アブリル - どこにでもあり、どこにもない

岡崎平野を中心とする 植物 と カメラの対話

樹に咲く花 (56) シイ

2021-05-19 17:42:31 | みんなの花図鑑
シイには 実の大きいスダジイと小粒のツブラジイ(コジイ)とがあります。
ただ、花でシイを区別するのは とても難しいです。


背が低いことと、葉が細く分厚くないので、ツブラジイ(コジイ)のほうかと思われますが、明確な根拠がないので 総称の「シイ」としておきます。
岡崎平野では ツブラジイのほうがずっと多いです。スダジイは(私の知るところでは)特定の神社にしかありません。
「両者が共存する地域では、スダジイが海岸近くに、コジイが内陸に出現することが多い。」(wiki 「シイ」)



よく目立つ 雄花 のほうです。シイの花の強烈な匂いは この雄花から出てるんですね



シイの花は クリの花と同じで 虫媒花です。虫を呼ぶためにこの匂いが必要なのです。



それでは 雌花はどこにあるのでしょう?


上の画像には 雄花と雌花の両方が写っています。
雌花のほうが 枝先についています。




雌花の枝だけ写してみました。



シイの雌花は 蜜を出していないそうです。
だから、雄花の枝といっしょに出ているんでしょうね



よくみると3つの柱頭が可愛いです(^^)/
今 受粉して、食べられるシイの実になるのには来年の秋です(2年成)。







ニゲラ - ダマスカスの

2021-05-19 07:35:26 | みんなの花図鑑

略してニゲラといってますが、「ニゲラ・ダマスケナ (Nigella damascena)」(和名クロタネソウ)のことですね。




葉は細かく裂けて糸状となっています。

「属名の Nigella はラテン語の「Niger(黒い)」からきている。」(みんなの花図鑑「ニゲラ(クロタネソウ)」)
ここで質問。
ラテン語の Niger は 「r」で終わっています。それがどうして「L」という音化を持つようになったのでしょうか??
英文Wictionaryの 「Nigella」 を見ると、
From Latin nigellus, diminutive of niger (“black”)
(ラテン語の nigellus すなわち ラテン語のniger (“黒い”))の指小語)
ということで 「黒っぽい」くらいの意味の ラテン語 nigellus に由来するということらしいです。
Nigella < nigellus < niger
という rから L への変化は 本当にあったらしいのです。
〔蛇足〕
ところで、Niger といえば、「ニジェール(Niger)」という国が西アフリカにありますが、これは 「黒い」という意味を持つのでしょうか?
これも調べてみると、「ニジェール(Niger)」と隣接する「ナイジェリア(Nigeria)」(← Nigerの英語読み)両国の国名は 両国を貫流する大河「ニジェール川」に因んで命名されたものらしいのです。
では 「ニジェール」とは「黒い」という意味なのでしょうか?
調べてみると、そもそもNiger というのは、現地で「川」を指す言葉だったようです。





ブルーの部分は 花弁ではなく萼片ということです。

「種小名の damascena は「(シリアの)ダマスカスの」という意味である。」(みんなの花図鑑「ニゲラ(クロタネソウ)」)

ここで、またまた質問。
ニゲラ・ダマスケナ(くろたねそう)は 地中海沿岸が原産地です(みんなの花図鑑)。どうして 地中海沿岸で無いダマスカスが種小名になったのでしょうか??
これも以前調べたところによると
「damascenaは、この植物がダマスカスからヨーロッパにもたらされたことから」(Love in a mist「ニゲラの花言葉」)とのことです。
そういうことで、地中海沿岸で終わるのでなく「原産地:地中海沿岸~西アジア」(花と観葉植物(葉っぱの岬)「ニゲラ」)とするのがより歴史的と思われます。




中央で よじれて伸びているのが雌しべで 5個あります。
その周囲に 大きな葯をもった雄しべが 多数 取り巻いています。




雄しべとブルーの萼片との間に 花弁の退化した「蜜腺鱗片」があるはずなのですが・・・この花ではよく分からないです。




名前の由来もよく分からないけれど、花序の構造も実に摩訶不思議な花です。




これは5年前「みんなの花図鑑」に投稿した ニゲラの果実です。(2016-6-6 撮影)