雑にゃん日記<俺ってズレてる?>

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さよならの儀式(宮部みゆきさん著)の感想

2023-10-15 12:08:21 | 読書

ちょっと前の話ですが、宮部みゆきさんの著書「さよならの儀式」を読みました。

 

さよならの儀式 :宮部 みゆき|河出書房新社

さよならの儀式 親子の救済、老人の覚醒、30年前の自分との出会い、仲良しロボットとの別れ、無差別殺傷事件の真相、別の人生の模索……淡く美しい希望が灯る。宮部みゆきの新...

河出書房新社

 

SF短編集です。

8編の短編が書かれています。

SFというより、ファンタジーといった方が良いかもしれません。

 

読んだ感想ですが、やはり宮部さん。

読み手を選ぶ感じ。

お話としては難しいわけではありません。

ただ、色々な要素を含んだ「ふわっ」とした終わり方をします。

同宮部さんの作品の、杉村三郎シリーズも感じましたが、すっきりとは終わりません。

「正義」「悪」「完全ハッピーエンド」がもてはやされる昨今。

これ自体昭和的幼さを感じるのですが、宮部さんの作品は、キャラクターの心情の裏腹を含んだ終わり方をする感じがします。

悪の裏には正しさがあり、正しさの裏には毒々しい情念がある。

これを読み取れないと、面白さが読み取れない。

そんなお話。

これには、読み手の人生経験というか、大局を読み取る考え方を持っていないと、なかなか難しい。。。ちょっと大人な読み物なんだと思っています。

誰が正しくて、間違っている。そんな読み方をしている人には難しい話なのでしょうか。

 

それほど、ふわっとした終わり方なので、そのあとの出来事を想像すると・・・涙腺にぐっと来てしまう。

じわっと心が揺り動かされる。

そんな読み物なのだなと実感したところです。

 

特に「さよならの儀式」「保安官の明日」は顕著で、読み終わったところでは「終わっちゃったな」と思うのですが・・・

キャラクターの色々な心情を踏まえて、そのあとのストーリーを想像すると

「あっ」

と思わされ、そのまま涙腺に来てしまう。

そんな感じがしました。

 

短編集らしい読み物です。

ある全体の流れから一片を切り取り、その前後のお話を想像させる。

その中には、右を想像する人もあれば、左を想像する人もいる。

ただし、そのヒントは十二分にストーリーの中に、それも密かにちりばめられている。

完全なオチは必要ない。

オチは、ちりばめられたヒントの中から、読み手が感じること。

そんな、学術的な、高難易度な、そして短編集らしい短編集だったと思います。

 

簡単に言えば・・・短歌のような「短いふわっとした世界の中からの強い思い」そんな感じがしました。

言いすぎかな(笑

それゆえに、読み手の人生経験に左右されると思いました。

このお話は、簡単じゃない。


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