気まぐれ日記☆着物の小部屋

2007年耳下腺癌の手術で顔が変わり、生活が一転。街歩きと着物と芝居のブログをどうぞ宜しく♪

病魔は波状攻撃でやって来る!!

2023-12-26 21:09:57 | 読書
 私のいう病魔は命に別状ない軽い病気、または老化の事です。

一つ一つは軽くても波状攻撃されると活動力、意欲が徐々にむしばまれていく怖い怖い病気です。

 12月に入り、まずはジンワリとしたひざ痛、そしてぎっくり腰、治ったと思ってボロ市に出かけたら
スッカリ風邪をひき発熱。久しぶりに風邪で医者にかかり、治ったと思って
楽しみにしていた舞台に行ったら今度は夜中に胃痛で吐き気。

 そういえば12月は高校の女子会など予定がギッシリ。無理がたたったか!!
後半、太極拳などはお休みしひたすら自宅療養。
このまま体が弱って、友達にも忘れられていくのかしら?・・・
これが老人性うつの始まりかしらと暗~い気持ちになっていたけれど
今年は大掃除やめた!!お正月料理も簡単に!!と腹をくくると
徐々に気持ちが回復してきた。

面白かった本
東野圭吾はよく読みます。一気読みして寝不足になるのがしまうのが難点。
ぼけの壁はボケの人の扱い方と、ぼけより怖い老人性鬱の話。
免許返納はボケへ一直線。できる範囲で運転した方が良いそうです。
私がボケたらこの本読んでねと、家族に伝言しておきたい!!

あら、ボケの本2回載せてしまったわ。まだぼけていないと思ってたのに💦

「銀座で逢った人」銀座百点に連載されていたインタビュー記事の著者、関容子さんの本。
女優男優、歌舞伎役者、小説家、落語家と言った各界著名人との深い交流を美しい文章で綴った珠玉の随筆。
一流の方達の深い見識に触れることが出来、背筋が伸びる気がする。




コメント (4)
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コロナワクチン接種1回目 ・ 最近読んだ本

2021-05-22 23:44:24 | 読書


庭の紫陽花。もうすぐです。今年は早い?
 
 
前回のブログで紹介したゆすら梅のジャム。 鮮やかな色でしょ。爽やかなジャムです。
 
後ろは梅ジャム。
 
 
ランチの精進揚げ。数日前に市場に行き、手に入れた新鮮な野菜が甘くておいしい。
 
ニンジン、新玉ねぎ、春菊、シイタケ、ナス、ゴボウなど。
 
ランチに変化をつけています.
 
 
 
 
 コロナワクチン一回目接種 
 
  昨日21日、個人病院で1回目の接種を受けた。
 
11時半予約だけど30分前に到着。順番は2番目。
 
整形外科なのでベットのあるブースで待機。
 
先生がカーテンを開けて覗き、ササッと問診を済ませ、次の患者のブースへ行く。
 
次に看護婦さんがやってきて、注射。 痛くもなく、あっけなく終了。実に合理的に接種が進む。
 
 
 やっとワクチンを受けられたという安堵感で少々興奮。
 
その足で美容院に行き、伸びきったのを我慢していた髪を切ってもらった。
 
 
 夕方から徐々に痛みとだるさが出てきて、昼寝をしても回復しない。
 
夜になると痛みで全く手が上がらなくなった。
 
夜中も時々痛みで目が覚めたが、今日は快調。
 
予想の範囲内での痛みでホッとしたが、2回目は大変らしい。
 
約4割が熱を出し、熱を出さなかった友人も、我慢できないほどの肩こりに悩まされたとか。
 
解熱剤を用意し、心して2回目の接種を受けようと思っています。
 
 
 
 さて、余談ですが、椅子が8台もある美容院に行ったら、誰も人がいない。
 
大衆的なお値段で、皆腕がいいのでいつも混んでいる。人がいないなんて初めて。
 
 
 美容院の方に「高齢者は人口の25パーセント、ワクチンが終われば皆安心して来ますよ」
 
なんて慰めを言ったけれど本当にそうかしら?
 
高齢者はステイホームが身に着いてしまってこれからも出かけようとしないのでは?
 
