赤峰和彦の 『 日本と国際社会の真相 』

すでに生起して戻ることのできない変化、重大な影響力をもつ変化でありながら一般には認識されていない変化について分析します。

日経平均4万相場をどうみるか

2024-03-20 00:00:00 | 政治見解




日経平均4万相場をどうみるか :240320情報


昨日に引き続き、国際経済学者の分析です。


3月4日に日経平均の終値が4万109円23銭ということだったのですが、3月5日も4万円台に乗って終わっています。誠におめでたい限りですが「しかし…」と書かせていただきます。これはウォーレン・バフェットも今のアメリカの株式市場は上がりすぎだから、危険だと言っています。

私も日本の株式市場についても同じように感じているところです。新NISAが始まって、新しく投資の世界に入ってきた人も多いと思います。特に株式投資です。その人たちにとって今株が上がっているのはいいことではないかと思われるかもしれないけど、私は大変悪いことだと思います。

証券会社や株を売る側にとってはいいことでしょう。しかし、初心者で十分な心構えのない人たちや経験のない人たちが、この株式市場の熱狂に巻き込まれてしまうと正確かつ冷静な判断ができません。この株価が熱狂していると初心者にとっては非常に危ない状況です。冷静に投資を考えることができなくなってしまう人が多いと思います。

今はタイミングが悪いのです。本当は株式市場が下がっているくらいのときにじっくり入っていった方が、初心者としては一番いいと言えます。長期投資に対する心構えがしっかりできない状況になってしまうということで、現況の株高は新しく株式投資市場に入ってきた人たちにとって、私は大変悪いことだと思うのです。

これについて詳しくお話をしたいと思いますが、バフェットもアメリカ株高に警鐘を鳴らしていました。彼のような賢人の言う言葉を聞いてみるべきだと思います。

バフェットが2月24日にバークシャーハサウェイという彼の会社の「株主への手紙」を公開しました。この中で市場が著しくカジノ化しているから危ないということを言っているのです。

バフェットの言葉だと「アメリカは投資家にとって素晴らしい国である。アメリカの株式市場に対する絶大な信頼を持っている。しかし、私が若い頃とは比べ物にならないほど市場はカジノ的な振る舞いを見せる。カジノは多くの家庭に浸透し、人々を日々誘惑している」と言っています。バークシャーの株主には長期投資をしてほしいという考えですから、今、話題の株の購入に資金を充てる人々はバークシャーの株主像としては当てはまらないとも言っていました。

今は昨今の人工知能、半導体ブームに乗っかってNVIDIAなどの株がどんどん上がっているので、このブームは健全ではないとご判断されているのでしょう。さらにバフェットが「有意な変化をもたらし得る」とも言っており、これから大きく儲かりそうな投資先の企業はアメリカにはごくわずかしか残っていなくて株価が上がりすぎているということです。

また、バフェットはアメリカ以外の投資機会はさらに少なくて、バークシャーが目を見張るような投資収益を上げられる可能性はないとも言っていました。実際に2023年通期の株式売買動向では、バークシャーハサウェイは241億ドル(3兆6200億円)の売り越しだったのです。

今、投資の待機資金(キャッシュで持っている金)が最高に増えています。2022年は342億ドルの買い越しだったそうで、今後チャンスがあったときに買うために今の株高には乗って買い占めていないということです。

今、バークシャーは過去最高水準にキャッシュを積み上げており、23年末時点で手元資金が1676億4100万ドル(約25兆円)のキャッシュを持っています。意地の悪い言い方をすると、何か危機が起きて株価が大きく下がったときが買い時だということです。

危機の再来があれば、バークシャーは巨額の資金で市場の混乱に対して、即座に対応する能力を持つとも言われています。これはリーマン・ショックのときもそうだったのですが、大きく下がったときにそこで買って、値上がりを長期的に享受するというのがバフェットのやり方です。


さて、日本の株の上がり方で不安だと思ったのは、3月4日のプライム市場(昔の東証一部)で7割の株が実は下がっていたことになります。7割の銘柄が下がっていて、上がったのは3割だけど史上最高値を更新して4万円台に乗せたのです。史上最高値を日経平均が超えて4万円台に乗るのですから、常識的に言うと7割上がって3割下がって史上最高値更新だったら正直にめでたいなということになります。

しかし、そうではなく7割も下がって3割しか上がらなくて、特に半導体関連がどんどん株価を引っ張ったというだけです。だから、一部の銘柄だけに集中してそれが値上がりして平均株価が上がっているというのは、株式市場全体にとって健全なことではありません。

もちろん、基調は円安ですから日本の製造業が復活しつつあるので、その文脈はいいのです。でも、それだけだったら急に株は上がりません。アメリカでNVIDIAが上がりました。生成AIブームです。半導体がすごいということで、それにつられて日本の株価が上がっているということで、これは再度4万円を切る可能性も十分にあります。

