アブリル - どこにでもあり、どこにもない

岡崎平野を中心とする 植物 と カメラの対話

ムクゲ - アオイ科のシベ3

2021-06-30 18:16:38 | みんなの花図鑑

ムクゲの学名は Hibiscus syriacus です。
属名の ヒビスクス は英語読みすれば「ハイビスカス」です。
種小名の シリアクス は「シリアの」という意味ですが、ムクゲの原産地は中国 です。
何故「シリアの」なのか? については、前回記事 「タチアオイ - アオイ科のシベ2」に書きましたので、興味のある方は ご参照ください。



ムクゲのシベも アオイ科のシベのひとつの典型です。
太い棒?の先についている部分が めしべの柱頭です。
では、この太い棒が めしべの花柱かというと、そうではありません。




太い棒は じつは円筒になっていて この円筒は 雄しべの花糸がくっついてできた円筒だったのです。
そして、この円筒の中を雌しべの花柱が子房部分から5本の管を伸ばして円筒を抜けた先で 柱頭を展開させているのです。



もうひとつ、このムクゲで面白いのは 花弁は一重のように見えますが・・・

雄しべの筒から出ている沢山の雄しべのうち、基部に近いところのいくつかの雄しべが花弁化しているということです。
このムクゲは 半八重だったのです。



雄しべの筒の壁面に出来たおしべが 実際、花弁になる現場?!を始めてみました(^^)/


タチアオイ - アオイ科のシベ2

2021-06-30 10:53:25 | みんなの花図鑑
アオイ科のシベ観察、2つめは タチアオイ です。


とりあえず、よく見るタチアオイです(^^ゞ
まず話題は 学名について^^

タチアオイはアオイ科の多年草で、いまでは 学名は Althaea rosea または Alcea rosea となっています。
現在の学名には原産地の情報(たとえば japonica とか・・・)がありません。



タチアオイの原産地は かつてはムクゲと同じく 中国と考えられていましたが、いまでは「ビロードアオイ属のトルコ原産種と東ヨーロッパ原産種との交雑種(Althaea setosa × Althaea pallida)とする説が有力です」(Kazuya Koga 「タチアオイ」)



話が脱線しますが、同じアオイ科の木 ムクゲの(現在の)学名は Hibiscus syriacus です。種小名シリアクスは「シリアの」という意味ですが、ムクゲの原産地はいまでも中国と考えられています。
それではなぜ「シリアの」という種小名がついたのでしょうか?
ムクゲの古い学名は「Althaea frutex で 「低木のタチアオイ」とされていました。
ここで ムクゲとタチアオイがつながります。
で、本題のタチアオイは 12世紀ごろに十字軍によってシリアから運ばれてきたと伝えられています。
英名のHollyhockは、十字軍が(当時のシリアの)(十字軍にとって聖地の)エルサレムからこの花をイギリスに持ち帰ったのが タチアオイのヨーロッパでの始まりで、アングロサクソンでの「mallow(アオイ科の植物)」の名前が「hoc」だったので、ホーリーホックとは「聖地からきた「hoc」」という意味らしいのです。
(で、その逸話が 新しいムクゲの学名のほうに引き継がれて ムクゲの新学名が Hibiscus syriacus となったというわけ)


話が長くなりましたm(_ _)m
あとは たくさん撮った タチアオイのシベを 経過順 ステージ順に並べてみました。
(ステージが間違ってる画像もあるかもしれないので、よく吟味しながらご覧ください)

ステージ 1

最初のステージはおしべの展開です。中央の太い円柱から雄しべの花糸が伸びて先に葯(花粉を入れた袋)を付けていますが・・・



実は この円柱そのものが 沢山の雄しべの花糸がくっついて出来上がったものなのです。
上の画像をよく見ると円柱の表面に筋があります。

(↑ 木綿糸の束のイメージです)
こんな風に 花糸が束になっているイメージです。



そして 雄しべ最盛期の花蕊はおしべの円柱が全身 花粉で覆われています。




ステージ 2

ところが、つぎに不思議なことが起こります!
その時期というのは、花粉がほぼ出尽くしたと思われる時期です。



不思議なことというのは 雄しべの円柱の先から 雌しべの棒がタケノコのように生えてくるのです。
(トップから3枚の画像もみな このステージのものでした)



雄しべの円柱と言ってきたものは 実は中空の円筒だったのです。


雌しべといっても、柱頭は出来上がっていなく 単なる棒といった感じですが・・・



よくみると、雌しべの棒と言っても、将来 複数の柱頭になる数だけ管の集まったものであることが分かります。
(まだ幼い未分化の柱頭ですが、この画像では 早くも 花粉が付着しています)




ステージ 3

雌しべの柱頭が花開きました!



