斉東野人の斉東野語 「コトノハとりっく」

野蛮人(=斉東野人)による珍論奇説(=斉東野語)。コトノハ(言葉)に潜(ひそ)むトリックを覗(のぞ)いてみました。

断想片々(51)【ザンネンな詐欺師たち】

2023年05月11日 | 言葉
 2か月近く前になるだろうか。マイカーの任意保険を掛けているZ社から、顧客リストが外部流失した旨の詫(わ)び状が届いた。迷惑料のつもりか500円の金券が添えられている。ネット販売が売り物の損保会社だから、顧客のメールアドレスなど流失データ類は、フィッシング(=釣り)詐欺をたくらむ者にとっても好餌(こうじ)だったろう。

 連日のフィッシング詐欺メール
 かくて2、3日すると連日のように、我がパソコンへ詐欺メールが届くようになった。銀行、JRビューカード、アマゾンのプライム会員資格(?)、コンビニのカード等々。どれも決まって「再確認が必要です。確認しないと会員資格が制限されます」なので、仕組んだ詐欺犯は同一人物であると、容易に想像出来た。

 しかし、である。詐欺師が再確認を迫るのは、そもそも当方が持っていない銀行口座やコンビニ・カード、あるいは定年退職後10年以上使っていないビューカード、会員になってすぐ退会してしまったアマゾンのプライム会員、といったものばかり。ビューカードなどは「24時間以内に確認を済まさないと、使えなくなります」との”最後通牒”が、ひと月近くにわたって毎日届くアリサマだった。

 体裁や文章に多少の難があっても、年に1度くらいであれば「おや、何かな?」と、こちらの注意をひくかもしれない。しかし毎日ではダメだ。文面はワンパターン、かつ”最後通牒”が一向に”最後”にならない体(てい)たらく。シマリがない。やたらに撒き餌(まきえ)を投げる磯釣り人の姿が目に浮かぶ。

 これでは「資格喪失します」のオドシも効果あるまい。加えて怪しげな日本語、会社は違っても同じ文面、高飛車で失礼な物言い。さらにメールの発信時間が、大半が深夜から未明にかけて。日本の企業は、こんな時間まで社員を働かせない。

 電子メールを使う顧客ばかりではない
 顧客全員に確認すべき事項が生じたとしても、日本の企業は電子メールなど使わないだろう。顧客のすべてがパソコンやスマートフォンを持つわけではないからだ。特に高齢者は少ない。この一点を考えただけでも、詐欺メールの不合理性、欺瞞性は明らかだ。そこに考えが至らない詐欺師たちは、やっぱりザンネンな人たちなのである。

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