夢の介音楽夜話

音楽、アート、グリーン、クラフトなどなど徒然なるままに

ボズ・スキャッグス

2015年03月22日 | 音楽


「いぶし銀」という言葉が気になるのは齢をとった証し。
そういうアーチストに憧れるし、自らもそう言われたらなあと心のどこかで願っている。

郷里の音楽仲間H君から、ボズ・スキャッグスのジャズアレンジ譜が入手できないかと問われた時、初めてボズがジャズを手がけていたことを知った。
まさに「いぶし銀」というべき落ち着いたヴォーカルでファンの多い彼がジャズを歌えばいいに違いない。

そしてボズの新しいアルバムが今月発売されるようだ。
ダイジェストを聴けば、スティーヴミラーバンドを思い起こすようなサウンド、キューバンミュージック、南部のアメリカンロック、などなどオムニバスアルバムを聴くようにイメージが次々と湧いてくる。

先日Oさんから送られてきたブラジルレコーディング音源を聴いて、現地のスリリングなバッキングに感動した。
ピアノにしても、ベース、ドラムス、とにかく滑らかだ。
譜面を見ながら弾いているのではない、発露する表現力がすごい。
楽器を弾いているというより、お香を焚いているそんな香りが漂ってくるような音の流れを感じた。

これはミュージシャンの力量によるものが大きいと思うが、レコーディングエンジニアの耳による世界がきっと異なるのだと思う。
現地に赴いたOさんの「1970年代の音にこだわっている」という情報が嬉しい。

そうか、やっぱり70年代の完成度への回帰はブラジルにも伝播していたか、と。
いや、ひょっとすると70年代の栄光がそのまま引き継がれているのかもしれない。

「TEMPO」の早い、遅いではなく、ゆとりのある音楽が聴きたい。
それはジャンル分けされた音楽世界でなく、「いぶし銀」と評されるアーチストの手がける音楽を指している。

グラスを片手にゆっくり聴きたいと思わないだろうか?
美しい人と。



ボズ・スキャッグス『ア・フール・トゥ・ケア』ダイジェスト試聴

Boz Scaggs


Boz Scaggs ''Skylark''

君なしには

2015年03月21日 | 音楽



音楽スタイルをそっくり真似することを「コピーする」とか「完コピ」と言ったりする。
それはもちろん大変な努力を要するし他人がやるのであるからしてまるきり同じにはできない。

バンドスコアが出版されているようなメジャーなグループでない限り聴いて耳でコピーすることになる。
これが結構大変な作業だ。
単純なコード進行ならともかく、ちょっとした予想外の展開に何十回、何百回となく聴き返すことになる。
そういう苦労を重ねて出来上がったコード譜は自慢でもあるし愛着がある。

ところがボーカルに関してはハードルが高い。
第一人間性が違う上に声質を揃えることなど不可能に近いからだ。

ハワイのミュージシャンたちの面白いところは異なる世界の音楽を取り入れて別モノに仕上げてしまうところだ。
自分たちなりに消化して自分のものにしてしまう能力がある。

「レゲエ」に代表されるような調子のいいリズムが彼らは好きだ。
つい体を動かせて踊りたくなってしまうような、そんなリズムが好きだ。

で本場のレゲエになっているかといえばそうではないらしい。
つまり彼らなりに解釈してハワイアン風に調理している。

そこがハワイ音楽の魅力のひとつかもしれない。

さて若き日のジェイクが登場している「Pure Heart」
アルバムの登場から何年が過ぎたのだろうか。

ボーカルがいい。
リズムがいい。

音楽は理屈ではなく感性でやるものだ。
とかく日本人はああでもない、こうでもないとやりたがる傾向にあるが、淡々とやればいい。

音楽で会話できるまでの道のりがあるけれど。



Pure Heart - Crazy Without You (HiSessions.com Acoustic Live!)


Pure Heart - Bring Me Your Cup (HiSessions.com Acoustic Live!)