でも経済が停滞する中、ワクチン接種済の少し余裕ある、若めで丈夫な高齢者は
 
経済に貢献しないといけない気がした。
 
買うなり出かけるなり食事したりしてね。
 
高齢者の経済貢献はバカにできない。何せ人口の25パーセントですから。
 
世の中が落ち着いたら 私も真っ先に経済貢献する事に致しましょう。
 
年寄りは大人しくしていろと言われそうですが・・・(笑)
 
 
 最近読んだ本 
 
 
三谷幸喜の随筆とか軽めの本ばかり読んでいたので、ちゃんと読書をしたくなった。
 
 
☆「大名倒産」 浅田次郎
 
一級の大衆娯楽小説。時代劇なのに切った張ったがなく、安心して楽しめる。
 
主人公は丹羽山松平家の13代当主の松平和泉守。4男だが諸事情で家督を継いぐことになった21歳。
 
目につく才能は無いのだが、糞がつくほどの真面目人間。
 
幼馴染2人の家臣と共に、前当主の大いなる企みを暴いていくというストーリー。
 
この当主、実に頼りない。殿様になったばかりで腹心の家来もいない。
 
それに引き換え前当主には、疑問を持ちながらも心からの忠誠を誓う家来が沢山いる。
 
不利だ!!
 
あまりにも頼りないけれど真面目な当主に惹かれ次第に人が集まって来る。
 
中には貧乏神もいたりして・・・・。
 
登場人物が多いので巻頭には人物の索引がある。
 
面白い。この2冊3日で読んでしまった。
 
 
 
☆ 「錦」宮尾登美子
 
 宮尾登美子の小説はよくテレビドラマ化されているが、本を読んだことはなかった。
 
何だかドロドロとした印象で、重すぎると感じていた。
 
けれど図書館で手に取った本、装丁に惹かれ、織物の話という事に惹かれた。
 
読み始めてすぐに、これは京都西陣の染色研究家龍村平蔵をモデルにしていると気がついた。
 
宮尾登美子ファンなら当たり前の話だろうが予備知識のない私には青天の霹靂!!
 
龍村平蔵は正倉院の法隆寺に伝わる古代裂の復元に力を尽くした。
 
展覧会にも行ったことがある。
 
またこの龍村というメーカーの帯は着物好きにとっては憧れの帯。
 
私も昔立川のG店で手に入れたことがあるが、なかなか締める機会はない。
 
彼の一代記を読み、新しいものを作る喜びと苦労、また復元のための思いつく限りの努力、に思いを馳せた。
 
また天才の狂気の部分に翻弄される家族達の苦しみと誇り、色々な要素が重層的に絡み読みごたえがあった。
 
30年近い準備期間と2年にわたる中央公論への連載、宮尾登美子渾身の作と言われている。
 
 
☆「シャンハイムーン」井上ひさし
 
戯曲。年数回井上ひさしの芝居は見ていたが、これはまだ見たことが無い。
 
戯曲は最初読みにくいが、入り込んでしまえば、役者の具体的動きまで想像することが出来楽しい。
 
上海で弾圧を逃れた魯迅と妻が数名の日本人たちにかくまわれた時の話。
 
魯迅の心の葛藤があぶりだされる。
 
 
☆「かがみの孤城」辻村深月
 
 2018年の本屋大賞授賞作品。
 
サラサラと読める本で、いかにも若者向きの孤独と生き辛さ描いた本。
 
でもストーリーは凝っていて、楽しめる。
 
 
 
