アブリル - どこにでもあり、どこにもない

岡崎平野を中心とする 植物 と カメラの対話

イトススキ、ハチジョウススキ - イネ科 4

2022-10-31 06:00:05 | みんなの花図鑑
安城デンパークのグラスウォークにある園芸品種のススキです。

イトススキ

ススキの品種です。ブラシのような柱頭が(野生のススキのように紫色でなく)白いのがちょっとちがいますが、ノギ(芒)はちゃんと見えてます。





イトススキの名は 葉が幅5mm前後とたいへん細いことによるのだそうです。





葉が立ち上がり、あまり広がらないのも特徴。




褐色の雄しべの葯は野生のススキと同じです。




それにしても すごい葯の数ですね。






ハチジョウススキ

一般的にハチジョウススキはススキより全体に大きく草丈2m強あるそうですが、この安城デンパーク・グラスウォークの斑入りハチジョウススキはそこまで大きくなく、見かけも野生のススキと特に異なる様子がありません。






穂先が結んだまま大きくなってしまった株です。




やや開花が進んだ花穂です。




オギに比べて 毛の短いところも野生のススキそっくりです。




長い針のような芒(のぎ)がいつまでも付いています。








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オギとススキはどうちがう?‐ イネ科3

2022-10-30 06:00:01 | みんなの花図鑑
見出し画像は ススキ(の花後) です。

オギ

ススキのように見えますが、これは オギ(荻) です。
いったいどこがオギなんでしょうか?




オギは湿った土地が好きです。このオギは矢作川の河川敷のオギです。(対して、ススキは乾いた土地が好き)
それと、オギはススキのように株立ちしません。オギは根茎を伸ばして横に広がっていきます。




ススキに比べてオギのほうが長くてふさふさした白い毛が多いです。




花のちがいは ススキにはあるものが オギにはありません。
オギに無いもの、それは ノギ(芒)です。(無いものの説明は難しいので、次のススキにて説明します(´∀`))





ススキ

ススキの生え方は、オギと違って、一か所から株立ちします(叢生といいます)。




ススキは乾いた土地が好きです(内陸型?)。




ススキの花にはあって、オギには無いもの。それはノギ(芒)です。
ノギ(芒)
「イネ科植物の穂は小穂と呼ばれる単位から構成されているが、これは元来はそれ自体が花序であり、いくつかの花とそれを包む包から構成されている。実際には、それらは互いに接近して小さくなり、鱗片に花が包まれたようになっている。この鱗片を穎という。穎は様々な形であり得るが、よく見られる特徴としてその主脈の先端が鱗片の縁を越えて突出する場合がある。全体としては鱗片の先端から針状の突起がでることになり、この突出部分を芒という。」(Wikipedia「芒」より)




花後のススキですが、ノギがしっかり残っています。
「イネ科植物の芒は単に鱗片の先の伸びたものと言うよりは、針状の突起となり、往々にして硬い。まっすぐに伸びるものもあるが、途中ではっきりした曲がりを持つ例もある。」(同上)
この特徴を持つので ススキに「芒」という漢字を当てるんですね、たぶん!(^^)!




雄しべと雌しべに関しては特別珍しいという点はありません。
黄色い「もみ殻」のような器官が雄しべの葯(花粉を入れたシリンダー)です。




紫色のブラシ状の器官が 雌しべの柱頭です。
中央の柱頭は大量の花粉をかぶっています。





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セイバンモロコシ - イネ科モロコシ属

2022-10-29 06:00:10 | みんなの花図鑑

イネ科の中でも花(小穂)が大きいセイバンモロコシです。
今でも畑に ソルガムという穀物が植わっているのを見ることがありますが、ソルガムはもともとモロコシ属のことです。
セイバンモロコシ(Sorghum halepense) も、元々は家畜の飼料として栽培されていましたが、逸出して河川敷や荒地などで大繁殖しています。
午後4:30 の撮影ですが、赤いのは夕焼けの影響だけではありません。穂の太陽に向いている側が紅いのです。
ブラシのような器官が 子房から伸びている柱頭です。




柱頭とは別に 筒状の器官が伸びていますが、おしべの葯です。
葯は非常に細い花糸でぶら下がっていて、少しの風が吹くだけで触れるようになっています。筒の先の穴から嘉文が飛び出します。




紅葉したように真っ赤です。




陽に照らされてクモがいました。




ブラシのような柱頭ですが、出来たばかりは透明で(左)、熟すと赤紫色に(中央)なるようです。



小穂(しょうすい)の先に長い芒(のぎ)が伸びています。
(小穂から芒がいっさい伸びていない種類を ヒメモロコシ と言って区別することがあります)