UB40-bring me your cup


UB40 CAN'T HELP FALLING IN LOVE

イプ

2015年03月18日 | クラフト


ひょうたんの栽培は楽しい。
花こそ白い花で、同じくつる性の「へちま」の鮮やかな黄色に劣るものの、実の形のユニークさでは負けない。

乾燥させると思いの外硬質な殻になるので、古来から容器に使われたことは想像できよう。
この空洞を利用して楽器に使われるケースも多い。

アフリカの楽器もインドのシタールも共鳴部分に使われている。
ハワイでは「Ipu」と言われる打楽器に加工される。

大きいひょうたん2個を連結して「Ka'eke'eke (Grand Ipu)」という面白い形の打楽器にもなる。
底部を床に当てては片手で側胴を叩いてリズムを作り出す。

「Chant 」と言われる祝詞に似た詠唱をこのひょうたんでリズムを刻みながら行う。
「Malae」という祭壇で行われる儀式はまさに神に捧げるという厳粛さを感じさせる。

つる性植物の栽培で、留意すべきは成長期の親づるの摘芯だ。
親づる、子づる、孫づるへと広がる成長を横に促して実をつけさせるためには本葉何枚かで親づるの先をカットする。
勿体無いような気がして躊躇するこの作業を怠ると、いつまでも実がつかないままになりかねない。

中身を空洞にする加工方法には二通りあって、水に浸けて腐らせる方法と、自然乾燥。

水に浸けて腐らせる方法がスピーディで綺麗に出来上がるが、一般家庭ではお勧めできない。
腐った異臭が近所迷惑でうっかり素手で触ろうものならしばらく動物園の動物になったような気にさせられるからだ。

自然乾燥は雨に当てないようにしてひたすら乾燥を待つだけでよい。
表面にカビが発生して独特な文様をつけるが、これがまた良いという見方もある。

ハワイでは自然乾燥したものの上部をカットして中身をかき出し、海に持って行って海水で洗うようだ。
海水の塩分の殺菌作用で脱臭、防虫などの効果があるそうな。

ハワイの巨大なひょうたんを栽培しようと試みたことがあったが発芽しなかった。
地球温暖化と言われるが、日本の気候ではトロピカル植物栽培にはまだまだ温暖化が足りない。

古来からひょうたんは水を汲んだり酒を入れたりしたようだが、液体は入れないほうがいい。
飾りか、マスコットくらいが似合う。

うまく栽培すると棚からぶら下がり風に揺れるひょうたんを楽しむことができる。
やや上級者向けになるが、鉢植えでも栽培可能だと思う。

沖縄ではへちまの幼果を食するようだが、ひょうたんも漬物が販売されている。

さて今年は久しぶりにひょうたん栽培に挑戦しようかしら。





Ipu Farm


A Little About Ipu, Hawaiian Gourds


Gourd Garden Tour II - June 18, 2010


The Lost Art of Ipu Pawehe: Tattooed Gourds of Hawaii

バンドのリズム

2015年03月17日 | ギター・レッスン


バンドのリズムが良くなっていく過程は意外に気づかない。
本人たちはそれほど気にしていないのだから。

ハワイ音楽の魅力は「ゆったり感」であると思う。
だからと言って全てが生あったかいぬるま湯のようかといえばそうでもない。

まだ若い頃ある方が、学生バンドのポジション決めの時、私をベースに推してくれた。
たった1日のライブを見て「リズム感がいいから」という理由からだ。

もともと高校の頃ウッドベースを弾いていた私にとってその評価は嬉しかった。
以来、大学でのレギュラーポジションは「ベース」ということになる。

音楽を始める方にしつこく申し上げるのは「リズムの勉強」だ。

いわゆるアマチュアの方がギターを始めて嫌気がさすのは「自己流で覚えたリズム」に起因している。
最初の8小節くらいは、自己流で自己満足できるのだが、2コーラス目くらいになると嫌になってしまう。

それは弾き始めたテンポを維持できない、走ってくる、リズムパターンの陳腐さに嫌気がさす、そのうち演奏するのが恥ずかしくなってくる、てな按配だ。
つまり一小節をきちんと弾く訓練ができていないこと、数十小節を最後までコンスタントに弾く訓練ができていないことに原因する。

次に「周囲の人の音を聴く訓練ができていない」人もいる。
自分の音に執着して周りの音まで神経が及ばない、初心の頃陥りやすい丁度「アガった時の状態」だ。
余裕がないということかもしれない。

譜面を前に置かないと安心できないという恐怖心を持った方もいる。
ほとんど譜面は見ないで弾けるし歌えるのにもかかわらず、前に置いてないと不安でしょうがないという習性だ。


「マカハ・サンズ・オブ・ニイハウ」が出てきた頃のアルバムは、牧歌的なリズムで取り立ててシャープさは感じられなかった。
「ウォッシュタブ・ベース」を前にしたアルバムジャケットから鮮烈なリズムは期待できなかった。