 
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靴下編んでみました♪ 最近読んだ本

2021-01-27 13:26:03 | 読書
 
 
実家からから持ってきた毛糸がうんざりするほど大量にあるので、靴下を作ってみた。
 
ウール100パーセントの靴下なんて洗濯が面倒で絶対に作る気なんて無かったのだけれど、
 
大量の毛糸と有り余る暇。それに写真が可愛い。履いてみたくなった。
 
毛糸を減らさなくちゃと頑張ってみたが、5日かかって毛糸が減ったのはほんのわずか。
 
殆どが中細の細い糸しかなく、編むのに時間がかかり、しかも茶色とかグレーとか地味な色ばかりある。
 
残りをどうしようかな。2本取りにしてセーターでも編もうかしら。
 
ちなみに布も沢山あり、一部は寄付したけれど、和の布以外は大量に袋を作る予定。
 
老い先短いかもしれないしね。
 
コロナ自粛期間、手先を動かし毛糸と布の在庫を減すつもりです。
 
 
 散歩 
 
1昨日は山の上のスーパーに買い物がてら散歩



冬枯れの木々



山の中腹にある古城跡。周囲は梅林。
 
この場所に来る人は少ない。
 
 
満開になったらまた来ましょう。ひっそりとしたたたずまいが気に入っている。
 
 
 最近読んだ本 
 
 
 明治11年に東北地方を旅したイザベラバードの「日本奥地紀行」を赤坂憲雄氏が解説した本。
 
イザベラバードを知ったのは15年以上前に日光金谷ホテルに泊まり、
 
金谷ホテルの前身にあたる建物がまだ残されている事のを知り、訪ねて行った時だった。
 
宿泊者だけの限定公開であり、予約すると見せてもらえる。
 
若い時はさぞ美しかったと思えるおばあさまが室内を案内して下さった。
 
その時に、明治時代、大英帝国の探検家、旅行家として有名なイザベラ・バードのがここに宿泊したのを知った。
 
明治時代に日光まで旅行に来る女性もいたのだという認識しかなかったが、
 
今回この本を読んで驚きの連続だった。
 
 
 
 赤坂氏の前書きに、イザベラバードが虚弱体質ゆえに、鍛える意味もあり世界各地へ旅する事となったと書いてあった。
 
サラッと書いてあったけれどこの部分もっと知りたい。
 
普通は虚弱体質を鍛えるならもっと穏やかな旅行を好むのでは?
 
人の行かない所を好んで行く理由は?
 
おそらく虚弱体質なのに世界各地への抑えがたい好奇心があったと思うが、
 
なぜ命を削るような旅を続けたのだろうか?
 
イザベラの世界を旅する動機を知るには疑問だらけではあるけれど、
 
この時代の女性として逞しい挑戦者であることは分かった。
 
 
 
 前書きでは、各地の人を描写するのに、偏見に満ちた部分が多いけれど、読者は気にするな!
 
褒めてあったら気分良く読もうなどと書いてあり最初はその意味が分からなかったが、
 
読み進むうちに合点がいった。
 
そしてイザベラがそれ以上に冷静にその時代の東北を見ている事実を評価すべきともあった。
 
 
 
 イザベラが東北に出かけたのは明治11年6月から9月、日光から会津、新潟、最終的に蝦夷まで到達。
 
日光までは外人が旅行する事もあったが、それより奥は今だ誰も行ったことがない。
 
初めて見る外人、それも女性に、人々はどんなに驚いただろうか。
 
明治11年と言えば、大政奉還からまだ11年、会津戦争の10年後という時代。
 
よくそんな時に女性一人が通訳の若者一人連れ旅してまわったと思う。
 
驚いたのは、この時代の東北の貧しさと困窮の度合い。
 
場所によっては不潔極まりなく、皮膚病、眼病の多さには驚くばかり。
 
彼女が一人の病気の子供に薬を与え治ると明くる日から数十人、多い時は1,000人の人々が宿舎を取り囲む。
 
農村では労働者は上半身裸、女性も働く時は上半身裸、これは敬虔なキリスト教徒のイザベラには
 
許しがたいことであり、無知な人種であるとも言っている。
 
 また日本人の外観に関しては、みじめな体格、へこんだ胸、がにまた、平べったい鼻、
 
よろよろ、よちよちした歩き方で、劣った民族と断定、言いたい放題である。
 
 
 
 反対に良い点として挙げているのは、人々は礼儀正しく、勤勉で優しくて、貧しくても、自立した生活をしている。
 
暑いからとうちわで1時間も扇いでくれた女性はお礼を渡そうとしても受け取らない。
 
そしてただの一度も乞食、浮浪者に出会わなかったと驚いている。
 
女性の一人旅であっても危険を感じる事はなく、これは驚くべき事であり、他の国でそんな場所は無かったそうだ。
 
 交通は宿場ごとに交通社があり、連携が取れていて旅するのに便利だったと書いている。
 
そして美しい地方に行くと心からの賛辞を送っている。
 
 
 
