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赤峰和彦の 『 日本と国際社会の真相 』

すでに生起して戻ることのできない変化、重大な影響力をもつ変化でありながら一般には認識されていない変化について分析します。

習近平国家主席の苦悩 コラム(73)

2015-11-12 00:00:00 | 政治見解



コラム(72):習近平国家主席の苦悩

(「要衝の地、台湾をめぐる中国と日米」のつづき)

米中、思惑のズレ

米海軍はイージス駆逐艦ラッセンを南シナ海の中国が造成している人工島の12カイリ(約22キロ)内に派遣し、3カ月に2回以上のペースで南シナ海での「航行の自由作戦(フリーダム・オブ・ナビゲーション)」を継続するとしています。この動きに対して、米中とも何もしないままにらみ合いが続くだろうとの楽観論が大勢を占めています。

しかし、米中それぞれの思惑を考えると、必ずしも楽観視はできない状況です。

まず、アメリカは本腰を入れはじめたと見るべきです。オバマ大統領は米中首脳会談時における中国の態度に激怒し、国内世論【※1】を背景に米海軍の南シナ海派遣を決定し、臨戦態勢を整えています。

【※1】来年の米大統領選挙に出馬表明している共和党の多数の候補者たちは対中強硬論に固まっている。また、国内世論を無視できなくなり、親米路線と見られていた民主党のヒラリー・クリントン氏も対中批判を強めている。

これに対し、習近平氏はアメリカは警告するだけで大統領が交替するまでは何も出来ないと踏んでいます。したがって、国際社会やASEAN諸国非難な祖は無視し、早急に埋め立てを完了して、既成事実化を図ろうと考えています。


習氏の憂鬱

歴代の国家主席の中で、習近平氏ほど国家運営に困難を極めている人物は見当たりません。

政権を支える基盤でもある軍部の掌握がままならず、政権の主軸に据えた腐敗追放のキャンペーンでも軍部の問題には手を緩めざるを得ません。その代わり軍の最高幹部は忠誠を装っているにすぎません。

また、習氏は共産党内に政敵が多く、最高指導部の中央政治局常務委員会には本人以外に習派はいないと言われています。さらに、習氏を指名した江沢民氏とは腐敗問題をめぐり激烈な闘争下にあります。その上、次の主席と目される胡春華氏が習氏の失脚を待っている状況で、習氏は任期を全うできるか疑問視する声もあります。

しかも、国内経済は様々な対策にもかかわらず低迷が続き、民族自治区での度重なる反乱で心休まる状態ではありません【※2】。

【※2】「抗日戦勝70周年式典」でオープン・カーに乗車した際の覇気のない姿に「暗殺を極度に恐れている」との噂が流れた。

そして、習氏にとっての決定的な失策は米中首脳会談です。習氏の発言はアメリカ国民の大きな反発を招き、同時に国内の軍部や共産党幹部からの批判の的となってしまいました。


いま習主席には極めて難しい舵取りが求められています。何億もの国民の命運と、世界への影響を深く考え、進路をとっていただきたいと思います。

(つづく)



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