新聞広告に『すごい左利き』という本の紹介があって、即、購入した。
我が家の4人の息子のうち、次男と四男は左利きだ。
先日、書道のレポートがあり、左で書道って、大変何だということを初めて実感した。次男は、家で左利きだと筆の運び方が大変だと嘆いたことがなかったので、考えたこともなかった。しかし、四男に筆の運び方を説明せんとして、横に一と書くには、かなり不自然な腕使いをしないといけなくなることにはたと気づいた。え~~~、左利きの人に先生はどうやって教えているの?
次男は、テキトーにやっていたんだろうなぁ。
字を書く時も、自分の手で字が隠れるから大変だし、はさみや包丁も右利き用だから大変だし・・・。
小さい頃に無理して右利きにすることの心理的ストレスの方が、日常の不便さよりもダメージが大きいのではないかと思い、あえて、右利きにさせようとはしなかった。でも、日々の生活の中で、小さなストレスを抱えて生きていくこともしんどかったかなぁとどっちが正解かわからない思いを抱いていた。
そしたら、この本に出逢った。
著者は、ご自分が左利きで音読障害もあり小学校の成績は2とか3ばかりだったそう。しかし、いろいろあって、小児科医となり、脳の研究で世界的にも認められ、脳の学校代表を務められているという。
お~~~、わが息子と同じだわ~~。
左利きに対して、ややかわいそうかなという思いを抱いていた私にとって,『すごい左利き』なんて言葉は魅惑的以外の何物でもない。これを読まずして何を読もう。
この本に、
左脳の『視覚系脳番地』では、文字や文章などを読み取り、右脳では絵や写真、映像などを処理する。
同じ『感情系脳番地』でも、左脳では自分の感情や意志を作り出し、右脳は自分以外の人の感情を読み取る働きをしている。
左手をよく使うと右脳が活性化し、右手をよく使うと左脳が発達する。
人は、手を使うことで脳を発達させてきた。
右利きは、右手で文字を書く時に、左脳の運動系脳番地を使いながら、左脳の伝達系脳番地で言葉を生み出すため、左脳内で処理できる。
しかし、多くの左利きが右利きに比べて、左手を右脳で動かしながら、左脳で言語処理をするので、左脳と右脳の両方のネットワークを同時に使わないと、文章を綴れない。そのため、左利きは『言葉を使って考えをまとめるのに時間がかかる』傾向がある。
つまり、左利きは、言葉に置き換えて言いたいことを発するまでに使用する脳のルートが、ほんの少し遠回り。
また、自分の言いたいことのイメージを言葉につなぐ前に話をしてしまうことがあるため、周囲からずれて聞こえたりもする。
このようなことから、左利きは、大器晩成型。
世間一般、周りと比べて、早い時期に言葉を話したり漢字が書けるようになったりすると「優秀」だと喜ぶ。
でも、幼いうちから脳の発達が左脳に偏ると、その後の人生で右脳を鍛える機会が少ないため、右脳が育ちにくくなる可能性もある。
子どもの頃から、ずっと右脳を目覚めさせている左利きは、確かに左脳の成長はゆっくりかもしれない。でも、使える脳の範囲が右利きよりも広いのだと自信を持ってほしい。
と書かれていた。
つまり、左利きは、うまく育てれば、右脳と左脳の二刀流ってこと?
思えば、4人の男の子のうち、次男と四男が左利き。この二人の共通点は、自分から絵本読んでとせがまなかった。ずっと、そのことが疑問だった。
長男と三男は寝る前に10冊以上読んでと言うから、1時間くらい毎日絵本を読んでいた。でも、次男からも四男からもせがまれたことは一度たりともない。
ただ、幸いにも、せがまれたこともなければ、拒まれたこともなかった。
お兄ちゃんたちと一緒に、ずっと、お話を聞いていた。
四男も、いつまでたってもせがまないけれど、拒否もしないので、小6の頃まで、読み聞かせをしていた。最後の頃は、長編のシャーロックホームズシリーズなど、自分が面白いのでついつい勝手に1時間くらい読み聞かせを?いえいえ私の音読?を聞かせていた。これが、また、1時間起きているんだから、四男の脳はどうなっているんだろう?って不思議だった。
しかし、言葉を紡ぐことは、さっぱり。
今も、そう。あれだけ、口が達者なのに、どうして、作文化できないんだろうって思っていた。
次男と四男は、左利きで、左脳で感じたことを右脳で処理して言語化するところの発達を支援してあげればよかったのだろうと思う。
でも、どうやったら、親レベルで支援できるのかわからない。
一つだけ、そうじゃないかなと思うことがある。
それは、けなさないこと。
おそらく、小中学校の頃は、成績がかんばしくない。この時期に、勉強、勉強と言わないことだろう。思いっきり外で遊ばせて、運動することで脳の発達を促していく。だって、お勉強できる脳に体制が整っていないのだから。お勉強できる脳になるために外遊びや運動を積極的に支援する。
最低限、漢字とかけ算九九と割り算は理解させてあげた方がいいかな?
つまり、読み書きそろばんの基礎工事だけはしっかりやってく。
学校の先生も、左利きの生徒がいたら、そんな長期的な視点で見守ってもらえたらいいな。
左利きで絵本読んでと一度もせがまなかった次男の快進撃のその理由が、この本を読んで合点がいった。
小学校に入って、この子は、学習障害的な発達障害がありそうだと認識したとき、この子は、どうにか高校まで卒業してくれて、単純作業のようなお仕事に就けたらいいなと思った。だから、なんというか期待しないというか、勉強しなさいというような働きかけはしなかった。ただ、計算力を高めることで学力や自信ももれなくついてくるという『くもん』から独立した平井雷太さんの『らくだ』通信だけはさせていた(本人は、大人になってからテキトーにしかしてなかった。苦痛だったと言っているけど)。中学校に入って、サッカー部に入った。ここで、鍛えられた。つまり、運動をめちゃくちゃした。
そしたら、いつのまにか、地元では進学校と言われる高校にギリギリセーフ。推薦も何もしなかった。もちろん、塾にも行っていない。
高校に入ってからも、彼はビリの周辺をずっとウロウロしていた。
しかし、高3になって、突然、猛進。その結果、結構ないい理系の大学が射程距離圏内に入ってきた。
そこは落っこちたけれど、どうにか国立理系に入って、3年生を1年休学して、自転車で日本一周をして、あろうことか大学院まで行った。
私は、『らくだ』以外は、何もしなかった。
勉強しろと一言も言わなかった。というか、私がめちゃくちゃ忙しすぎて、言う暇がなかったと言った方が正解だと思う。
左利きでおそらく識字障害があったであろう次男は、このような幸運に恵まれて、今、自分のやりたいことをやって生きていくという価値観でのんびりと生きている。