 面白かったのは、彼女が次の宿場の様子を役人や住民に聞いてもみな「知らない」というばかり。
 
無知で世の中に関心のない堕落した民族とも言っている。
 
しかし、赤坂氏の解説では、次の宿場の情報を知らぬはずはなく、会津戦争10年後という時代でもあり、
 
得体のしれない女性にむやみに情報を与える危険を考えたのだろうと言っている。
 
そして通訳の伊藤という人物が、イザベラに何の情報も与えなかったのは、
 
伊藤自体が政府の息のかかった人物だったのでは?などと書いている。。
 
 
 
 明治時代は、幕末からの動乱を経て、華々しい活気あふれる時代と思いがちで、
 
この時代の東北の様子、それも山村に暮らす人々の事はほとんど知らなかった。
 
まだ文明の恩恵を受けず、江戸時代から続く生活を送る人たちを、
 
日本人とは異質の視点で見たイザベラ・バード。図書館で偶然手に取った本が面白かった。
 
 
 
 
よくある色の解説本かと思った全く違った。
 
明治、大正、昭和、平成の時代を
 
絵画、建物、衣装、街、昭和からは現代美術、映画、家電、などから流行色を分析している。
 
太陽の塔、ガングロのコギャル、イサムノグチの陰影感、田中一光のポスターの色彩
 
あらゆるものを材料に流行色を分析する。
 
嬉しかったのはゴミ焼却場・大阪市環境局・舞洲工場が出てきたこと。
 
フンデルトワッサーという人の設計で、私はオーストリアのウィーンで、この人の建物巡りをしている。
 
この工場の色彩が本に取り上げられるなんて!
 
余り雑誌などにも出てこないが、いつかこのゴミ工場に行こうと思っている。
 
          
 
 
 
 
☆ そうそう、昨年私の一番好きなテレビ番組は「名建築で昼食を」という番組だった。
 
田口トモロウ、池田イライザの建築巡りの師匠と弟子のお話。
1月23日にそのスペシャル番組・横浜編があった。
 
関心ある方はティーバーで30日まで。お洒落で雰囲気のある番組です。
 
 
 
 
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最近の読書

2019-02-12 18:16:41 | 読書

 先月末、息子達が来た時、アップルパイのお土産を持ってきた。

 

日比谷ミッドタウンでいつも長い行列ができる店が、珍しく空いていたので買ったそうだ。

パイ皮がサックサクで、カスタードクリームの中身には林檎がタップリ。

最近はケーキより和菓子が好きなのに、これは文句なく美味しい。

また食べたいけど日比谷ミッドタウンは遠いな~と諦めていたが、

数日前立川駅のコンコースにこの店を見つけた。

いつも並んでいる人がいたのに気にも留めなかったが、こんな身近にお店があったとは

10人ほど並んでいたが、商品はアップルパイ一種類しかないので5分ほどでゲット

それがこのRINGOのアップルパイ。 ちなみに若い人しか並んでなかった。

まだおじさんおばさんには名が知られてないみたい。皆様このお店を見かけたら是非どうぞ。

若者の流行に追いつきます


ちなみに、期間限定でベルギーチョコのカスタードクリームのアップルパイが発売されている。

立川では30分から1時間で売り切れるそう。  こちらも魅力ありますね~。

 

 