めしべが 雄しべの筒の中を通って 雄しべの活動時期が終わった後に 柱頭を展開するという方式は アオイ科の花だけではありません。
キク科の花も けっこう似た仕組みをもっています。






ステージ 4

そして、虫が運んでくれたであろう花粉が めしべの柱頭につきます。



「虫が運んでくれたであろう花粉」といったのは、ひょっとして、自分の雄しべの花粉のこともありうるからです。



でも雌しべの成熟期は 雄しべの活動は終わっています。
柱頭に付いた「数の子のような花粉」は 他の花から 虫が運んでくれたものと想定しておきましょう(^^ゞ




ゼニアオイ - アオイ科のシベ

2021-06-29 18:26:27 | みんなの花図鑑
(見出し画像は ゼニアオイの花蕊です。雌しべの柱頭に 花粉がいっぱい付いています)


こちらは まだあまり花粉がついていない雌しべです。



糸のように広がった柱頭のすぐ下にあるのは 雄しべの花糸と葯です。雄しべの花糸は合着して筒(中空)になっています。
雄しべの円筒の上のほうだけ ばらけていて、雄しべの葯が花粉を出しています。
雌しべは この雄しべの筒の中を貫通してきて、筒を抜け出たところで柱頭を開きます。



こういう雄しべ筒とめしべ棒の貫通という構造は アオイ科の花に特徴的な構造です。




ゼニアオイの花では、おしべとめしべの柱頭は 近いところにあります。なので・・・



この花では めしべの柱頭の先に 花粉が付いていますが、この花粉は 自分の花粉ではないかと思われます(自家受粉?)。




ここからは 花粉をまとった柱頭の観察です。



砂糖をまぶしたように 花粉がついています。



この花粉が 他の花から虫が運んでくれたものか? 近くの自家の雄しべが触れてついたものなのか?
疑問が残ります (^^ゞ





樹に咲く花 (73) ナンキンハゼ

2021-06-29 11:04:06 | みんなの花図鑑
(見出し画像は 「サマー・フリンジ」という園芸品種の雌花で、昨年7月に撮影したものです)

ナンキンハゼ(雄花)

川沿いの(野生の)ナンキンハゼです。穂状の花はすべて雄花(雄しべ)で、まだつぼみの状態です。



ナンキンハゼは トウダイグサ科ナンキンハゼ属の落葉高木です。
トウダイグサ科といっても、ユーフォルビアやニシキソウの仲間のような杯状花序ではなく、黄色い穂状の総状花序です。



先がこんな風に 2つにωかれている穂がたくさんありました。




斑入りナンキンハゼ(雄花)

安城デンパークのナンキンハゼです。園芸品種です。沢山の黄色い花穂が垂れ下がってキレイです。



しばし 花穂をお楽しみください (^^)/



品種は 「タイニー・カスケード」という品種です。検索しても、それ以上の情報がありません。



樹名板には 「斑入」とありますが、あまり斑が入っているようには見えません。



さて、花そのものですが、雄花ばかりで雌花がどこにも見当たりません。
ナンキンハゼは 雌雄同花なので、どこかにあるとおもうのですが・・




斑入りナンキンハゼ(雄花と雌花)

同じく安城デンパークの斑入りナンキンハゼ(園芸品種「Snow moutain」)です。
こちらははっきりと斑入りで、若葉がピンクで きれいです。



さて、黄色い穂状の雄花の根元に 雌花が付いているのをようやく見つけました!



そうです、ナンキンハゼの雌花は 雄花の穂の根元についてるんですね



アップして雌花をよく見ると、すでに受粉を終えたようで、柱頭部分が茶色くなってます。

雌雄の花について、まとめると・・・

● 雄花は総状花序で、その葉腋に雌花をつける(wiki 「ナンキンハゼ」)
● 雄花と雌花のどちらかが先に咲き、もう片方が後から咲く(雌雄異熟)。咲く順序が、木によって違い、雄花から先に咲く雄性先熟型と雌花から先に咲く雌性先熟型とがある。(福原のページ「ナンキンハゼ(トウダイグサ科)」)

