徒然草

つれづれなるままに、日々の見聞など、あれこれと書き綴って・・・。

映画「嘘を愛する女」―知り尽くしていたはずのその愛は嘘か本物か―

2018-01-24 19:00:00 | 映画


 実際にあった朝日新聞の記事から着想を得て、気鋭の中江和仁監督が構想20年をかけて、この作品を完成させた。
 これもまた、ある愛(?)の物語である。

 もしも、同棲相手の素性が全て嘘であったらどうするか。
 そうだ。ちょっと怖い話だ。
 この物語は、映画企画コンペで優勝し、映画化にこぎつけたいきさつがある。
 まあ、観ても損のない映画ではなかろうか。







食品メーカーでヒット商品の開発に力を注ぐ、キャリアウーマンの由加利(長澤まさみ)は、同棲5年目を迎えた心臓外科医の恋人、桔平(高橋一生)との結婚を真剣に考えるようになった。
そんなある日、刑事2人が自宅を訪ねてきて、桔平がくも膜下出血で意識を失い、病院へ搬送されたという。
ところが、身元確認の過程で、桔平の職業や名前のすべてが嘘と判明したのだ。
由加利は桔平の正体を調べようと思い、探偵の海原(吉田鋼太郎)を雇い、彼が書き溜めていた小説を手掛かりに、小説の舞台となっていた瀬戸内へと向かうのだった。

会社の由加利と研修医の桔平は同棲5年目だ。
幸せの中にあったが、意識不明となり、名前も職業も嘘だと分かった。
由加利は桔平の過去を探る旅に出る。
愛した人は本当は誰だったのか。
由加利という女性は自分本位で、周囲を顧みずに突き進む女性のようで、共感を呼びそうな役どころではない。
本当に嫌な女であろう。

設定はミステリアスで興味深いのだが、謎を解明していく過程はいささか物足りない。
登場人物の設定に重厚感はない。
うすっぺらで、嘘をついていた桔平の理由も何だかすっきりとしない。
ドラマはそんなこんなで全容がもたついているように見える。
暗いテーマを扱いながら、笑いを織り交ぜていくあたりはいいとしても、3時間近い上映時間は間延びしてどうも・・・。
でも、なかなかの実力派俳優陣をそろえているだけに、ドラマをしっかりと支えている感はする。
物語の展開もちょっと窮屈な感じがあったりして、そうかと思うとほどほどにしなやかな余韻を持たせたり、演出には中江監督の鮮やかな手腕の見せ所も大いなる救いだ。

ドラマにはファンタジックな要素や回想シーンなども多々加わって、面白おかしい場面もある。
ヒロイン由加利は難しい役どころだが、演出によく答えて長澤まさみの熱演が光っている。
しかしまあ、結論からいってしまうと、中江和仁監督映画「嘘を愛する女」は一見ミステリアスに見せて、観終わってみると人間模様を濃密に描いた、結構純粋で素直なラブストリーではないか。
        [JULIENの評価・・・★★★☆☆](★五つが最高点
次回は日本映画「花筐 HANAGATAMI」を取り上げます。


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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
あららん (茶柱)
2018-01-24 22:39:27
TVCMでは結構ミステリ調に見えたのですけれどもね・・・。
そうなんです・・・ (Julien)
2018-01-31 12:21:09
確かにミステリー調ではあるのに、その辺に期待すると落胆するのです。
まあ、映画ってわからないことがあるものですね。

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