雑にゃん日記<俺ってズレてる?>

いろいろな趣味や語りを書きたいと思いまーす。
私の頭の中、一般的と言うものとはズレているみたいです。

「ダブルバインド」城山真一さん作。読みました。

2024-10-16 00:06:00 | 読書
読み終えた本もあるのですが、なかなか感想書けず。
という事で、今回はこの作品。
ダブルバインド」城山真一さん。

刑事ものの小説で、主人公が色々なトラブルに次々に合いながらも過ごしていく。。。事件が解決していく?という話。

率直に書くと、可もなく不可もなく。
面白いんですけど、これと言った盛り上がりもない。
そもそも「もっとも不幸な刑事」と銘打っていますが、この程度のトラブルの並走なんて・・・私なんて日常茶飯事。
この程度でギャーギャー言っていたら・・・と思いました。
がっ!
よくよく考えてみたら、読者が馴染みやすい事柄を厳選して「トラブル」にした感じがしてきました。
容疑者を取り逃し、警察内部での権力争い、そして警察内部の不正。
そして、家庭の問題と。
そう、読み手に対して馴染みよく、ワクワク、そわそわする題材を選んだのでは?
そう考えると、このシナリオの流れは王道の話で、面白いと感じました。
まあ
「キャラクターが何もしていないのに、偶然の出来事で話が進む」
と言う点は、ちょっと苦手ですが。
それも「トラブル」は、伏線でもサブシナリオでもなく、たんなる寄り道。
ややっこしくもなく、考えさせられる話でもなく、さっさと終わる寄り道。
それゆえにテンポ良く話が進みます。
これが良いかどうかは、読み手が決めることかなと。

読み終えた後で「ふと」思ったことがあります。
以前、某映画で「文章だったら面白いだろう」と書いた作品がありますが。。。
この「ダブルインパクト」。
「映像にしたら面白のでは?」
と。
今は無くなりましたが「サスペンス劇場」というヤツにピッタリな話のように感じました。
難しくもなく、視聴者が好きそうな題材。
そして、トラブルが解決されていく爽快感。
最後に残る、モヤモヤした問題と「サスペンス劇場」にピッタリな感じです。

他の難解な伏線を持ったミステリー、サスペンス小説ではなくサクサク進むシナリオ。
そう考えると、ミステリー初心者にはぴったりの小説ではないでしょうか。

ちなみに「サスペンス劇場」を見ていて、開始30分で犯人がわかります。
それは
「端役なのに、大御所の役者さんが演じている」
です。
確実に犯人です。
これが、映像作品の悲しい性ですかね。。。

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読書「うまくいっている人の考え方」ジェリー・ミンチントンさん著 読みました

2024-07-20 12:17:49 | 読書
この頃、小説ばかり読んでいましたので、久しぶりにビジネス書を読みました。
これ
ジェリー・ミンチントンさん著となります。

感想です。
・・・確かに良いことを書かれていると思います。
私も「そうだよねー」と思います。

ただし、この本の読者ターゲットはどこになるんでしょうか?
たぶん「そうだよね~」と思う人向けではないと思われます。
自分に自信が無いとか、指示が無いと動けないとか、自分で考えることが出来ないとか、そういう方向けの本じゃないでしょうか。
「そうだよねー」と思う人は、こういった考え方自体「自分を奮い立たせるため」に実践している内容だからこそ「そうだよね~」と思うわけです。
そうじゃない人だから事、この内容を読むと「・・・」と思うわけです。

根本的な良いことを書いていると思います。
「人と比べない」
とかね。
ただ、これは危険なことで、「人と比べない」の後には2パターンあるわけです。
1.自分の考えが全てと考え、人に押し付ける
2.自分の考えに責任を持ち、突き進む
文章にするとよくわかるのですが、「2」になるべきなんですが、大体の人は「1」に陥ります。
まあ、「1」になった時点で「人と比べている」わけですが、なぜだか「自分が上」と誤認してしまいます。
こういう人に、この本を読まれると・・・逆効果なんだろうな~と思ってしまいます。