ということで、株(品種)によって、雌花・雄花の咲く順序に違いがあるようです。
最後の園芸品種「Snow moutain」のほうは 雌性先熟株(♀→♂) で、「穂の下の方に数個の雌花がつき、その上に雄花がたくさんつく。雄花がつぼみのうちに下の方の雌花が咲き、雌花が咲き終わって柱頭を落とした頃になって雄花が満開となる。」(同上)

それに対し、2番目の 園芸品種「タイニー・カスケード」のほうは、たぶんですが、雄性先熟株(♂→♀→♂)
「穂のようにたくさんついた雄花が先に咲き始める。雄花が咲き終わって穂から落ちたころになって、穂の付け根のところの小さな穂が伸びる。小さな穂には、付け根の方に数個の雌花、先の方に多数の雄花がついていて、まず雌花が咲き、その後雄花が咲く。」(同上)
なのではないかと思います。

樹に咲く花 (72) ムクゲ

2021-06-28 18:00:00 | みんなの花図鑑
夏はアオイ科!

八重のムクゲ

八重のムクゲは豪華です。



沢山の花弁をぎゅっと圧縮した…つぼみもまた可愛い。



花は一日花です。
「白花品種のつぼみを乾燥したものを木槿花 (もくきんか) と呼び,胃腸カタル,下痢,腸出血の薬とする。」(ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「ムクゲ」の解説より)




花は食べられます。



八重の花弁は 雄しべが花弁化したと言われてます。




半八重

「半八重の花を分解してみますと、沢山の雄しべの一部がいろんな程度に花弁に変化していることがわかります。」
「花が八重咲きになるときには、ムクゲに限らずサクラでもバラでも、雄しべが(時にはガクも一緒に)花弁に変化しているのがふつうです。」(大阪百樹「ムクゲ  Hibiscus syriacus」)



一重

アオイ科の花蕊は大きいのが特徴です。



そして おしべとめしべが独特に組み合わさっているのも特徴です。



花の中心から蕊筒が伸びています。筒の表面から出ているのが 雄しべです。というか、筒そのものも 雄しべの花糸が合着してできたものなのです。
ですから、ツバキやスイセンのように 雌しべの周りから出ている雄しべが花弁化して八重のツバキやスイセンになったのは分かる気がするのですが、筒の表面から出ている花糸と葯が 花弁化したという事態は私の想像力を超えています。
雄しべが花弁になったなら その時 雄しべ筒はどうなったのでしょう??

めしべはというと、その蕊筒の中を花柱が貫通して筒を抜けた先で 柱頭を開いているのです。



「ですから、雌しべの柱頭をつみとって、上手に花を壊していきますと、ちょうど刀をサヤから抜くように雌しべを抜き取ることができます。」(同上)







トウネズミモチとネズミモチの比較

2021-06-28 12:05:06 | みんなの花図鑑
トウネズミモチとネズミモチの比較をしてみます。

そして、できれば、花で区別したいのです。

たとえば、以下の2枚。




上が トウネズミモチ、下が ネズミモチの花です。


なぜそう分かったかというと、葉を透かして見たからです (´∀`)


トウネズミモチの葉は、表から透かしても、裏面から透かしても主脈、側脈ともに透けて見えます。
特に裏面から透かすと明瞭に脈が透けて見えます。


ネズミモチのほうは裏面から透かすと側脈は見えません。
また側脈の部分は周辺よりも暗く見え、主脈の周辺も暗く見えます。

あと、葉の形状も違います。
トウネズミモチの葉は先端が次第に細くなっているので、葉の幅が一番広いのは枝元側です。
たいしてネズミモチの葉はやや細く葉の真ん中あたりが一番幅広です。



葉による区別が一番簡単ですが、花による区別はできないのでしょうか?




トウネズミモチの花(上)は花筒部が相対的に短い。ので、雄しべの花糸が筒から飛び出てより開いて見えます。
ネズミモチの花(下)は 花筒が相対的に長いので、雄しべの花糸が飛び出す量が少なく、どちらかというと花糸が2本とも上に伸びただけのように見えます。
・・・ともろもろの記事に書いてありますが、上を見て分かるように、実際は 真逆のことがあるのです。






トウネズミモチの花(上)の2本の雄しべの葯は 花糸が開いているので たがいにそっぽを向いている。
ネズミモチの花(下)の2本の雄しべの葯は互いに向き合っている。
・・・という区別法も言われることがあります。
でもこれも マクロレンズで拡大して見ても よく分からないですね


ということで、花によるトウネズミモチとネズミモチの区別は なかなかうまくいきません。


でも、ここの2つの比較写真を見ると 大きく違っているところがあります。



トウネズミモチの雄しべ(上)は 花糸が途中で折れています!
ネズミモチの雄しべ(下)のほうは 折れていません。

これは 明瞭な差だと思うのですが・・・
花期が終わりになると ネズミモチの雄しべも折れることがあるようです。
というわけで、この花糸による区別法は トウとネズミの区別には使えなさそうだと分かりました。
残~念!



