四谷三丁目すし処のがみ・毎日のおしながき

新子の季節です。6/下旬~9/上旬まで小さいコハダを追い求め、繊細な酢〆を施します。新イカ入りました。

煮切り

2009-01-25 14:53:00 | 07 みせのこと

031 煮切り醤油を作っているところです。

いつも醤油差しに入っているあれです。まず鍋に酒と味醂を入れ、強火にしてしばらく見守ります。火が上がってもアルコール分が飛ぶまでどんどん煮詰めていき、落ち着いたところで出汁を注ぎます。そこに醤油を一気に入れて出来上がりです。

“煮キリ”というタイトルで『改訂版すし技術教科書江戸前ずし編』旭屋出版 に書かれているところがありましたので、抜粋します

≪最近、ほとんど使わなくなったものに煮キリがある。煮キリというのは、しょうゆ一升に対して、みりん一割ぐらいを割って、これを一升にもどるくらいに煮つめたものである。この煮キリを用意しておいて、握ったすしのタネの上に、ハケでさっと塗って供したものである。マグロのすしにはかならず用いたものである。もともとは、マグロを漬けておいたしょうゆを、煮たてて用いたところから「煮キリじょうゆ」「煮キリ」とよばれるようになったと、故杉山宗吉氏(養徳社『すしの思い出』著者)は記憶している。ところで、つけじょうゆだが、これが銘々皿に用意されるようになったのは、昭和にはいってからのことらしい。もともと屋台店では、大きな丼鉢につけじょうゆを用意して、これを全員で使っていた。ところが、大正時代の終わり頃、疫病が流行して、それ以来、銘々皿にしょうゆを用意する習慣がぽつぽつでてきたようだ。つけじょうゆは、生じょうゆを使うところと、砂糖、みりんなどを加えて煮たてたものを使っているところがある。≫ 

主人にこのページを開きながら「うちが作っているのは“つけじょうゆ”ではないか?」と訊ねたところ、内容をざっと読んでから「ふーん…。オレはずっとこれ(写真)を“煮切り”とか“煮切り醤油”って呼んでるからなぁ…“煮切り”でいいんじゃないの?」と答えが返ってきました。

生醤油と違い、出汁が入っている醤油なので営業時間以外は常温ではなく冷蔵庫で管理しています。マグロのヅケもこの煮切り醤油に漬けて作ります。