5522の眼

ゆうぜんの電子日記、2021年版です。

ことばの力

2019-09-25 21:44:12 |  経済・政治・国際

ツイッターのタイムラインに並んだのは、NYで行われていた国連の〈気候行動サミット〉にグテーレス事務総長が招いた16人の子供環境活動家たちによる地球温暖化に明確な対処にできていない各国の首脳批判、特にその代表である16歳のグレタ・トゥンベリ(スエーデン)の過激ともいえる弾劾演説に対する毀誉褒貶ツイートだった。

〈絶滅の始まりによくも経済成長のおとぎ話ができるわね〉

というのが昨日の中日夕刊の見出しだが〈How dare you〉、日本語訳だと「よくもそんなことが言えるね!」といった相手をなじることばが、グレタの演説に2度繰り返されていたのだ。子供が大人に向かって使うべきことばではないというのを、使い手は承知の上で敢えて使った。それが極めて見事な効果を発揮した結果が、今日も流れ続けるコメントツイートとして現れたというわけだ。

彼女の演説はどれも相手のポイントを突く見事なものだ。英語を母語としない彼女が独りで演説を考えたのならスゴイことだし、15人の仲間たちが一緒になってブレーンストームをしながら作り上げているのなら、これまた素晴らしいことだと思う。

ことばの力が見事に相手の心を揺すぶった希代の名演説といってよかろう。ノーベル平和賞の新しい候補に推薦しようという勝手な世間の噂もタイムラインに載ってきている。北朝鮮とのサミット成功で、我らが安倍首相に「彼こそ平和賞候補」と言わしめたトランプ大統領としては面白くはない。

「明るく素晴らしい未来を期待する非常に幸せな少女のようだ」という〈イジメ〉ともとられかねないツイートを早速アップして、グレタを牽制したトランプ大統領だったが、グレタの方が一枚上。自分は「明るく素晴らしい未来を期待する非常に幸せな少女」だと切り返しツイートを発信。大統領の嘲笑に見事しっぺ返しをしたというメディア評である。

ことばの力のなさを逆に見せてしまったのが小泉新環境大臣の「楽しくクールでセクシーな地球温暖化問題」という日本の環境政策につての発言だろう。流暢な英語で語ったわりに内容のない発言として国際メディアの評価は一過性で醒めてしまったようだ。

気候行動サミットに参加を断られた安倍総理も一般討論演説で切り返そうと頑張ったが、我田引水的な総花発言では私語の多い会場の注目は惹けなかったというのが本当のところだろう。ことばの力のなさは、先のプーチン大統領との首脳会議での「詩的な」呼びかけの奇異さを聞いてもわかる。

How dare you という強烈な「売りことば」については今日の中日夕刊〈夕歩道〉氏も書いている。記者の心にも相当なパンチ力で食い込んだらしい。

トランプ大統領は記者団にこう言った「公平に言って私にはノーベル賞をもらう理由がたんとある。だがそうはならない」パリ協定から離脱すると云っている超大国の指導者が「ハウデアユー!


旭日旗のデザインは「太陽をかたどり、大漁旗や出産・節句の祝い旗に現在も広く使われている」というのは外務報道官。割れんばかりの音量で主張をくりかえす人々の降る旗を大漁旗と同じだとは「ハウデアユー!」

自分もこのことばを借用してどこかの場面で使ってみたいと思っているのだが。





最新の画像もっと見る

コメントを投稿