ニューサイラン - 40年に一度咲く花?

2021-06-27 19:57:44 | みんなの花図鑑

ニューサイランは ツルボラン科(またはキジカクシ科)フォルミウム属(マオラン属)の常緑性多年草です。
漢字で書くと、「入才蘭」だそうですが、蘭の仲間ではありません。



ニューサイランの記事をネット上で検索しますと 「40年に一度咲く花」という記事が飛び込んできます・・・



たとえば、
「40年に一度 ニューサイランの花咲く 高さ2メートル、何気なく見てびっくり 山口」(毎日新聞
ほかにも
「「何、この花…」 40年に一度しか咲かない?「ニューサイラン」が開花」(丹波新聞

他にも 「40年に一度」の記事は いっぱいあります▼





でも、私は ここ安城デンパークでこの花を「毎年」見ています (^_-)-☆

種類が違うのでしょうか??




「ニューサイランは花が咲くことは珍しく、条件が合わないと咲かないと言われているほどです。一部のニューサイランは40年に一度しか開花しないと言われることも。」(GreenSnap 「ニューサイランの花言葉|意味や種類」)
やっぱり、「一部のニューサイラン」だったのねぇ



しかし、それにしては 「40年に一度」の記事画像と ここで見るニューサイランの花、とってもよく似てます。
とても 別種とは思えないけどな~~~ (´∀`)




青い木の実 - エゴノキからポポーまで

2021-06-27 10:35:26 | みんなの花図鑑
1 エゴノキ (安城デンパーク)

エゴノキは エゴノキ科エゴノキ属の落葉小高木。
どこまでエゴノキが続くのか?と思ったら 「ツツジ目のエゴノキ科」なんですね



おいしそうな?エゴノキの果実です。でも「口に入れると喉や舌を刺激してえぐい(えごい)」かったので、それで「エゴノキ」と名付けられたんですって



実といっしょに、こんなものが生っていました。
エゴノキの虫こぶで その名も「エゴノネコアシ(エゴの猫足)」。
エゴノキで越冬したアブラムシの一種、エゴノネコアシアブラムシの受精卵が孵化し、枝の新芽を食べることで新芽が刺激され変形して、この虫こぶができるそうです。




2 スズカケノキ (柳川瀬公園(豊田市))

スズカケノキは プラタナス と呼ばれなじみが深いですが、実は3種類あります。



スズカケノキとアメリカスズカケノキ、それと それらの交配種であるモミジバスズカケノキの3種です。



スズカケノキの学名が Platanus orientalis (プラタナス・オリエンタリス)、
アメリカスズカケノキが Platanus occidentalis、
モミジバスズカケノキが Platanus x acerifolia 。



で、一般に スズカケノキとか プラタナスと言ってる木はこの モミジバスズカケノキであることが多いということです。



果実はそう果が球形に集まった集合果。ひとつひとつがいわば種なんです





3 中国ナツツバキ (安城デンパーク)

ナツツバキというくらいだから、夏に花をつけるのかと思えば、この中国ナツツバキは早くも果実になっています。



ナツツバキは ツバキ科ナツツバキ属 の落葉高木で、分布は 本州(宮城県以西)、四国、九州、朝鮮とあります。



この中国ナツツバキは やはりツバキ科ナツツバキ属 の落葉高木なのですが、園芸品種の「夜明け前」Stewartia rostrata 'Yoakemae' なので分布は分かりません。



すぐそばのハシバミやヘーゼルナッツに似た果実の赤ちゃんが出来ていました。




4 シナサワグルミ(堀内公園(安城市))

公園の池の畔にはたくさんこの木が植わってます。マジックで書かれた樹名板には「サワグルミ」と書いてありますが、ほんとは「シナサワグルミ」です。



まあ、両方とも食べられるクルミはならないから、同じなんだけど、葉の間の枝に「翼」があるので、シナサワグルミが正解です。


(欄外)

同じ日、ユリノキの天辺にいた ヒヨドリかな?