アメリカでAIブームが来ていて、半導体ブームが来たに過ぎないのです。

AIで騒いでいたけど、意外と人工知能はビジネスに応用が効くものではないということになると、ブームが一気に落ちます。半導体はいろんなところで必要なものですから、それだけで全ての半導体メーカーが駄目だということではありません。そうすると、半導体メーカーも今までのようには上がってないし、NVIDIAの株も上がるところまで上がって、また少し下がったということになるでしょう。そうなったら日本の株価も今度は急落するという危険なところもあるのです。それに十分気をつけていった方がいいと思います。

どちらかというと、今、株を買うなら、私は大きな関心を寄せているAI半導体関連などではなく、エネルギー関係が良いのではないでしょうか。現在、これが忘れ去られています。石炭・石油・天然ガスなどのエネルギー関係の企業の株価が低迷しているのです。一時期は高かったのですけど、今はAIの方にお金が流れています。それから金関係の金鉱山などのほか、ヘルスケア関係なども良いでしょう。地味ですけど、今のブームでみんなが注目してない方向に着目すべきではないかと思います。

私の予測で今年の後半には、アメリカのFRBは金利を下げていきます。アメリカで金利が下がっていくと、アメリカの債券は上がるのです。特に注目すべきはアメリカの国債であると言えます。国債の値段が上がっていくので、今から仕込んでおいても良いチャンスではないでしょうか。

特に初心者の方には気をつけていただきたいと思うのです。初めに申し上げましたように、例えば、株価がどんどん上がっている新NISAで株式投資を始めました。良いチャンスだと思われる方が多いと思うのですけど、全くの逆です。これは新しく株式投資を始められる方には非常に悪いタイミングであります。

株価がどんどん上がっている時期というのは非常に悪いのです。熱狂の雰囲気に巻き込まれてしまうと、冷静に投資判断することができなくなります。いわゆる熱狂が熱狂を呼ぶ、買いが買いを呼ぶということになるのです。その心理ゲームに巻き込まれてしまって取り残されるのが怖くなり、昨日より今日の方が上がったから、今日も勝って明日も上がるだろうということを考えてしまいます。

今日の雰囲気だけでやっていると、急落したときに対応することができません。そして、痛い目に遭うということになってしまうのです。

だから、長期的にじっくり投資でお金を増やすような賢い戦略的な投資家になるためには、新NISAと同時に株価が急騰している時期は非常にタイミングが悪いのです。証券会社としては、投資信託でも株でも売りやすいからタイミングが良いと考えているでしょう。ところが、投資する側で特に新人からすると非常に危険なことです。その辺りはあくまでも冷静に考えていただきたいと思います。

私は日経平均が4万円を割り込むことも十分あり得ると思っている次第です。その後また徐々に上がっていって、円安の基調が崩れないで年末に日経平均が4万2000円になったと言ったら、これはみんなで万々歳でしょう。そういうことではないでしょうか。

実体経済についても必ずしもよくないのです。倒産企業も結構あります。大企業でしっかり儲けているところも多いですが、なかなか厳しい状況もあるのです。大阪の万博も大赤字でしょう。そういった意味では、株式市場の熱狂に浮かれていてはいけません。やはり、バフェットのような著名人が言うことは、よく聞いておいた方がいいと思います。

あるいは今、何もしなくてもじっくりとこの株式が上がっている状況をしっかり見て勉強しておくということも大事です。自分なりにシミュレーションしながら、今日この株を買ったらひと月後はどうなるだろうかということをじっくり勉強しながら長期投資をする心構えを養っていくことが大事だと思います。

毎日株価をチェックしているような人は長期投資家には向きません。一度株を買ったら2年〜3年じっくり見て寝かせていく考え方がないと、本当の賢い投資家にはなれないのです。

本当に売ったり買ったりするときは一瞬です。その他の時間で投資家は何をしているかと言うと、じっくりと待っているのです。この待つ時間のpatience(忍耐)というのが、賢い投資家を作ります。それはバフェットも言っていることです。やはり機を見るに敏ではなければいけないが、その機会は年中やってくるものではありません。今回は冷静に株価上昇急騰の部分に乗らないで、見ているだけでも十分に勉強になると思います。その点で皆さんには冷静に今回の株式上昇を見ておいていただきたいというところです。

株を買うなとは申しません。売ったり買ったりするのが好きな方、長期投資ではなく短期の投機が好きな方もいらっしゃいます。こういった方は仕方ないので、競馬や競輪をやるつもりでやっていれば良いでしょう。そういう投資の仕方を私はおすすめしたくないと思います。その辺りは十分にご注意ください。




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