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エリムス グラウカス - イネ科エゾムギ属

2022-10-28 06:00:10 | みんなの花図鑑
地味なイネ科を少しだけ報告させてください。


最初は 安城デンパークの秘密の花園とグラスウォークで見た名前がカタカナの植物。
イネ科ということは分かりますけど・・・




全体はこんな風で、あぜ道の雑草といった感じ。




別の日撮った画像に、グラスウォークにあった名板を重ねてみました。
名板には「エリムス グラウカス イネ科」とあります。




ところが(以前にも書きましたが)カタカナの「エリムス グラウカス」でググっても何も出て来ません。



それで、学名のまま「Elymus glaucus」で検索すると、以下のような画像が出て来ます。

属名の Elymus は 日本語では「エゾムギ属」となっています。
たしかに、上の画像を見ると Elymus glaucus は小穂(しょうすい)がもっと密で、よく見る「ムギ」状になっています。





前後しましたが、花のまとまりを小穂(しょうすい)といい、小穂の基部には苞穎(ほうえい)があります。




小穂から伸びている紫色のブラシ状の器官がめしべの柱頭です。
細い花糸にぶら下がっている褐色のシリンダー状の器官がおしべの葯です。




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サンショ(ウ)、グァバ - 木の実あれこれ

2022-10-27 06:00:12 | みんなの花図鑑
サンショウ

「山椒」と書いて サンショウと読み、ときに「サンショ」と音にしたりします。



日本では古くから親しまれている香辛料で新芽、若葉、つぼみ、果実などを食用として利用します。



若い芽は「木の芽」と呼ばれ和え物などに使われます。舌を痺れさせるような清涼感のある辛みと独特の香りがあります。



未熟な青い果実は佃煮などに利用されます。



熟してはぜた果実の皮の部分を粉にしたものがウナギの蒲焼きなどでおなじみの粉山椒です。




別名をハジカミといいます。「ハジ」は熟した果実の皮がはぜるところにちなみ、「カミ」はニラの古名でニラのように辛いという意味です。



比較的栽培しやすい木ですが、他のミカン科植物同様アゲハチョウ類がつきやすいです。
(以上、ヤサシイエンゲイ「サンショウ(山椒)」より)





シャシャンボ(シャセンボ)

安城デンパークにて
名前は シャシャンボ が一般ですが、私たちの地方では シャセンボといっていました。



まだ、青い実ですが、形になってきました。



やがて熟すと黒くなります ↓ (過去ログより)

2021-12-07


別名 日本のブルーベリーと呼ばれるほどおいしいです。




以下、安城デンパーク・フローラルプレイスの展示より
グァバ
























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ボタンハギ - マメ科

2022-10-26 06:00:10 | みんなの花図鑑

安城デンパーク「乗物ひろば」南側の小道に植わっているボタンハギです。




撮影は10月13日で、あいにく花はやや盛りを過ぎた感じです。




ボタンハギは一般的なミヤノハギと葉を比べると可愛らしい丸い葉をしています。
ボタンハギに関する記事をネット上に求めてもなかなか適当なのが出て来ません。
それどころか、GKZ植物事典では マルバハギ の別名が ボタンハギとなっています。
それならそうと最初から言ってくれよ (´v_v`) という感じです




ただし、「マルバハギ」の記事のほうには 別名として「ボタンハギ」は登場しません。
マルバハギの別名は、たとえば 三河の植物観察「マルバハギ」では「ミヤマハギ(深山萩)」となっています。





花は悉く舟弁の中からシベがにょきっと顔をのぞかせています。




先ほどのGKZ植物事典「マルバハギ」によると「花後にできる豆果は熟しても裂開しない」そうです。




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コキア、ホウキギ、箒草

2022-10-25 06:00:05 | みんなの花図鑑

岡崎平野の水田地帯は、かつての矢作川の氾濫原です。




氾濫原には砂州があり周囲より一段高くなっています。



そういうところは畑として利用されます。




土壌も砂がちの粒度分布なのです。



そんな畑の一か所にこのコキアたちは植えられています。




ホウキギの名は 乾燥させて庭箒として使ったから。



ホウキグサとも呼ばれ、秋田のほうでは緑のままのホウキグサの実を乾燥させ ゆでて皮をむいて・・・




手間暇かけて作ったのが 畑のキャビアとよばれる「とんぶり」です。




かつてはコキア属(Kochia)に分類されていたので、コキアと呼ばれていますが、今は 学名 Bassia scoparia とバッシア属になっています。
観賞用に栽培されるのは、主に変種のトリコフィラ(Bassia scoparia var. trichophylla)です。


ホウキギ(コキア) - 愛知県・リトルワールド


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ヒイラギ、ヒイラギモクセイ - モクセイ科2

2022-10-24 06:00:09 | みんなの花図鑑
ヒイラギ

前回のキンモクセイやギンモクセイが中国原産なのに対して、ヒイラギは日本の福島県以西から台湾までが分布域です。
ヒイラギの開花はキンモクセイより遅く、このヒイラギは 一昨年の11月下旬に撮ったものです。