5 ヒロハツリバナ(安城デンパーク)

ニシキギ科のツリバナの仲間です。
「花期は6月~7月で、名前の通り吊られたように花が咲く。」(東北森林管理局「ヒロハツリバナ」)



ツリバナの葉が幅広になっただけかと思ったら、大間違い!
「近縁種のツリバナは花弁が5枚、果実は5裂し果実に稜も翼もないのに対し、ヒロハツリバナの花弁は4枚、果実は4裂し果実に大きく張り出した翼があることで見分けられる。」(同上)



4裂というと、マユミやマサキが4裂でしたね
というか・・・ このツリバナ、5裂してませんか???





6 ユズリハ (堀内公園(安城市))

高い木なので、コンデジのズームで撮影。



ユズリハ属は Daphniphyllum。
Daphne (月桂樹の古名) + phylla(葉) なんだって!




このユズリハの花、とってもかわいいですよ (^^)/ とくに 雌花は

ユズリハは雌雄異株





7 ポポー

個人宅の庭に植えられています。道路沿いなので 通るたびに パチリ。



この日は 雨でした。



果肉には強い甘みがあり、「森のカスタードクリーム」呼ばれるほど。
1940年代までは日本でもポピュラーな果物だったらしい。





樹に咲く花 (71) シナノキ、菩提樹

2021-06-26 18:17:30 | みんなの花図鑑
今回は、菩提樹を含むシナノキ科の樹の花を集めてみました。といっても、ちょっと出遅れて花の時期を過ぎ、果実になっていたものもあります。


シナノキ (愛知県緑化センターにて)

本館の東側にあります。背が高いです。望遠で覗いてみると、ほとんど花は終わって果実が生っています。



シナノキは 学名を Tilia japonica といい、日本の特産種です。
長野県の古名『信濃』は古くは『科野』と書かれていましたが、シナノキを多く産出したからだと言われています。



あとに出てくる ナツボダイジュや ボダイジュと、時に区別がつかなくなります。



シナノキの花は雄しべが花弁より長く飛び出しているが、
ボダイジュは雄しべが花弁より短いという特長があるそうです。



葉で区別するときは
「シナノキの葉表は濃黄緑色で光沢はない 
葉の裏は白緑色で脈腋には茶褐色の毛が密生する(他の部分は無毛)」(出典不明-閉鎖したYahooブログより)



シナノキか? (安城デンパークにて)

それで、2日後に、安城デンパークにいって観察してみることにしました。安城デンパークには シナノキ科の樹があちこちに何本か植わっているのですが、どういうわけか、樹名板がありません。



先ほど見たように
「シナノキの花は雄しべが花弁より長く飛び出しているが、
ボダイジュは雄しべが花弁より短い」
ということですが、花はもう時期を過ぎて おしべが落ちてしまっています。



子房が果実になっています。



「シナノキの葉表は濃黄緑色で光沢はない」ということでしたから、これは 合ってます。



「葉の裏は白緑色で脈腋には茶褐色の毛が密生する」ということですが、こちらは よく分からないですね




ナツボダイジュ (愛知県緑化センターにて)

愛知県緑化センターで シナノキと同じ日に撮影したものです。
木はやはり背が高いです。
でも、一番下の枝はやっと手が届く位置にあったので、捕まえて引き寄せ花を撮影しています。



先ほど シナノキと 菩提樹の花の違いについて
「シナノキの花は雄しべが花弁より長く飛び出しているが、
ボダイジュは雄しべが花弁より短いという特長がある」
と知りました。では このナツボダイジュは?
雄しべは短いから ボダイジュに近いことが分かります。



葉です。



樹名板です(^^)/




ボダイジュ (行福寺(豊田市)にて)

しだれ桜で有名な行福寺です。奥の院前に 「菩提樹」の立て看板を付したこの木があります。
でも、遅かった! 果実ばかりでした。



学名はTilia miquelianaで、シナノキ科シナノキ属で、中国原産です。
「釈迦が菩提樹の下で悟りを開いたといわれ、寺院によく植えられている。悟りを開いたのはクワ科イチジク属のインドボダイジュであり、ボダイジュとは異なる。」(三河植物観察「ボダイジュ」)
だから、中国菩提樹といったほうが分かりやすいかも。



ボダイジュだけでなくシナノキ科の花(や果実)は ヘラのような形をした 苞葉 から果柄を出して花(と果実)をつけます。








クチナシ - バラのような

2021-06-26 11:06:53 | みんなの花図鑑

(せっかく花の名前についてご進言申し上げたのに知らんぷりをされ…挙句の果てに コメントそのものを抹消されてしまいました… なんでだろ (´v_v`))



八重のクチナシ

八重のクチナシの花はバラのようだ。



クチナシには八重咲きと一重があり、丸でもたらす雰囲気がちがう。



こういう花を撮っていると、いい香りに包まれて「しあわせ~💛💛」になる。
香りはちがうけど、ローズマリーもいいですねぇ
香りはまるで違うけど、トマトの匂いも大好きです。
(以上、堀内公園(安城市)にて)




(ここからは安城総合運動公園の八重咲き)
最近、公園や庭に植えるのは ほとんどが八重咲き種らしい。花が 豪華だから?

