駒師「日向」のブログ 本店

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将棋駒作家のつぶやき

天上作 水無瀬 彫駒

2017年01月23日 | 駒修理
普段使っています天上作水無瀬です。

出品用に仕上げ直しました。

天上とは、亡き斎藤正志師の雅号です。

天上師は駒師ですが、ご本業は木地師ですので、

師の作品は量産品でも、とにかく木地がしっかりしています。

駆出しの頃、木地を譲って頂いた経験がありますが、

その形成精度の高さと価格のアンバランスに

正直申し訳なく思った思い出があります。

その時はおそらく、駒師を目指す変人を、

半ば呆れながらも、応援して下さったのではないかと、

勝手に解釈しております。


彫刻機の性能が良いのか、

或は字母が良いのかは分りませんが、

師の作品は機械彫の駒でも、

その彫刻精度が高いのが特徴です。

後継者が無く、師の他界と同時に

工房が閉じてしまったのが非常に残念です。


作品の木地はシャム黄楊ですが、

ほんの数枚を除けば、木目詰まりの良い柾目で、

シャム黄楊の良さを最大限に引き出した、

木地に対する愛情を感じる作品だと思います。



少しですが、虎斑も混ざってますね。

我が家の倉庫を探しましたら、

師から譲って頂いた木地がありましたので、

失礼ながらそれを使って無銘の玉将を含め、

数枚を再作成させて頂きました。
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