 最近の読書 

「翔ぶ少女」 原田マハ著

 花水木さんとビオラさんが原田マハの著作を紹介していた。

私も何冊かは読んでいるのだがまた読みたくなり、図書館で最初に目についたのがこの本。

 題名からして、ふわりと軽いものを想像していたが、東日本大震災で両親を亡くした3兄妹の話だった。

目の前で母親が瓦礫に挟まり身動きできない状況で火災が迫る。

兄は必死に助け出そうと泣き叫びながら母を引きだそうとする。

妹(主人公は)助け出されたが、足に大けがをし横たわっている。

そのままでは3人とも焼け死ぬ所を「おじさん」に助け出される。

 精神科の医者であるおじさんの養子となった3兄妹は、学校で、学童クラブで疎外感を感じながらも

ボランティアや近隣の人たちと関わりあいながら成長していく。

簡単に書けばこんな内容だが、忙しい「おじさん」の手助けをする子供たちの健気さ、いじらしさ、

普通とは程遠い状況の中で常に自分たちのできる事を探そうとする子供たちの生命力、

最近とみに涙腺の弱くなった私は、途中から最後までずっと涙していた。

重い話だけれど、温かで優しい空気が充満していてこの本を選んでよかったと思う。

原田マハの本は時々軽くてご都合主義な成り行きに物足りなく思う事もあるのだが、

この本は細かな設定も良く出来ていて破綻が無く面白かった。

今どき、泣ける小説は少なく、久しぶりに本で泣いた。

 

 「昭和元禄落語心中」

昨年NHKで放送されたドラマのノベライズ本。

昨年のドラマで、私の中でダントツ1位だったのがこのドラマ。

幼かった菊比古と助六は落語家八雲の兄弟弟子として、切磋琢磨しながら一流の落語家を目指していたが、

ある事で助六は落語をやめる。

菊比古は一途に芸に精進するが、助六のことだけは諦めきれない。

ようやく探し出し、落語界に戻るよう説得するが、想わぬ事故で助六が死んでしまう。

後半は八雲の名跡を継いだ菊比古と、養女にした助六の娘との話。

菊比古が岡田将生、助六が山崎育三郎。二人とも落語が上手。

岡田将生の江戸弁がたどたどしく気になったが、途中から彼の演技に磨きがかかりぐいぐい引き込まれた。

岡田、山崎共にこんなに演技が上手かったかしら?

更にわき役たちも的を得た配役で、しっとりとした情感あふれる世界を描いていた。

 

 偶然、このドラマに嵌っていた友人がこの本を貸して下さった。

ノベライズ本は初めて読んだが、ドラマ通りの小説なのでドラマの画面とセリフが浮かび

ドラマを見直している気になった。(もともとの原作は漫画だそうだ)

でも小説としての深みはあまり期待しない方がいいかも。

 

 「流転の王妃の昭和史」 愛新覚羅浩著

       

 満州国皇帝溥儀の弟、溥傑に嫁した侯爵嵯峨家の長女浩の自伝。

昭和45年8月、新京にいた浩たち皇帝一行はソ連軍の侵略で大栗子まで逃げる。

皇帝溥儀と溥傑は飛行機で一足先に日本に脱出を試みるが、途中ソ連軍に捕らえられてしまう。

そして後ろ盾を失くした浩たちと、溥儀の皇后たちとの逃避行がはじまる。

 

 ずいぶん昔に常盤貴子主演でこのドラマを見たことがあり、原作を読みたいとずっと思っていた。

やはり現実に起こった事の方がドラマより何層倍もすさまじかった。

普通の人間だったらこの中の数ページの出来事でさえ一生のトラウマになりそうな事が延々と続く。

親族から裏切られ、国民党軍に何度も捕らえられ、移動させられ、食べ物にも事欠き、

窓の外からは銃殺される民間日本人たちが見え、皇后はアヘン中毒の果てに気が狂い粗末な扱いをされ死んでゆく。

「事実は小説よりも奇なり」という言葉をまさに体現している話だった。

日本に帰ってからも不幸が続き、長女は心中、というよりこの本の中ではストーカー被害により、亡くなる。

人生後半、釈放された夫と中国で穏やかな生活が出来たのは救いだった。

こんな経験をした女性が日本にいたという事に驚きだ。

歴史に翻弄されるとはこういう事と思った。

 

 

 

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 「昔日の客」  関口良雄著

2015-07-16 10:53:11 | 読書

  前々回のブログの続きです。

この項、故郷自慢に満ち満ちているので、 適当に読み飛ばしてくださいね。

 

まずは、お笑い芸人・ピース 又吉の文庫本

        

この方は今年 「火花」 という小説で芥川賞の候補にもなっている実力派。 (本日芥川賞発表、どうなるでしょう?)