そもそも「嫌われる勇気」と言う本で、「好きな人の前に行くと顔を赤らめてしまう女の子」の話があります。
内容は読んで欲しいのですが、一般の人には「勝手に決めるな!」とか「そんなわけあるか!」と怒りたい内容だと思います。
が、私はおじいさんの通りだと思っています。
「赤らめることが、自分にとって都合がいい事」
と言う感じです。
そうであることで、何かしらの自己満足、利益が無意識に働くのかと。

「うまくいっている人・・・」の本で、啓蒙しようとしている「自尊心を高める」というのは、現代的に言えば「自己肯定感を高める」という事なんでしょうが・・・
そもそも、自尊心が低いことで「利益」があると考えている人・・・当然無意識でしょうが・・・には、大きなお世話でしょうし、意味が分からないでしょう。

と言う風に、これを読んで欲しいステージの人より、少し上の立場から「読んで欲しい」のだと思います。
書かれている事柄は、私自身「そうだよね」と思える内容ですし、常日頃から感じていることです。
ただ、読んで欲しいステージの人から見ると「損」としか映らないのかな?と感じます。
直管的な「利益」が少ないのです。
長期間を見れば「利益」なのですが、短期では「損」になることが多いんですね。
それを「利益」にするために、他の人を卑下したり、いじめ、差別をするようになると思われるんです。

そういう人に、こういう内容は響くのかな?と思ってしまいます。
希望的には「響いて欲しい」のですが。

こういうビジネス書は難しいですね。
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「文身」岩井圭也さん作、読み込ました。考えます。。。

2024-06-29 11:43:27 | 読書
岩井圭也さん作
「文身」
を読みました。
読書後、少し経ちましたので、思い出しながら読みます。

ちなみに「文身」は「KaBoSコレクション2024」金賞の作品となります。
本屋さんでは、結構ポップが多く絶賛と言う感じでした。

岩井さんの作品を読むのは初めてですので、岩井さんテイストと言うのがわからないという事もあり、手探りでした。

さて、どうでしょう?
物語の中で書かれる小説の主人公である一人男性・・・いや二人なのか。
その中で紡がれる、仮想の主人公男性。
そして仮想が現実にフィードバックされ、その物語が仮想を描く男性にフィードバックされる。
そして、その上に影響を及ぼし、一番上の位置するリアルの読み手にファンタジーと言う奇妙な感覚を覚えさせる。
そういう物語です。
つまり、複数の小説を通して、多段構成になって複雑な構成と思わせながらも、一段上の読み手に影響を与える・・・ちがうかな?取り込んでいくという人間の心を・・・小奇麗ではない心を引っ張り出してしまうような作品。
私は、そう読み解きました。
解説の方は、これを「浸食」と表現されていましたが、まさしく浸食されていく・・・そんな感覚を、第三者的に読み取り、最終的に読み手にまで浸食していく。
この作者さんは、良くプロットを考えておられると感じられます。
大変だったのではないでしょうかね。

内容は硬派でハチャメチャな人生を生きる主人公(達)が描く小説、自小説の話であり、その点では読みごたえがある物語。
そう・・・2/3ぐらいは。

2/3は、そいう物語でハチャメチャ人生をトレースします。
「まあ、こう話なのね」
と、アニメ好きが読めば・・・言葉は悪いですが、この程度の多段物語は良くある話です。
アニメのようなファンタジーに慣れていない人には新鮮かもしれません。
そして、最後の1/3には・・・嫌な感じがしました。
たぶん「ああ」なるんだろうなーと。

小説内の一説
「今回の候補作はいずれも、きわめて個人的な事情を描いている。(略)素人の日記と変わらないという批判もまた的を得ている」
これは小説の、そのまた小説の中の(裏)主人公が、新人小説賞の総評として書いているものです。
・・・これは、どういう意味だろうか?
作者は、どういう心情をキャラクターに語らせたのだろうか?
私には「自戒」に感じました。
この小説がそのように感じたからです。
この小説の最後は、本当に「日記」になるか、「ファンタジー」になるしかないわけです。
であるなら、本箇所は「日記」以外何者でもないと。

