へこみ

2013年07月22日 02時36分16秒 | マーロックの雑記

                                                    ゥゥゥゥゥ   ・・・・・・

                                サヮヮヮ  ・・・

木の葉と草が、ゆれてる・・・

プロムナードの上、8階デッキには公園がある。

広い通りには、左右に湾曲しながら続く道がある。

その周りには木と草が生えてる。

中央部分には船の底をひっくり返したような透明な屋根があって、下のプロムナードに太陽光を届ける。

細かなくぼみのあるリフレクターも使って、光が広がるように作られている。

公園の上には屋根はなく、夜空が見える。

                            ヮィヮィ   ・・・  ♪

                                            ガャガャ  ♪

左と右には、レストランやカフェがある。

その上は客室で、今はクルーが住んでいる。

ポツポツ部屋の灯りも見える。

公園の後部にある透明な屋根は、下から小舟の形をしたバーが上がってくる。

中でくつろげる屋根もあり、前部にある屋根は形が少し違って、左右に屋根を広げたような形。

屋根が透明なのは光がよく通るようにするためだろうけど、周りの木の葉が少し上を覆っているし、蔓が張り付いている部分もある。

            トコ  ・・・

湾曲した道の一部が楕円を半分にしたようにへこんでいて、そこに背もたれのない木のベンチがある。

近くに街灯があり、その上に転がっているニャッティラを照らしている。

「・・・」

近寄ると、頭を少し持ち上げてこっち見た。

寝ていたわけではない様。

いつもゆっくり揺れているシッポは、動きを止めている。

                              スル

私が横に座ると、スペースを開けるようにシッポが動いた。

                                          グィ

私は思わず、ニャッティラのシッポをにぎる。

       ・・・

                                               ヒュゥゥゥ  ・・・・

原子と原子が結合して分子を作るとき、2つの電子を原子同士が共有する共有結合をつくる。

この2つの電子を電子対と呼び、その電子は原子と原子の間をさまよって、電気的な引力で原子核同士をつなぐのりの役割をする――共有された電子対そのものが結合。

共有結合は原子の外側の電子の配置によって作れる数が決まる――なので、いくらでも共有結合を作る事が出来るわけではない。

ふつう、水素は1つ、炭素は4つ、窒素は3つ、酸素は2つ、塩素は1つの結合をつくる。

共有結合はとても強い結合で、電子対を2つ共有すると二重結合、3つ共有すると三重結合をつくる――稀な例外で、4重結合もある。

化合物はすべてがこうした分子でできている訳ではなく、イオン性のものもある。

これは反対の電荷をもつイオン同士の静電気的な引力による結合で、イオン結合と呼ぶ。

ある原子が電子を失えば正に帯電するので陽イオン…カチオンと呼び、反対に原子が電子を取り込むと負に帯電するので陰イオン…アニオンと呼ぶ――電子は負の電荷をもっていて、原子核は正の電荷をもっている。

イオン性の固体は、私たちのすんでいる場所を構成する岩や山などで、骨もそう。

分子性の固体は、ある分子が1種だけでうまく詰まったものが多い――詰まり方によっても、様々な性質の固体がある。

氷や砂糖などがそうで、こうした分子性固体は硬くもろいことが多い。

やわらかい場合、それは良く似た違う種類の分子の混合物であることが多い――バターなど。

固体が硬いのは分子間の相互作用が強いためで、これは水素結合と言う特殊な結合による。

水素結合はとても重要で、さまざまな性質のもとになる――窒素や酸素やフッ素など、電子を強く引きつけることができる原子に水素が挟まれるとできる。

例えば酸素に水素が結合すると、酸素が電子を強く引き付けるので、水素の原子核はほとんど露出するので正電荷をもつ。

それでほかの電子、例えば別の分子の酸素にある電子に、強く引かれる――なので、水素結合はとても弱いイオン結合だといえる。

結合に関与していない1対の電子は、孤立電子対とか非結合電子対呼ぶ――分子の表面に、電子が2つ集まっていると考えれる。

孤立電子対を持つ分子は、その電子を共有できる他の原子と結合を作る事が出来るし、別の分子と結合していたある原子を押しのけて、そこに結合を作ったりする。

水の分子は孤立電子対が2つある。

水はとても身近な分子だけど、常温常圧では、ふつうこんな小さな分子は気体である――水は、ひとつの酸素原子に水素原子が2つ結合してでできている。

なのに水は室温で液体であるのは、酸素の電子吸引力が強く、また水の分子が孤立電子対をもっていることが合わさっているから。

つまり水素結合で互いに引っ付いてしまうので、別々に飛び去らずに、液体として集団で移動する――一つの水分子はほかの4分子と繋がり、その4つがそれぞれ同様につながっていく。