ところが年月を重ねた後で聴いたサウンドがとてつもなくパワフルでリズミカルなのに驚いた。
メンバーが変わったことも影響しているとして、ウッドベースの繰り出すグルーヴ、12弦ギターのリズムストローク、同調しているだけの様に聴こえる6弦ギターも実はバンドをコントロールしているし、何よりIZのウクレレが重要な役割を果たしていた。

晩年のIZが抜けて「マカハサンズ」となった時、IZの存在がいかに大きかったか、歴然とした印象を持った方は多いだろう。
声の質もそしてボーカルというものがどれだけ大きいことか、思い知った。

そしてウクレレで創出するリズムもそれなりの存在感があったのかと、再認識した。
それはソロ活動となった彼の演奏が、水を得た魚のようなイメージ、むしろ強化されたようであった。

バンドのリズムとは、一人で創出できるものではなく複数のミュージシャンが織りなす関係性で出来上がるものだ。
ベースが強化されればバンドのリズムが良くなると勘違いされている方が多いが、一人だけ頑張ってもダメなのがバンドの面白さ。

バンドのグルーヴに身を委ねるということができない人は、こと音楽に関しては向いていないのかもしれない。
ここに音楽の面白さがあると思う。





A Hawaiian Like Me - Performed by Israel "IZ" Kamakawiwo'ole


Rusty Old Steampipes

原人コッツバンド

2015年03月16日 | 音楽


アナログ時代の玩具は楽しい。
ローテク、メカニカルな仕組みで夢を実現しようとするところに魅かれる。

物置から昔求めた玩具が出てきた。
「原人コッツ~コッツバンドシリーズ」という原人がパーカッションを叩き合うものだ。

原始人のようなイメージの人形が両手で丸木やシンバル、ドラム風の石板を叩く。
メインとサブの人形はケーブルで繋がれて、単三電池で駆動する。

異なるパターンの人形を裏面の端子で連結することでリズムが同期すること。
かなり複雑なリズムパターンが用意されており、その変化を楽しむこと、さらに人形を加えていく楽しみを期待させる。

これを見るとタヒチアンドラムを思い起こす。
いや、タヒチアンドラムがこの玩具の発想の原点だったのかもしれない。

この玩具が発売されたのは90年代だったようだ。
ネットを眺めていたらこの玩具をコンピュータ制御しようとされた方のサイトが出てきた。
「PC98」とか「BASIC」などという言葉が出てきて画像もややその時代を思わせる。

エレクトロニクスの専門家であるらしいその方のサイトには当然のように真空管オーディオのコーナーもあるしメカニックとエレクトロニクス双方を探求している。
当然のようにこの「原人コッツ」を解析して駆動部が磁石であることを紹介していた。

驚いたことにこの方、PCを使って任意のリズムをこれら人形に叩かせようとしたらしい。
リズム譜を作ってその信号をそれぞれの人形に送る、なるほど思いのままのリズム演奏が可能になるわけだ。

今の時代なら相当量のリズムの変化を記憶させて電子的に再現することは簡単だろう。
しかしこの時代に「すごい!」と思わせる仕掛けを箱の中に用意して、ボタン一個で駆動させた発想がすごい。
ハードウェアからソフトウェアへの移行期、ハードとソフト両面の技術革新が行われた時代ゆえの産物だと思うのだ。

さて本物のポリネシア、タヒチアン・ドラマーたちの放つグルーヴたるや素晴らしい。
アジアから移住した子孫とは思えないくらいの複雑なリズムをいとも簡単に繰り出しているではないか。

こうした強烈なリズムと対照的なゆったりした踊り、扇情的な腰の振りが南の島の楽園を表現する。
バウンティ号の乗組員たちが反乱を起こしてまでして残りたかったタヒチの娘たちの魅力に男は共感しないではいられない。

リズムをデジタルで表現しようという試みはいわゆる「打ち込み」と言われる分野でかなり進化しているのだろう。
機械的にリズムを創出するのは、「ノリ」や「タメ」はたまた「ルパート」に至るまでミュージシャンにとってはやりにくいことだった。
しかし無意識に聴いている音楽CDには案外そうしたデジタル音源が使われているのかもしれない。

それでも人間が集まって「ノーズフルート」を吹き「トエレ」を叩いて作り出すグルーヴに感動するのは、そこに生きている「人間がいる」からだろう。





原人コッツ バンド演奏 全3曲


Tahitian Drumming (Da Island Way, 2008-07-05)


TAHITI ORA - Heiva 2011 TNTV Moena.mov