そして1/3の部分。
キャラクターの心情は重く、悲しみにあふれた心情でしたが。
最終的には・・・アニメ的に言えば「夢オチ」。
夢ではないですが、ファンタジー的なラスト。
夢オチの良くないところは、それまでの物語をゼロにしてしまう点。
それまでの盛り上がりも、伏線も、謎も、全てが「どうでもよい」状態にしてしまう。
確かに、夢オチ前までは「なになに?」「どれどれ?」と読み手を引き付けます。
でも、夢オチになった時点で、前の出来事は泡と消えてしまう。
忘れることのできない物語であったとしても、記憶に強く刻まれていようが・・・単なる思い出になってしまう。
前後で話が切れてしまう感じがします。
その点において、私的には悩みのタネになっちゃうんですね。
一気に覚めてしまいます。

そして、一番最後に・・・とってつけた1文があります。
小説内の一番上の読者を「浸食」する1文です。
そして「浸食」が確定する1文でもあります。
「小説っぽいなー」
と思います。
最後としては良いと思います。
合わせて「とってつけたような」文にも思えます。
もっと本文で感じさせてほしかったのに、最後で決めの1文は、少々いやらしい。
そんな感覚は、私だけでしょうかね。

総じて、面白い物語ではありました。
ただ、なぜかモヤモヤしてしまう物語でもありました。
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「ABC殺人事件」アガサ・クリスティ作、読んじゃいました

2024-06-09 12:20:28 | 読書
タイトルですが、以前は「著」と書いてましたが、厳密には
著:書いた人
作:作った人
という事なので、小説は「作」と書くのが正しい。
と、以前、出版会社の人がおっしゃってました。
という事で、今回は「アガサ・クリスティ作」ですね。
決して、「阿笠 博士 」さんではない(名探偵コナンの人)。

読んだ本は「ABC殺人事件」。
どんな人でもタイトルだけは知っているだろう有名な作品です。
このミステリーが1936年に書かれたなんて。。。
全ての構成を事前に考える力、そして全ての事柄を「最後」にまとめる構成。
最も大きいのは、書き始める時にプロットをくみ上げる能力。
ほんと、どの時代にもすごい人はいるんですね。

さて、この「ABC殺人事件」。
色々な作品にオマージュされている傑作作品ですね。
誰でも知っている作品。
読んだことが無くても「ABCの順に事件が起こるんだよね」という知識だけはある作品ですね。
某少年探偵作品でもオマージュされていたはず。。。覚えていないけど。

そういう作品を、いまさらながら読んだわけです。
で、半分ぐらい進んだところで、ちょっと考えさせられました。
なんせ、探偵ポワロが何もできないまま、そう手がかりがつかめないまま、易々とA、B、Cと殺人事件が成し遂げられます。
昨今の派手なイベントと言う感じではなく、淡々とABCが進みます。
読み手から思うと、若干落胆した感じになりました。
その感じが、あっさりした感じが感じられます。

ところが、中盤・・・つまりDのころから急に動き出します。
この進め方が絶妙。
そしてポアロが言い放つ「~のころから奇妙だと思っていた」と。
もう話の進め方が「古畑任三郎」のようです。
確かに、お話の作りは、「犯人が事前にわかっている/わかっていない」という違いはあるにしろ、中盤から推理する雰囲気。
これが、探偵もの、ミステリーものの醍醐味です。
本作は、前半が「推理できないフェーズ」であり、後半が「怒涛の推理」という両極端な構成。
最後に待っているのは、あっと驚く展開が待ちます。
ただこの展開を伏線を完全無視した流れではなく、全く疑問を持たせなく自然に矛盾なく進めているすばらしさ。
この流れをプロット時点で作り上げている作品。
ほんとに読みごたえがあります。