水が多くのものを溶かすのも、こうした性質のため。

共有結合は、極性結合と無極性結合に分類される。

極性結合は、結合したことで電荷に偏りができることで生じる――無極性結合は、電荷の配置に変化はなく、原子は中性のまま。

極性結合をつくる目安として、原子の電気陰性度がある。

これは、イオン化エネルギーと電子親和力の平均に比例する――イオン化エネルギーは、現在持っている電子の失いにくさを表し、電子親和力は他の電子の付加しやすさの目安である。

他の定義の仕方もあるけど、イオン化エネルギーが大きく電子親和力が大きければ、電気陰性度が大きい。

ある原子に、それよりも電気陰性度の大きな原子が結合すると、電子を引き付けて獲得する傾向があり、極性結合の負の側になりやすい――フッ素、酸素、窒素は、電気陰性度が大きい。

O-H結合の場合、電気陰性度が酸素の方が大きいため、水素から電子が酸素の方へ移動する――水分子の極性は、このため生じる。

C-H結合でも、水素よりも炭素の方が電気陰性度が少し大きいので、わずかに電子が炭素の方に移動する――その差はO-Hの結合よりも小さい。

結合に極性がある場合、純粋な共有結合ではなく、わずかにイオン性が加味されていることになる。

イオン結合の場合、ひとつの電子が、ある原子から他方の原子に完全に移動するので、極性共有結合の極端な場合だといえる。

                             ザヮヮヮヮ   ・・・・・

                                                    ・・・   ♪

たちの生活を便利にしてくれた合成物質は、小さな分子がたくさん結合して出来ている。

そのもとになる分子を単量体…モノマーと呼び、それが鎖や網の様な構造に繋がった分子を高分子とか重合体…ポリマーと呼ぶ――モノマーは「一部分」、ポリマーは「多くの部分」という意味の言葉に由来する。

