
ロウバイの雄しべは面白い動きをします。
3つ異なる場所のソシンロウバイで、おしべの動きを観察してみます。



ソシンロウバイ1

最初は 愛知県緑化センターのソシンロウバイです。
撮影日は 1月13日です。







これは咲き始めの花の雄しべの状態です。
5角形をして花弁に倒れこんでいるように見えるのがおしべです。
活動しているのは中心にある めしべ のほうです。
おしべは活動していません。




しばらくたつと(雌しべの授粉が終了したころ)おしべが立ち上がってきます。
雄しべの葯は外を向いています、アリが花弁の内側に立ってこの状態を見たら おしべが 十一面観音像のように雌しべを守るように外を向いているように見えることでしょう。




雄しべの葯が割れて花粉を放出しています。葯の割れ目は外を向いているので、すでに受粉の終わった自家のめしべにはかかりません。





ソシンロウバイ2

初期状態です。活動しているのは中心のめしべで、6本のおしべはそれぞれ花弁にうつぶせになっています。



上と同じく雌しべ活動期の花です。





うつ伏していたおしべが起き上がり、外を向いて雌しべを取り囲もうとしています。



上と同じ時期の花です。
このあと、葯が割れて花粉の放出が始まるのですが、この日は葯が割れた花は見られませんでした。







ソシンロウバイ3

開花初期の花です。
いちばん内側の花弁は5枚で、対応して おしべも5本のようですが、それより小さな雄しべが3本伸びています。



同じく雌しべ活動期の花ですが、肝心の雌しべがはっきりしません。




雌しべの活動が終わり、おしべが起き上がり 雌しべのほうへ移動します。




おしべ活動期の花です。おしべはめしべを閉じ込めるようにぴったり合わさっています。
外に向いた葯が割れて花粉が出ています。





葦 - ヨシ?アシ?

2022-01-27 06:00:03 | みんなの花図鑑

「葦」というイネ科の植物があります。
湿地に群生する植物で、古代から人が利用してきた、大変身近な植物でした。




それもそのはず、日本は昔「葦原国(あしはらのくに)」と呼ばれていました。
「葦原(あしはら)」とは 葦(あし)の生い茂る原の意です。




日本神話では、天上界の「高天原(たかまがはら)」、地下の世界「黄泉国(よみのくに)」の中間の世界、つまり日の本のヒトの世界を、高天原からみて、海辺にアシの繁茂するいまだ開けない(これから開き、治めるべき)土地と位置付けていたようです。




さらに、日本神話では、伊邪那岐(いざなき)・伊邪那美(いざなみ)が最初に産んだ子(=神)が 「水蛭子(ひるこ)」と呼ばれる不具(体に欠陥/欠損がある)の子であったため、葦船(あしふね/あしぶね)に乗せられて流されてしまいます。





パスカルの「パンセ」の冒頭の一節

L'homme n'est qu'un roseau, le plus faible de la nature; mais c'est un roseau pensant.

を今でも私たちは

「人間は自然のうちでも最も弱いひとくきの葦にすぎない。しかしそれは考える葦である。」

と訳しています。
un roseau pensant が 「考える葦」で、葦(あし)と読んでいます。




それがどうして 葦(ヨシ) と発音するようになったんでしょう?




「8世紀、日本で律令制が布かれて全国に及び、人名や土地の名前に縁起のよい漢字2字を用いる好字が一般化した。「アシ」についても「悪し」を想起させ縁起が悪いとし、「悪し」の反対の意味の「良し」に変え、「葦原」が「吉原」になるなどし、「ヨシ」となった。」(wiki 「ヨシ」)




要するに 音韻主義?で [Ashi] ではなく [yoshi] にしたわけですか?
それなら、「手足」の「足」はなにゆえ(あし)のままなのですか?身体の一部なのに?

