手で

2017年04月12日 14時13分55秒 | マーロックの日記

                             ピピ ピ

                                                ァァァァァ  ・・・・・

               パチチ  ・・・

「木ばかりだね・・・」

「はい」

タブレットに、森が映ってる・・・

チーフさんは、小さいカメラの部品を使って監視カメラをつくった。

狩猟小屋からここまで、崖の下の森を通れば来れる。

だけど、崖の下までずっと見張っているのは大変だからカメラを使う。

「・・・鳥」

「うん」

崖の側にある木に、3Dプリンターでプリントした雨よけに入れた監視カメラを固定した。

太陽光発電で充電できる小型バッテリーを電源にして、撮る。

1日1回バッテリーを交換すればいいぐらい。

         グッ  グッ

「・・・・」

午後4時を過ぎて、まだ雨。

日没は遅いから、空はまだ明るい。

雨雲はそれほど厚くなくて、森の外は十分に明るい。

水くみをして、私たちは大タープのたき火にいる。

お昼にチキンステーキを食べたリフは、ラーメンが食べたいと言ってつくってる。

袋のがケースで買ってあったから、まだまだある。

なんでもよく食べる。

カフスさんのも、つくってあげている。

ラーメンは合衆国でも人気で、カフスさんの住んでいる町にはないから食べたいらしい。

つくり方は簡単だし、もうリフは自分でつくれる。

              グッ  グッ

縦長に掘った穴の中でたき火していて、その上に小鍋をかけてる。

その中で、私はレトルトカレーを温めている。

ご飯はトレーラーに行けばあるから、それで食べる。

コックさんは、みんなにおやつのドーナツをつくっている様。

私がホットケーキを焼いてあげたから、そのお礼かな。

                  ジジ  ・・・

トランシーバーが鳴った。

                              できました  ――

マリオットさんの声。

トレーラーの2階にあるパソコンで、マリオットさんとハンスさんが財宝日記の地図をつくっていた。

「ごくろうさま」

                ジジ  ・・・

中継器もあるし、大タープと十字タープの辺りは通信できる。

タブレットですぐ見れる。

「・・・ああ、よくできてますね」

カフスさんも見てる。

3枚を透かして地図になると言っても、文字と空白でつくるものなのでそれなりにしか見えない。

小屋で拾ってきた古地図を参考に、マリオットさんが地図を描いた。

古地図も写真で撮ってあって、比較できる。

日記の著者も、私たちが拾った古地図とほぼ同じものを参考にしたのかもしれない。

よく似てる。

後ろの3枚でできる地図も、マリオットさんが描いてる。

「・・・こっちは、やっぱり詳細な方なんだろうね」

「はい」

拾った古地図は開拓時代の西部のもので、鉱山の位置などが描かれてる。

前の3枚でつくる地図が、この古地図に似てる。

そこで位置を示した場所の詳細な地図が、後ろの3枚でできた地図だろう。

「心当たりはないですか?」

「・・・わからないですね」

詳細の地図は、参考にする地図はないからマリオットさんが透かして撮った写真をもとに描いたもの。

解釈を間違えている部分もあるかもしれない。

マリオットさんとハンスさんの描いた地図をリフにあまり見せずに、後で別に描かせてみよう。

リフも同じようなのを描くかもしれないし、すこし違うのを描くかもしれない。

西部の地図で該当する辺りに行けば、気付くこともあるかもしれない。

「・・・・」

ここから動けないけど。

        グッ  グッ

「・・・できましたよ」

「え」

地図を見ていたカフスさんが、クッカーの方を見た。

リフは、最初にできたラーメンをカフスさんにあげる様。

        

私は立ち上がる。

トレーラーに行って、ご飯をもらう。

「・・・」

黒猫がこっち見てる。

近くにある、大倒木の先端部分のいくつもに分かれた枝の上。

                 チュン

                            ピピ

ボートの中は、森の小鳥たちが結構いる。

だからその横で、子クマが寝てる。

たき火からそう離れてないし、暖かいのかもしれない。

                  

監視カメラは、森が見えるだけでこっそり接近されれば気付くのは難しい。

ただ、誰かが直接監視していてもそれは同じ。

夜に水上バギーで川を下ってくれば、明かりが分かるかもしれない。

        

レトリバーがいる。

背中を向けてる・・・・

                       パチチ

                                              ァァァァァ  ・・・・・

                               チチチ