2種類以上のモノマーが高分子を作る場合、共重合体…コーポリマーと呼ぶ。

メタン…CH4は炭素の周りに水素が4つ結合した分子で、水素が一つ外れたメタンが2つ結合するとエタン…C2H6になる。

エタンの2つの炭素から水素を一つずつ取り除き、炭素同士が二重結合で結ばれると、エチレン…C2H4になる――正式にはエテン。

植物が熟すときエチレンが発生するので、果物などを未成熟のまま運んで、目的地でエチレンガスにさらすことで熟成させることができる。

二重結合の部分は壊れやすいので、そこに水素が付けばエタンになる。

なので天然ガスにはあまりエチレンは含まれておらず、大きな炭化水素の分子をクラッキングと言う方法で分解して得ることができる。

エチレンに水素以外の分子が結合することで、様々な化合物ができる。

二重結合が切れて、そこにエチレン自身が結合していくと、ポリエチレン…(CH2CH2)n ができる――エチレンの長い鎖。

これは炭化水素の長い鎖で、多くの枝分かれを持っているものなど、様々な分子が含まれる――主鎖が攻撃されたために枝分かれがあり、こうした分子は絡まっている。

ポリエチレンは、鎖状の分子がきれいに並んだ結晶域と、そうでない非結晶域でできており、結晶域が互いにでたらめな方向を向いている。

このためここを通過する光は、でたらめに散乱されて白みを帯びるので、ポリエチレンは半透明――牛乳や、二酸化チタンが含まれた塗料が白いのもこのため。

ポリエチレンのフィルムは包装に使われる。

電気的な絶縁性が高く、炭化水素でできているので耐水性も高い――油脂などの炭化水素様の分子はゆっくりと溶ける。

電荷が正や負に偏った部分が無く、分子全体が中性なので交流電場でも分子が振動せず、高周波の交流を伝えるケーブルの絶縁体に使われる。

エチレンの水素が1つ、塩素…Clで置き換わると塩化ビニル…C2H3Clになる。

―――塩素は常温では気体で、第一次世界大戦では毒ガスとして使われた――経験はないけど、少量吸っただけで相当な苦しみの様。

ただ極低濃度では、最も安く効果的で、害の少ない殺菌剤である――飲料水の殺菌や排水の処理に使われ、環境への影響もない。

塩素が殺した人よりも、それいよって救われた人の方がずっと多い―――

塩化ビニルは、発がん性の気体。

エチレンから製造され、これを重合させるとポリ塩化ビニル…(CHClCH2)n …PVCになる。

PVCは多くの用途に使われるプラスチックで、添加物を混ぜることで様々な性質に変えることができる――炭化水素を食べる最近もいるので、殺菌剤が混ぜられることもある。

塩素原子が含まれるため、この分子はうまく詰まる事が出来ないのであまり硬くはならない――塩素は、炭素や水素に比べて大きい。

大きな有機分子が含まれると、曲げられた時にPVC分子が互いに滑るようになって、しなやかなプラスチックになる。

この有機分子…多くの炭素を含むエステルなどは、PVCの鎖と化学的な結合はしていない。

そのため時間がたつとそれらが表面に移動するので、硬く壊れやすくなる――添加物によってうまく保護されれば、劣化しにくい化学的に強いPVCになる。

                                                 ――  ザァァ      ン

ペットボトルや服の繊維に使われるポリエステルは、長い高分子。

これを作る方法のひとつは、酸とアルコールを結合させてエステルを作る。

そのエステル分子の端っこを、次々つなげてくりかえしの構造を作る――このくりかえし単位がずっと長く伸びたものが、ポリエステル。

―――酸と、アルコールかフェノールが結合したものをエステルと呼ぶ――油脂など。

アルコールは一般にヒドロキシル基…-OH基を含む有機物の総称で、私たちが普通アルコールと呼んでいるのはエタノール…C2H6Oで、消毒に使うしお酒にも含まれている。

フェノールはベンゼン環に直接-OH基がついたもので、身近なものではバニラ油の主成分であるバニリン…C8H8O3など――バニリンは広く使われている香味料で、天然に得られる量では足りないので合成されている。

ベンゼン…C6H6は、炭素と水素が六角形に配置した分子で、攻撃に対する抵抗力がとても高く、大きな分子の中で礎石の役割をする――ベンゼンに他の基がついて様々な分子を形成する。

有機物の酸は、ほとんどがカルボキシル基…-COOH基を持っているカルボン酸で、カルボキシル基は、炭素に-OH基と二重結合した酸素がついたもの――カルボキシル基は、正式にはカルボキシ基と呼ぶよう推奨されている。

カルボン酸とアルコールを触媒と一緒に加熱すると、カルボキシル基と-OH基が結合してエステルになる。

これは、カルボキシル基からOHがとれ、-OH基からHがとれて、カルボキシル基の炭素と-OH基の酸素が結合する反応――エステル結合という。

この過程でOHとHが余るので、水…H2Oができる―――

繊維や容器に使われるのは、主にポリエチレンテレフタレート…(O2CC6H4CO2C2H4)n というポリエステル。

これのアルコール部分はエチレングリコール…C2H6O2という分子で、両側に-OH基があり、そのため両端で水素結合がつくれる――エタノールは、分子の片側だけに-OH基がある。

-OH基が2つあるので、粘度が高くて揮発性が低い――エタノールと同じで、水と完全に混じって水素結合をつくる。

毒性の予測は難しく、50mlほど飲めば死んでしまう様。

自動車のエンジンの不凍液にも使われる――水と結合することで水同士が結合するのを妨げるため、この混合物は通常よりもずっと低い温度にならないと結晶化せず、揮発性が低いので、冷却液が熱くなっても蒸発しない。

カルボン酸の部分は、テレフタル酸…C8H6O4という、結晶性の白い固体。

この分子は、ベンゼンにカルボキシル基が2つ付いている。

ベンゼンは液体だけど、カルボキシル基は水素結合をつくる事が出来るので、周りの分子と結合して固体になっている。

エチレングリコールとテレフタル酸は、どちらもその分子の両端に-OH基とカルボキシル基を持っている。

このためこの2つの分子がエステルを作っても、できた分子の両端にはそれぞれ-OH基とカルボキシル基があり、別のカルボン酸と反応できるアルコールであるし、別のアルコールと反応できる酸である。

その両端がエステル結合しても、できた分子の両端には、-OH基とカルボキシル基がある――それで、次々つながって鎖を作る。

反応物が全部なくなるか、鎖の端っこ同士が結合するか、鎖の端っこにエステル結合を1つしか作れない不純物が結びつくまで、この過程は続くことになる。

この液体を専用のノズルから押し出せば、もとの分子よりもずっとながい繊維になる。

ポリエチレンテレフタレートの分子は規則正しく並び、ベンゼン環が交互に並んでいるので、単純な炭素鎖よりも硬く、融点が高い――このため、この繊維でつくる布はしわができにくい。