といっても、株によっては このように開花しています。




典型的なヒイラギ葉です。
ヒイラギの名はこのトゲに触れると「ひりひり痛む」ことの古語「ひひらく(疼く)」に由来しています。
モクセイ科の中ではもっとも棘が荒く大きいですね。




一昨年の花。



今年の花。
ヒイラギはこれまで出てきたモクセイ科同様、雌雄異株です。
この株は雄株で、雄花は2本のおしべが目立ち、長い花糸が突出し、葯が目立ち、めしべは頭が出る程度。




ふたたび一昨年の花。
この株は前のと違って おしべも大きいけれど、めしべもしっかり伸びています。ひょっとすると雌株の両性花かもしれません。






ヒイラギモクセイ

そして最後に ヒイラギモクセイ。
ヒイラギモクセイは 昨日のギンモクセイと 直前のヒイラギを掛け合わせ手出来たものと考えられています。
花期はキンモクセイよりやや遅いので、これは11月上旬安城デンパークで撮ったものです。




これは 今年のヒイラギモクセイで、まだ蕾の状態です。
もっとも Wikipedia には「花期は10月。」とありますが。




葉は ギンモクセイとヒイラギの中間的な(少し鋭い棘がある)状態です。




もっとも、上のように、ひとつの株で鋸歯が目立つはとそうでもない葉があります。




ギンモクセイもヒイラギも雌雄異株なので、その子のヒイラギモクセイも雌雄異株です。




「雄花は2本のおしべが目立ち、長い花糸が突出し、葯が目立ち、めしべは頭が出る程度。」(植物雑学事典「ヒイラギモクセイ」)








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キンモクセイ、ギンモクセイ - モクセイ科1

2022-10-23 06:00:04 | みんなの花図鑑
モクセイ科の花を2回。


キンモクセイ

キンモクセイは雌雄異株で、これは雄株の雄花。




キンモクセイは中国原産で、日本には花付きが良く香りの強い雄株のみが輸入されたので、日本でキンモクセイの雌花や果実を見ることは無いとされてきました・・・



では、キンモクセイの雌株や果実は中国へ行けばみられるのでしょうか?
実は それがあやふやなのです(´・ω・)




MengSang「金木犀の品種と分類」には次のようにあります
「ほとんどのキンモクセイ品種は、ハウスの劣化により結実できません。ただし、完全に発達した花器のために実を結ぶことができるいくつかの栽培品種、特に野生のものもあります。」



反対に、キンモクセイの雌花はこれだろう、という画像を掲載しているブログ もあります。それを見ると、たしかに、雌花があればこんなものでしょうと信用したくなります。





ギンモクセイ

ギンモクセイはキンモクセイの強烈な香りに比べると香りは弱いです。




そして花もいささかうらぶれています(´v_v`)





ギンモクセイの葉
庭木図鑑 植木ペディア > ギンモクセイ【ギンモクセイとは】には、こうあります。
「中国を原産地とするモクセイ科モクセイ属の常緑樹。秋に芳香のあるオレンジ色の花を咲かせるキンモクセイ(金木犀)の方が有名であるが、基本種はこちらであり、キンモクセイはギンモクセイの変種にあたる。」




つづいてこんな記述まであります
「ギンモクセイが日本に渡来したのは江戸時代で、以来、各地の庭に植えられるが、庭木としてはキンモクセイの方が一般的である。しかし、造園業界等において単に「モクセイ」という場合、キンモクセイではなく本種を示すことが多い。」




ギンモクセイも、日本には中国から雄株しか入ってきていないため、実のなる木はないと言われていましたが、薬用植物園ほか各地でギンモクセイの雌株やそこに生った果実がブログ掲載・報告されています。






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ツリバナ、マユミ - ニシキギ科

2022-10-22 06:00:10 | みんなの花図鑑
ツリバナ

ツリバナの実も豊作年と不作年とあるんでしょうか?



毎年カメラに収めてる個人宅のツリバナですが、今年はすごい実の量です。




ツリバナと後に出て来るマユミはともにニシキギ科で、実が可愛いんですけど・・・




ツリバナは果皮が5つに割れ、マユミは4つに割れるところが違います。




今朝は寒かった!
おかげで秋晴れの空が拝めます。


















マユミ

こちらも実の量がすごいのですが、まだ爆ぜてなく、果皮の色も褪せています。



しかも、よく見るアブラムシがいっぱい。
【訂正】nokoさんからコメントいただきました
アブラムシではなく キバラヘリカメムシの成虫になる前の成長期のカメムシで、
「カメムシ(半翅)目 カメムシ亜目 ヘリカメムシ科」ということでした。
マユミの果肉に口吻を刺して、栄養を摂るのだそうです。
他でも見ましたが、この時期群れて過ごすことが多いんですね




あまり気持ちよくないんで、もうこの辺で終わりましょう(ToT)


マユミの実が爆ぜるのは、も少し後になってからのようです。
といっても、あまり遅くなると・・・



このマユミはある年の12月に撮ったものです。



中の紅い種子がほとんど落ちちゃっています。











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