特待生と野球留学

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神奈川新聞

2007年06月09日 | 君子

社説子は1人とは限りませんが、それにしても傑作とも思える変わり身です。4月21日付神奈川新聞は「甘え一掃、ルール順守を」と題する社説を掲げています。

スポーツ特待制度 甘え一掃、ルール順守を(Googleのキャッシュ)
(2007/04/21神奈川新聞)
高校側は当然、ルールがあることは知っていたはず。だが、西武の裏金問題や、横浜ベイスターズの契約金問題などと同じく「ほかもやっているから」という意識があったと考えざるを得ない。

ベイスターズには「ほかにもやっている(た)」の意識があったのは間違いないでしょう。ライオンズの場合も同様です。と言うより、スカウトは1球団に永年勤続するわけではありませんから、ある球団の手法が他の球団に伝播することは避けられません。まして、管理部長職にあった根本氏がホークスに移っているのですから、(時期は別にしても)西武球団だけの話であろうはずがありません。

ただ、高校野球の場合、校長先生が学生野球憲章で特待生制度が禁止されていることを知っていたとは限りません。前校長はともかく、高木現校長はまず知らなかったはずです。何も知らずに高野連様の事情聴取に応じて、何気なく喋ったことが大問題に発展したというのが真相に近いはずです。

社説はさらに続けます。


どんな規則も関係者の甘えがあれば意味のないものとなる。高野連が行う全国的な調査で、どこまでその実態が明確になるか。この機会にグレーゾーンの一掃を期待したい。

このように「グレーゾーンの一掃」を求めていたはずの神奈川新聞ですが、3週間後、ものの見事に豹変します。

特待制度の緩和措置 性急な調査で招いた混乱(Googleのキャッシュ)
(2007/05/12神奈川新聞)
 しかし、疑問は残る。そもそも高野連が勢い込んで実施した全国調査は一体何のためだったのか。わずか十日足らずの短期間の調査だったため、都道府県の高野連は対応に追われ、学校側もあいまいな問い掛けに混乱をきたした。高野連は学生野球憲章第一三条を重んじるあまり、各校への対処が性急に過ぎた感がある。

あれっ? 「グレーゾーンの一掃を期待」していたのに、今度は「性急に過ぎた」? 「わずか十日足らずの短期間の調査」でしかないことは、4/21の時点でわかっていたことです。

5/21付の「一体何のためだったのか」という問いかけには、4/12付の「グレーゾーンの一掃」が答えとして適切なのかもしれません。


 一方で同じ学生野球ながら、全国三百七十二校の加盟大学をまとめる全日本学生野球連盟の対応は、時代に即したものだ。

えっ! 「全日本学生野球連盟」って?

これは新団体ではなく、たぶん「全日本大学野球連盟」のことでしょう。まあ、個人ブログではありがちなことです。目くじらを立ててはいけません。いくつもの団体がごちゃごちゃ共存しているのですから、一般人が覚え切れるはずもありません。社説子が一般人と同じレベルでいいかどうかは別の問題です。いずれにしても、普段からロクな社説を書いていないのでしょう。


 教育的配慮とは何か。高校野球界を仕切る高野連には今後、しっかりと周りを見る目と、現場の意見を聞く耳を持ってもらいたい。

4/21にはエールを送られていた高野連様が、5/12にはお叱りを受けているわけです。はい。 

ただし、神奈川新聞には豹変の素地がありました。4/21付には次のような一節があるのです。

4/21付社説
私立高校が「自校を全国区に」と、スポーツ系の部活動を強化しようとするのは、極めて自然な”企業努力”である。