他の種類のポリエステルは、別のカルボン酸とアルコールを重合させて作る。

エチレングリコールの代わりにグリセリン…C3H8O3を使ったり、少し混ぜたりすると、鎖と鎖の間に橋ができる。

グリセリンは-OH基を3つ持っているためで、枝分かれができるので、繊維ではなくシートができる。

こうした高分子をアルキド樹脂と呼び、水の中ではエマルションになっているのでペンキなどに用いられる――ある液体が別の液体の中で小さな粒子となって分散したものをエマルションと呼び、牛乳もそう。

                                       ―― ♪  

人が最初に作った合成繊維はナイロン。

ナイロンはポリアミドのひとつで、ポリエステルと似ている。

ポリエステルは-OH基とカルボキシル基の反応だったけど、ポリアミドはアミノ基…-NH2基とカルボキシル基が結合してできる――アミド結合という。

アミノ基には-OH基よりも水素が1つ余分にあるので、結合した後でも水素が1つ残る――このため水素結合をつくる事が出来るので、ナイロンとポリエステルの差を生む。

―――アミノ酸はアミノ基とカルボキシル基の両方を持っていて、アミノ酸同士がアミド結合した場合ペプチド結合と呼び、このようにしてできた高分子をポリペプチドと言う――これが折りたたまれたものがタンパク質

天然のナイロンということで、ただ、アミド結合どうしの間に炭素がひとつしかない――ナイロンの場合、6個くらいある―――

アジピン酸…C6H10O4はカルボキシル基を2つ持つジカルボン酸で、白い結晶性の固体。

エチレングリコールの様な二価のアルコール…-OH基を2つ持っているアルコールとの間でエステル化すると、ポリエステルになる。

2つのカルボン酸の間には炭化水素の鎖があるけど、カルボキシル基が水素結合を作って水に溶け込むので、わずかに水溶性――食品添加物として使われた場合、酸っぱい味付けに使われる。

ヘキサメチレンジアミン…C6H16O2は、炭化水素の鎖の両端にアミノ基が付いた分子。

アミノ基から水素が1つ、カルボキシル基からOHが外れて、炭素と窒素が結合するとアミドができる。

ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸は、それぞれ両端にカルボキシル基とアミノ基を持っているので、これらが反応してアミドになっても、その分子の両端にはそれぞれカルボキシル基とアミノ基がある。

なのでポリエステルのように、反応を続けてポリヘキサメチレンアジピン酸アミド…[CO(CH2)4CONH(CH2)6NH]n になる――ポリアミドで、ナイロン。

アジピン酸もヘキサメチレンジアミンも、炭素を6個持っている。

これが結合したナイロンを、ナイロン-6,6と呼ぶ。

この繊維は、分子が平行に向いて鎖同士が水素結合をつくる――アミノ基には、水素が余分にあるので。

このせいで繊維はとても強くなり、水素結合がゴムの硫黄の様な働きをすることで、弾力性も持つ――力が加わって繊維が動いても、その力がなくなれば、水素結合が繊維をもとの位置まで戻す。

ナイロン製のストッキングが脚の動きについてくるのはこのせいで、ポリエステルではたるむだけ。

ナイロン-6,6は強く、耐摩耗性があり、耐水性もかなりある――ただ、アミド基が水素結合を作れるので、包装に使われるポリエチレン…炭化水素だけでできた高分子ほどの耐水性はない。

