原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

不動産賃貸の将来性

2008年07月28日 | 仕事・就職
 一昨日、私が所有する不動産賃貸物件の賃借人退室時の室内確認にオーナーとして立ち会った。

 私が長い独身時代に単独で居住用不動産物件を購入し、独身のうちに短期間で住宅ローンを全額返済したこと、及びその不動産を現在賃貸物件として活用していることに関しては、本ブログのバックナンバーで既述している。(お金カテゴリー「住宅ローンの早返し」及び、仕事・就職カテゴリーの「不動産賃貸の落とし穴」を参照下さい。)


 さて、近年は不動産賃貸借における賃借人の法的立場が強まり、相対的にオーナーの法的立場が弱まっているのだが、この現象にますます拍車がかかっていることを感じざるを得ない。

 以前は、賃借人の退出時の室内の原状回復において、その費用のほとんどを賃借人が負担していたようだ。
 現在では、賃借人の入居年数にもよるのだが、短期間の入居の場合、賃借人の費用負担は原則として部屋のクリーニング費用のみである。その他諸々、例えば壁や天井のクロスの張替え、畳替えや襖張替え、白木部分の洗浄塗装、水周りのパッキンやコーティング等の回復等々の費用はすべてオーナー負担となる。(正確に言うと、入居年数により費用負担割合が決められていてそれに応じて双方で折半するのだが、この費用負担を一切拒否する賃借人が多い。その場合、法的訴訟に発展することもあるが、これに更なる費用が発生するし手続きも面倒なためギブアップしてやむを得ずオーナーが全額負担することになるのはよくある話だ。)


 そのような不動産賃貸借におけるオーナー側の法的立場の弱みにつけ込んで、不動産仲介業者やリフォーム業者が商業主義に走り、不必要なまでの室内の原状回復、リフォームをオーナーに強要しているのではないかと、退室点検に立ち会った私は感じるのである。

 例えば、今回の場合賃借人の入居期間がたったの10ヶ月であったため、室内の痛み等がほとんどなく、一見して綺麗なのだ。素人目にはリフォーム等の必要は一切ないと感じるのだが、仲介業者とリフォーム業者が重箱の隅をつつくがごとくの細かい瑕疵を指摘してくる。例えば、クロスのほんの少しの捲れや画鋲の後、それから家具の重みによる絨毯の跡形等々…。それらを目立たなくする修繕をしてほぼ完璧な原状回復をした後に、次期の賃借人募集に備えるのが現在の常識であると言うのだ。
 拒否してもよいのであろうが、仲介業者には賃借人募集を依頼している関係もあり、異議を唱えるとオーナーとして印象が悪い。結局は業者の指示に従わざるを得ない運びとなるのだ。

 今は、入居者の移動も激しい時代である。今回のようにたった10ヶ月で賃借人に出て行かれ、その都度このような原状回復の修繕を繰り返していたのでは、零細オーナーとしては“商売上がったり”である。
 今や礼金もほとんど取れない。仲介手数料もオーナー負担の場合が多い。部屋のエアコンや照明器具等はオーナーが完備しなければならないし、居住中の給湯器等設備備品の修理、交換費用もかかる。月々の物件の管理費や固定資産税等の費用も恒常的に発生している。確定申告の手間も大変である。


 独身時代に単独で購入して独力でローンも完済し、我が独身時代のサクセスストーリーの象徴のような物件である。そのように私にとっては思い入れが強い不動産物件であるため今尚手放せないでいるのだが、そろそろ発想の転換をして手放し、現金預金の形で保有するべきか。
 大いに悩める私である。 
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