なんで、こういう名作を読んでこなかったのか、この年齢になって後悔しますね。
名作と言えば「電気羊はアンドロイドの夢を見るか」とか「海底二万里 」とか、読んでおかないといけないかな?。。。
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「R.P.G」宮部みゆきさん著、読みました。

2024-02-24 19:34:24 | 読書

ふと本屋さんに行ったところ、ぱっと目に入ったこの本。

 

R.P.G./宮部 みゆき | 集英社 ― SHUEISHA ―

住宅地で起きた殺人事件。殺された男性はインターネットの掲示板上で「疑似家族」を作っていた。殺人に関わりが? 虚実が交錯し、見えてきたものは…文庫書下ろしミステリー...

集英社 ― SHUEISHA ―

 

私が好きな作者、宮部みゆきさんの著書となります。

この本は、初版が2001年とありました。

すでに20年以上前の小説なんですね。

とはいえ、全く古いところも無く、ミステリーやサスペンスと言う分類で超一流の話の流れです。

本当にすべてが、細かいところまで、全て面白い小説でした。

 

私が、なぜ宮部さんの作品が好きなのか?

それば「人」の描き方。

特に「女性」の描き方です。

ある著名な作家さんの著書について話した無いですが

「21世紀は女性活躍の時代ですから、強い女性、明晰な女性、活躍する女性を描きたかった。

とのことです。

私としては「?」な所です。

昨今の小説に始まり、テレビドラマ、アニメの全てのメディアで、強い女性、正しい女性が描かれています。

テレビドラマやアニメでは受けがいいという部分もあるのでしょうが、確かに現代では理想とする形なのだと思います。

でも、実際はどうなのでしょう?

20世紀から21世紀になったからと言って、そんなに人間は急変するのでしょうか?

まだまだ、昭和・・・いやいや、石器時代からの本能は捨てきることなどできないです。

本当に強い意志が無いと難しい。

宮部みゆきさんの作品は、私が読んだ限り、この「本能」がむき出しになっている女性が出てきます。

そう、宮部さんの作品は、男だとか女だとか関係なく「人」の業と言うべき「本能」がむき出しのキャラクターが問題原因を作ります。

女流作家であるにも関わず、女性を美化しないという部分。

そういう部分に強く引き込まれるわけです。

 

本著書「R.P.G」という作品は、2つの事件が発生します。

宮部作品の例にもれず、これらがいとも簡単に1つの作品につながります。

そして、ほとんどが「取調室」で展開されるという、この「密室の中の会話劇」というワクワクする内容になっています。

ネットで調べると、本作品の舞台もあったそうです。

これは、舞台向きだなと思っていましたが、実際に演じられたとは・・・私も見たかったですね。

この会話劇と言うのが、本当にたまらない。

 

そして、話の中心に存在する「女性」。

この「女性」の描き方が絶妙だと感じました。

ネタばれになりますが、この「女性」が真犯人となります。

小説の中盤で、うっすら匂わすところも心憎い話の展開でした。

ただし、この女性は、前半では「被害者」、中盤で「ちくっと悩み」、後半では「完全は真犯人」となります。

このキャラクターの心理の映り変わりが、ゆっくり・・・かつ・・・確実な変貌を見せます。

この表現が、本当にリアルな見せ方をする「宮部みゆき」という作家の奥深さを感じさせます。

なぜ、このキャラクターの前半と後半で、ここまで違うのか?

本当に面白い。

前半では、完全に「自分がしでかしたこと」を記憶の中で現実を書き換えていた。

それが、中盤では「主人公の赤子をひねる作戦」で思い出され、後半では確定させられる。

そして、火曜サスペンス同様に「人が変わったような図々しさ」を見せる。

結果、人の命をなんとも思わない女性が完成する。

こういう流れを作るというのは、この作家の奥深さだと思います。

合わせて、男の「弱さ」や「危うさ」も、合わせて描き出すという、男としては「心にチクチク」する部分も描かれます。

確かに、これが本当の「人」のリアルではないでしょうか。

 

この絶妙な流れは、是非一読してみてもらいたいところです。

 

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