読書好きで、彼自身の若い頃からの体験を語りつつ、彼の心に残った本を紹介している。

目次を見ると60代の私にはおなじみの本もあり、全く知らない本も沢山。

今回内容は触れませんが、彼のキャラクターにより、独特な本となっている。

 

 この本の中の 「昔日の客」 という項を読んだ娘が  

「大森に、山王書房という古本屋があったらしいけど、どこだか知っている?」とlineしてきた。

「 三島由紀夫とか、有名な文学者が通っていた本屋らしい」 と。

そう言えば・・・・・・あの本屋ね。

 

 大森の実家のごく近くに静かな佇まいの古本屋があった。

ここには良い本が沢山置いてあるという噂を中学時代に聞いた。

けれど、まだ子供の中学生はお呼びでない感じ。いつも素通りしていた。

高校生になって意を決して入ってみたが、古い本が並んでいるけど、良さが全く分からず、すぐに店を出てきた。

そうそう、その古本屋の名前は確か 「山王書房」 だった。

 

 我が大森の、特に馬込地区には、大正時代から昭和の初めにかけて、数多くの文士たちが住んでいた。

川端康成、尾崎士郎、室生犀星、宇野千代、三島由紀夫、その他数多く。

文士が多く住んだ地域は馬込文士村と言われ、わが実家のそば。

文士村は有名なのだけれど、私にとっては、まぁ地域の歴史ぐらいの遠い存在と考えていた。

 ところが古本屋の話がきっかけで、いろいろ思い出してみると、

母の実家の3軒隣には有名な文学者が住んでいたり、

中学の2年先輩には尾崎士郎の息子がいて、文集に立派で面白い文章を載せたりしてした。

村岡花子の家は、通った小学校の近所だったし、

川端康成も新婚時代、実家のすぐそばに住んでいたらしい。

 

 文士村って、遠い存在のように感じていたけど、

実家のすぐそばの古本屋が、文学者達御用達であったとは!!

馬込文士村を身近に感じた瞬間だった。

私の家の近所に、三島由紀夫達が来たのね!! と思うとワクワクしてきた。

 

 その古本屋・関口良雄が書いた本が 「昔日の客」

1977年に発行されたが、2010年に復刻された。

そんな昔の部数も少ない本を、夏葉社という社員ゼロの一人出版社が目にとめ、復刻していた。

買おうかと思ったけど、念のため図書館で調べたら在庫があった!!

 

  

初版の時は、手摺の木版画を口絵に入れていたそうだ。

さすがに復刻版は印刷だった。 (銀杏子とは作者の俳号)

 

 古本屋の親父さんの書いた本というと、偏屈で、独りよがりで、屁理屈をこねたものを想像してしまう.

けれどこの随筆集は全く違う。

正宗白鳥、尾崎士郎、尾崎一雄、三島由紀夫達との交流も書いてあるけれど、自慢げではなく、へりくだりもせず、

あくまでも自然体で、人対人の交流を楽しんでいる感じ。

一言でいうと、日本語が綺麗。

本への愛情、家族への愛情、文士たちへの尊敬が無駄のないシンプルな美しい文章で語られ、情緒豊かな気分にさせる。

 

例えば最初の項目

     正宗白鳥の著作が好きで、状態の良い初版本をたくさん集め、

    作者に 「たくさん集めたね」 と褒めてもらいたいばかりに、自宅を訪問する。

    でも、出てきたのは 「粗末な身なりの老婆」。

    白鳥は留守で、粗末な身なりの老婆が奥さんと分かる。

    その奥さんと夕暮れまで、鶏小屋の横であれこれ話し込む。

    何のことはない描写だが、正宗白鳥が留守で残念な気持ちと、

    尊敬する白鳥の事を 奥さんと一緒に話しあえる喜びが静かに感じられて、とても良い文章だった。

 

店には 月替わりで毛筆の色紙を書いて貼っていたそうだ。

ちなみにこんな詩を

                 

         年齢を重ねた今、行ってみたい本屋だった。

 

 図書館から借りた本だが、手元に置いて、何回も読み直したい本だ。

この古い本の素晴しさに目をとめ、復刻した若い出版人に、敬意を表したい。

 

最後に 大森ツァーご一緒したnao♪さんのブログから拝借した写真です。

                   

                    大森に住んだ文士達のレリーフと説明が駅前にある。

 

追伸・・・・ 又吉さん、芥川賞受賞おめでとう♪

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