「関西地方では、お金を意味する「お足」に通じるため、「アシ」の名前が残されている」(同上)





2018-10-05 撮影
「ヨシキリ」という鳥がいます。
「葦」を切り裂いて中にいる昆虫などを食べる鳥のことです。
アシキリとは呼ばないので、ヨシキリという名前が付けられたのはそんなに古くは無いようですね




吉原の語源
「2説あるよ。1つは、吉原の創設者・庄司甚内が東海道の吉原宿出身であったためという説と、 葦(=悪し)の 生い茂る低湿地帯だったのを転じて吉という縁起が良いものとしたという説があるよ。」(浅草観光のオトモ「吉原の遊郭の歴史を知ろう!」)



「雲間草」はクモマソウ?クモマグサ?

2022-01-25 06:00:01 | みんなの花図鑑

幸田町の憩の農園にて。
この花の横には 下のようなラベルが添えてあります。

ラベルによると、この花は
「雲間草(クモマソウ)」です。
高山植物で「日光戦場ヶ原からの贈り物」がキャッチフレーズのようです。




標高1400mの日光戦場ヶ原が生育地で、「雲がゆきかう」「雲の間の草」で「雲間草」と名づけられたそうです。





しかしながら、漢字の「雲間草」で検索すると、
「クモマグサ」と読む記事ばかり出てきます。




いわく
雲間草の基本情報
学名:Saxifraga Mossy Group
ユキノシタ科 / ユキノシタ属
雲間草は一般的に「クモマグサ」または「洋種クモマグサ」などの名で市販されており、交配種の一群です。高山植物として扱わなければならない植物のなかでも、育種や選抜が長年繰り返されてきただけあって、たいへん丈夫です。」(みんなの趣味の園芸「雲間草」)





「交配のもとになった種はヨーロッパ原産で、サキシフラガ・カエスピトーサ (Saxifraga caespitosa)、サキシフラガ・グラヌラータ(S. granulata)、サキシフラガ・ヒプノイデス(S. hypnoides)、サキシフラガ・モスカータ(S. moschata)、サキシフラガ・ロサセア(S. rosacea)などがあります。これらの種のほとんどは高山の岩場や岩の割れ目、礫原(れきげん)などに生えています。」(同上)
通常、開花期は「4月~5月」(同上)のようです。






さらに「和名をクモマグサ(S. merkii var. idsuroei)という植物は、本州中部の高山の岩場に見られる多年草で、ほとんど市販されていません。」(同上)
とか
「クモマグサ(雲間草)の名前で流通しているものは、ヨーロッパ原産の洋種(西洋)雲間草を指し、日本の高山で自生するクモマグサとは別種です。日本に自生するクモマグサは栽培が難しいためほとんど出回っていません。」(LOVEGREEN「クモマグサ(雲間草)の特徴」)
とまであります。






どうやら「洋種クモマグサは、欧州の高山に生えるものを2種以上交配した交雑種で園芸品種の多年草です。
促成栽培をされて、1~3月頃に園芸店に出回っている可憐な花です」(山野草の育て方、植物図鑑「洋種クモマグサ(洋種雲間草)の育て方」)
というのが正解のようです。
いずれにしても、どの花も花盤に蜜があふれてます。とてもかわいい花です。










プリムローズ - 雌花と雄花?

2022-01-24 06:00:01 | みんなの花図鑑

Google Lens でこの花を検索すると「プリムローズ」と言ってきます。
でもそこで引用されている記事は 「プリムラ・ブルガリス」について書かれてます。





「プリムローズ」というのは サクラソウ科(Primulaceae)の英名だそうです。
そしてとくに、サクラソウ科サクラソウ属のプリムラ・ヴルガリス(英語版)(Primula vulgaris)のことを「プリムローズ」と呼ぶことが多いのだとか。
まぁ、名前はそういうこととして、ここで取り上げるのは 見出し画像のように、同じ色をした花でも中心が「おしべ」の花と「めしべ」の花とあるということです。
この花は「おしべ」の花です。




上と同じ色ですが、この花は「めしべ」が見えてます。





この花は「おしべ」の花です。




上と同じ色ですが、この花は「めしべ」が見えてます。

プリムラの仲間は 雌雄異株で、雄花の株と雌花の株とあるのでしょうか??