先ほどの堀内公園のクチナシにもいたけれど、同じ虫が来ています。
雄しべが散ったのかと思ったら、八重咲き種なので、雄しべは無いんですよね(ToT)
この虫の正体、ちょっとだけ検索すれば、すぐ分かります。(→ アザミウマの一種)
こんなところにず~っといて、クチナシのにおいにむせ返らないのだろうか?



そして つぼみです。ねじれていて、シュークリームみたいにおいしそう。



そして、一重目が開いたところ?



ところで、この八重咲き種、どんどん花弁を開いていくと最後には 雄しべ・雌しべが出てくるって、ホント?
(通常、八重咲きというのは 主に雄しべ、ときにめしべや萼片までもが「花弁化」してできるので、雄しべは無いはずなんだけど・・・)





たとえば、このクチナシ。先ほどの八重とは少し違う咲き方をしています。
(柳川瀬公園(豊田市)にて)



この花は 最初に開いた6弁の中に、また花弁の蕾があります。



けれど、八重にしては 蕾がいくぶん貧弱な気がします。
コクチナシという種類になるのでしょうか?



別のところと撮った開花初期の花です。



つぼみもふっくらしていますよね (^^ゞ




一重咲き

連続してみてくると、やっぱり 一重咲きは 全く別の花ですねぇ
花の中心に 一重のクチナシの象徴、タコが一匹!もとい、おしべとめしべがいます!



横から見た一重咲き。
花弁が水平の伸びていて、その中心に雌しべの柱頭が顔を出しています。





(ここからは 北野廃寺(岡崎市)付近で見た クチナシ。小振りなので コクチナシというのかも?)
黄色いタコですが・・・
一枚前の花で花弁に横たわっていたタコの足みたいな部分、ここではまだ立ち上がっていますが、これが雄しべです。
となると、タコの頭の部分は めしべの花柱(+柱頭)ということになります。
ん、なんか変だぞ!?
頭の表面についているのは 花粉では?
雌しべに花粉がべっとりついている??



これ、キキョウと同じなんです。
開いたばかりの一重のクチナシの雌しべの棒(花柱と柱頭なのですがまだ受粉態勢に入ってないので「棒」と表現しています)を見ると、雄蕊の葯のミゾ跡が タコの頭(雌しべ棒)にくっきりと転写されています。

雄しべは まだつぼみの状態のとき 雄しべの葯が開いて 花粉を雌しべの棒に転写しているのです。
「蕾の中で、雄しべは既に成熟して大量の花粉を雌しべに塗りたくっていた」のです。(続・樹の散歩道「クチナシの花の雄しべが奇妙な形態となっている理由」)



キキョウのばあいは、このあと、めしべ棒が成熟して 棒の先が割れて 柱頭が開きますが・・・
クチナシのばあい、めしべ棒は 開かないんです。(なので 「口無し」??)




雌しべの花柱は 花弁の下に長~く伸びていて、子房につながっています。子房は 花弁の下にあり(子房下位)、長い萼片に覆われています。



受粉して、花弁より上の部分を切り離して、果実が成長すると、長い萼片に包まれたあの独特の果実が誕生します。

一般には「口無し」という名前は、黄赤色の果実が熟しても決して口を開かないことから、と言われてます。
でも・・・
成熟しても 実が割れない果実って・・・ ほとんどの果実が そうじゃないんですか (´v_v`)
唯一 例外は ザクロ でしょうけど、これも 日本のザクロだけで、砂漠と高原が多い乾燥した長い夏があるイランでは、
果実は長い時間をかけてじっくり大きくなるので、実は大きくて、皮は薄く、種は柔らかく、そして 割れない果実になるのです (^^♪

「口無し」というと 今ではクチナシのことですが、もともと「ものを言わないこと」の意。
「山吹の花」でも良かったわけです。
しかし、コメント削除されたら もう「口無し」ですねえ (´v_v`)