酸素や窒素の電子吸引力が強いので、表面を摺ると電荷をもつ。

アジピン酸の代わりにテレフタル酸…C8H6O4のようにベンゼンを持つ分子でポリアミドを作ると、アラミドと呼ばれる。

アラミドの鎖は、アミド基の水素結合の他にベンゼン環同士の相互作用があり、密度が上がって結晶性が高まる――非常に強い素材で、タイヤや防弾服に使われる。

ベルクロやマジックテープと呼ばれるナイロン製の生地は、ジッパーの代わりに使われるもので、ナイロンのフックとループで引っ掛ける。

                   ♪♪  ・・・

                                  ――   ♪

高い弾性を持つ高分子を、エラストマーと呼ぶ。

ゴムはその代表で、イソプレン…C5H8という分子が重合してできる。

天然ゴムは、ゴムの木のラテックス…樹液から作る――工業用原料は主にパラゴムの木で、それ以外にも存在する。

ゴムを熱するとイソプレンのにおいがするので、それが構成単位であることが知られた。

―――イソプレンは、私たちも発散している。

ほとんどの動物は、皮膚などから様々な分子を出している。

人の場合、300種類くらいの化合物が検出されている。

その中でも多いのがイソプレンで、この分子がビタミンAの構成単位であるため――ビタミンAの端のOH基がアルデヒド基に置き換わったものがレチナール。

ちなみに、おならは1日に約0.5lくらい排出する必要があり、その半分くらいは、食事とともに飲み込んだ窒素。

残りのほとんどは二酸化炭素で、主に大腸菌による有機物の代謝によって発生する。

窒素も二酸化炭素も、においはしない。

タンパク質のアミノ酸を細菌が分解する過程で、アンモニアや硫化水素がわずかにでき、これがおならのにおい―――

イソプレンが繰り返し連なってできた鎖が、ポリイソプレン…[CH2-C(CH3)=CHCH2]n――それぞれの単位に、二重結合がある。

天然ゴムのポリイソプレンは、酵素の働きによってシス配置の結合だけでできている。

最初そのことに気づかず、合成ゴムにはシスとトランスがでたらめに混じっていて、ねばねばして失敗していた。

今は、アルミニウムとチタンを含む化合物を触媒にすることで、ほぼシス結合でできたポリイソプレンが作れるようになっている。

逆に、すべてトランス結合でできたポリイソプレンはグタぺルカと呼ばれ、ゴムよりも硬く耐水性に優れている――ゴルフボールの表面に使われている。

                                                      ゥゥゥゥ  ・・・・

              ――  ♪     ♪ ♪

ポリイソプレンは長い鎖なので、分子同士が互いに絡まっている。

ゴムを伸ばすと、それが伸びる。

分子同士が互いにすり抜けない限り、力を緩めれば、再び絡まる。

だけど、伸ばした時に分子が互いに滑るので、厳密に元の形には戻らない。

そして寒いと硬くなり、暖かいとねばねばになる。

こうした問題は、チャールズ・グッドイヤーが174年前に発見した加硫法で解決された――貧困の中での発見で、息子は靴のグッドイヤー・ウェルト製法の発明者。

天然ゴムを硫黄…Sと一緒に加熱すると、ポリイソプレンの二重結合を硫黄が攻撃し、隣の分子との間に-S-S-の橋ができる。

この橋によって、全体として網のようになる。

それで、隣の分子同士はそれほど遠くに離れることができなくなる。

それでも力が加われば、可能な範囲で鎖がほどけるので、弾力性があり、元の形に戻るゴムができた――髪の弾力も、同じ理由。

加硫を強めると、硫黄の橋が増えて、硬いゴムになる――爪などが、同じ理由で硬い。

                      ヮィヮィ   ・・・  ♪

化学者はゴムの組成をいろいろ変えて、多様なエラストマーを作り出した。

イソプレンとイソブチレン…C4H8の共重合体は、ブチルゴム。

イソブチレンは二重結合が一つしかないので、重合の際に失われる――イソプレンは二重結合が2つあるので、重合しても二重結合が一つ残る。

なので天然ゴムに比べると、二重結合の数が少なくなっている。

それでも加硫は可能で、二重結合が少ないので酸素の攻撃に強く、耐候性が高い。

また、分子の密度が高いので気体を通しにくく、タイヤのチューブなどに使われる。

イソプレンの-CH3基を塩素原子で置き換えたものはクロロブタジエンで、これを重合させるとクロロプレンゴムができる。

このゴムは、加熱するだけで加硫と同じ効果が得られる――分子の炭素同士が直接結合するので、硫黄の橋がいらない。

耐候性も耐熱性も耐油性も優れているので、車の部品や防水などに使われるOリングなど、様々な用途に使われる。

スチレン…C8H8とブタジエン…C4H6の共重合体はスチレン-ブタジエン…SBRで、耐熱性や耐摩耗性が高い。

車のタイヤに使われているけど、加硫される前の原料は、チューインガムに使われる。

このほかにも、分子の種類と共重合の組み合わせを変えて、用途に合わせて膨大なエラストマーが作られている。

                                              サヮヮヮ   ・・・・

                ヮィヮィ  ♪    ・・・

しばらくジッとしていたニャッティラのシッポが、私の手からすり抜けた。

だけど、手のすぐそばで少し浮いたままなので、またつかむこともできる。

「ミャ~ゥ」

                 ゴロ  ・・・

転がった。

何か飲みたい。

近くのカフェに、パイナップルジュースはあるかな。

「・・・・」

なでてほしいのか、ニャッティラはこっち見てる。

私は、手のひらをお腹にのせる・・・

                 ・・・  ♪ 

                         ――    ♪ ♪

                                                   ゥゥゥゥゥ   ・・・・


コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。