この花は「おしべ」の花です。



上と同じ「おしべ」の花ですが、おしべは液に浸かってます。この液は蜜なんでしょうか??




この花は「めしべ」が見えてます。
「めしべ」が見えている花で 液に浸かっている花は見当たりませんでした。





この花は「おしべ」の花です。


「おしべ」の花ですが、おしべは液に浸かってます。




上と同じ色ですが、この花は「めしべ」が見えてます。





この花は「おしべ」の花です。



上と同じ色ですが、この花は「めしべ」が見えてます。




上と同じ花ですが、雌しべの下を覗き込むと、何やら 雌しべ以外のものが見えてきます。




そこに焦点を当ててみますと、どうやら「おしべ」のようです。

プリムラの仲間は 雌雄異株ではなくて 両性花なんですが、
2タイプあり、
「おしべ」が上に伸びているタイプと、
「めしべ」が上に伸びているタイプとあるのです。
(めしべが上のタイプを「長花柱花」、おしべが上のタイプを「短花柱花」といいます)

どうしてそのようなタイプに分かれているのかというと、
自家受粉を避けるためです。
「おしべ」の長いタイプに虫が来ると、花粉が虫につきます。上で見たように、雄しべを覆うくらい蜜でおおわれているので、仮にその花の雄しべの下に雌しべがあったとしてもそのめしべに花粉がつくことはありえません。
花粉をつけた虫は別の花を訪れ、その花が雌しべが上に伸びている花で会った時だけ受粉が成功するという仕組みです。

しかしながら。。。
ソバの花のように、花筒がシベを覆っていない花の場合は この説明は了解できます。なぜなら、図体の大きなハチは まず雄しべが長い短花柱花で花粉をつけ、つぎに雌しべが長い別の花で授粉するし、相対的にハチより小さいアリのばあいは まず低いところにおしべのある花(長花柱花)で花粉を体につけ、つぎに低いところにめしべのある花(短花柱花)で授粉できるからです。

ところが、プリムラのばあい、シベの周囲を花筒が覆っています。
おそらく 雌しべに隠れて低いところにあるおしべは役割を果たせないでしょう。
また、(見てはいませんが)雄しべの下に隠れて花筒の奥にめしべがあったとしてもそこまで虫が行くことがあるとは到底思えません。そうまでしていく必要がないからです。
ということからすると、
プリムラは(進化論的時間軸で)近い将来、雄花と雌花に進化するのでは?!
と思えてきました (^_-)-☆




刺しまくってセンダングサの勝ち!

2022-01-23 06:00:01 | みんなの花図鑑
センダングサの仲間が花火みたいに輝いています。



花ではないので、どのセンダングサかは分りません。
陽を受けたひっつき虫が「こっちおいで」と手招きしてます。




ほう、近くで見るときれいだね




棘の先の逆テーパーになってる部分をじっくり見せておくれ




わぁー、やっちまった!
手袋に触ったと思ったら、あっというまにこんなに刺さっちゃった




手袋に刺さった槍の先をじっくり観察



シルバーリーフ・コレクション - デンパーク

2022-01-22 06:00:01 | みんなの花図鑑
安城デンパークでは、毎年冬期、大温室内で シルバーリーフコレクション展が開催されます。
今季は例年より出品数が多く、シルバーリーフのコレクションを一挙公開だそうです。




まず目につくのが、このガザニアです。




シルバーリーフ展なので、ガザニアも本来はリーフ(葉)が見てほしい部分なのですが…



ガザニアというとどうしても花のほうに目が行ってしまいます。




以下、ラベルと一緒に撮ったものをそのままアップしてます。